「大結晶の洞窟へ」 その3
「ユカリちゃん、あの化け物手強いわよ」
魔物か化け物なのか人間が創り出した者なのかよくわからないモノに対峙しようとしたその時、ユイさんは一言言い出した。
「だ、だよね・・・ユイさん、勝てる見込みあるかな?」
「あるわ、でもまずは交えてみないと何も分からないわ」
ユイさんは我先にと手に光の剣を創り出すとそのまま突っ込む。
「ふっ!!」
敵の肉塊を引き裂くと中から腐臭と汁液が吹き出すが血には見えない白い液体だ。
「人間じゃない?」
ユイさんの顔は少し歪んだ、それと同時に無数の赤子の手が身体を引き裂こうと迫る。
「悪いけどこっちだって鍛えてきたんだからユカリちゃんの前でもう負けない」
ユイさんは迫る腕を炎魔法で焼き払い更に光剣を槍に変化させて一矢を放つ。
おぎゃあぁぁおぎゃあ!!
泣いているのかそれとも痛がっているのか分からない、でもこの化け物は血では無く白い液体が流れている。
「や、やりにくい!」
赤ちゃんを殺そうとする、そんな気持ちになると心が蝕んでくる。私はそれを押し殺して私も追撃する。
だが幾ら血は出ても切り傷がすぐに肉塊で防がれて戻っていく。
「なんなのこの化け物!?斬って斬ってもキリが無い!」
一旦距離を置くとハルカさんはじっと化け物を見つめていた。
「これはクローンを何度も作って出来損ないになった者達の成れの果て、生きる為に肉を食い、化け物だとしても自我を持ちあらゆる失敗作を溶けた顔や存在しない手足を作り失敗作から生まれ変わっめ初めて名付けられた、【生誕者・爛壊】・・・あの化け物の名前よ」
生誕者、赤子から失敗作を喰らい化け物でも人としても区別されない者から長い年月を得て生誕した化け物。
こんなのが地上に出たら大騒ぎどころの話じゃない、必ず倒さないと。
「ユカリちゃん、こいつ・・・筋肉は剥き出しでふやけてる癖に斬った感覚がない、恐らく本当の皮膚じゃないからかも」
失敗作の皮膚と筋肉を身に纏っているから本体に攻撃できない。いくらユイさんでも意味不明の生誕者に戸惑っている。
「なら魔法は?ユイさん魔法も強いからそれで突発口にならない?」
私の言葉にユイさんは首を振った。
「魔法だけじゃ切り拓くのは無理、それとは別に皮膚を斬り離す人も必要かも」
皮膚を弱らせた後に斬撃を繰り出せば勝機はある、でも肝心なのは誰が何の役を買うのかだ。
ユイさんは魔法も剣も最高、私はどっちも凡人で選択肢は一つしか存在しない。
「ユイさん、お願いがあるんだ」
まだ始まったばっかり、それでも私はとても嫌な予感を感じるのはまだ本番じゃないからかもしれない。




