「商業区防衛戦・後編」その16
「ユカリちゃん・・・良かったの?」
エインデのお兄さんとの交渉は無事終わると二人は用事があるから一旦別れることになった。私はベッドに腰を下ろすと真っ先にユイさんが傍に来てくれた。皆は後から重い足取りでその瞳にな不安が払拭出来ていないみたいで見解を聞こうと迫っている。
「うん、元々人手には困っていたからね、皆にも謝るね・・・勝手に決めてごめん」
リーダーとして本当に不甲斐ないが今回は誰にも話さない、危ない人を仲間に引き受けるしか私が生き残る方法は無いと思った。間近で見たから分かる、今の状態で反抗しようものなら全滅だって有り得た。
それぐらい私達の力量の差が大きく、正直話し合いで解決できるのなら皆を傷つけるなら私が犠牲なればいいと判断した。
また怒られるかな。
「アンタねぇ・・・・・はぁ・・・・・・」
ごめんなさいサナエちゃん、そんな事を考えているとキリちゃんとエミちゃんは私に対して言葉を尖らせた。
「ゆかりんはもうちょっと取り引きが上手ければ文句無いけど・・・ちょっと自己犠牲が過ぎるよ?」
「まぁ・・・お陰で助かった訳だし一応リーダーだから反論は無いけど・・・・・」
少し不満そうだけど嫌われることは無かった。
「そう言えばノア先輩は?」
さっきまで一人だけのほほんと優雅に茶を飲んでいたような・・・私はノア先輩を探そうとしたが彼女から来てくれた。
「ユカリちゃん手続きは終わりましたよ〜♪」
「いや、なんの?」
「仲間手続きですよ?」
仕事早すぎない?最早最初から準備を済ませておいたぐらいだよ?
「サナエちゃんもいっそ仲間に入りませんか?」
色々聞こうとしたが急にノア先輩が舵を横に切り、サナエちゃんの名指しに度肝を抜かれる。
「は?何でよ?」
「だって検問所崩壊したじゃないですか?建て直すのに軽く見積もって一億ベルは必要ですし、もういっその事後任はカイトさんに任せてサナエちゃんは怪しいお兄さんでも監視してはいかが?」
そんないきなり無茶苦茶な・・・サナエちゃんだって折角就いた職業をあっさり捨てるほど馬鹿じゃない。そんな安易に決めるなんて所長とし――――
「うっ・・・」
「可愛い子供が酷い目に遭っても知らんぷりですか・・・」
「い、言い方〜!!」
少しの間サナエちゃん達が口論している間私はあの娘の様子を見るために抜け出したがユイさんはいつの間にか背後に存在しており本気で驚いた。
「ユイさんも来る?」
私は名前は出さず、徐ろに歩き出すとユイさんは無言で付いて行くことになった。




