「またいつもの日常へ」その2
ハルカさんの話は大体は私が日誌を見た内容と大体同じだった。ハルカさん自体も当事者という訳でも無いため真偽は不明らしい。
それでもあのヘルちゃんという可哀想な女の子についてはハルカさんは大変苛立ちを感じていた。
それは赤ちゃんだからというのではなく本人の母性というのかお母さんが執念で助けたい気持ちもひしひしと伝わってくる。
心苦しくてクローンだからと雑に扱われそれでも大切な家族になると希望を抱いたのに研究員達は冷酷で一度も人間とも赤ちゃんとは呼ばずに失敗作の“ゴミ”としか思っていなかった。
その研究施設も打ち切られてクローン化計画はこれを機に見つめ直すと放棄したらしい。
あまりにも理不尽で同じ人間とは思えない言動や蔑みに私はただただ悲しかった。
「ふふ、そんな施設だって知っててもお姉さんは想い人の為に尽くしてきたんだからある意味勇者ね!」
そんな気持ちもユイさんの前では曇り空から光が差し込む。
「ハルカさんはどうしてそこまで想い人を?」
ユイさんの質問にハルカさんはけろっとしながら答えた。
「好きだから」
「・・・それだけ?」
「うん?私は間違った選択肢や変えられない運命を幾つも経験した、だから今度もし生まれ変わったら大切な人を失わないように足掻いていくよ」
ハルカさんは何かを思い出したかのようにちょっぴり悲しげな表情をしながら溜息を漏らすその姿はまるで未亡人のようだった。
「ハルカさん・・・素敵」
「えっ!?そーかな!?お姉さんそんなこと言われたの初めて☆」
特に囃し立てる訳じゃないけど切ない気持ちも後悔も全部次の自分に活かそうと考えるのは尊敬できる。
もしかして前に大切な人でも亡くしてしまったのかな。
「うふふ♪ユカリちゃんは相変わらずお姉さんをドキドキさせてくれるね?」
「そう・・・かな?」
何だろう若干違和感を感じるけどハルカさん的にはそう見えるのかな。
「ハルカさんは次はいつ会えますか?」
ハルカさんは荷物を担ぎながらそろそろかなと少しずつ旅に出ると思ってお別れに声を掛けた。
「いつか会えるかもね♪その時はもしかしたら君達を覚えて無いかもしれないけどね」
「そうですか…」
クローンだからと言って全員があの日を覚えてる訳じゃないのか、少し落胆するとハルカさんはにこっと笑った。
「そう落ち込まないの!君達に会えてお姉さんは嬉しかったし特別な存在だからまた何処かで逢えるよ♪」
特別・・・!!
ハルカさんは私の耳元でこう囁いた。
私の想い人は“サクラハルカ”で大好きな人は“サクラユカリ”だよ♪
「えっ??」
別人・・・だよね??最後に聴こえた言葉は絶対気の所為だよね??
私は誰かの言葉とハルカさんの激励と赤面が重なり訳が分からなくなっている間にハルカさんはユイさんと小話をしていつの間にか立ち去っていた。
“ゆいゆい、またね♪”




