「商業区防衛戦・後編」その17
「・・・・・・・」
サナエちゃん達が言い争っているのを少し距離を置き私達は他の個室より少しだけ離れた個室を見つける。
どちらかと言うと隔離部屋に近いけど中に入るとまだ眠っているアスカちゃんを見つけた。片腕が使えないのに私達に協力してくれたことを思いお疲れ様とおでこを撫でる。
「・・・・・・」
寝てるのに本当の事が言えない、やっぱりあの時のアスカちゃんじゃないと駄目な気がする。
あの時のアスカちゃんは一体どんな表情で逃げる私の背中を見ていたのか。私の事をどう思っているのか、私を・・・まだ親友と呼んでくれるのか。
アスカちゃんの記憶はいつ蘇るのか。
あの薬は誰に貰ってどんだけ使ったのか、切り出したらキリがないぐらいだ。
寝ているアスカちゃんとにらめっこをしていると不意にユイさんから肩を叩かれた。
「ユカリちゃん、脳は一度治した程度で動かしても抜け落ちた記憶は返って来ないわ、それが魔法の力なら尚更、いい加減諦めて事情を話してあげればまだいくらかはマシよ」
分かってる、アスカちゃんが息を吹き替えしてくれただけで奇跡だと思ったのにそれ以上の高望みをしていることなんて分かってるんだ。
「ごめんね・・・私ってこんな性格だからさ・・・大切な人を傷つけたくないって思っても口下手でいつもぎこち無いまま終わることが多くて・・・そんな私を唯一嫌わないで一緒に隔たり無く笑ってくれたのがアスカちゃんなんだ」
小さい時からいつもそうだ、親に見放されアスカちゃんの家の一つである場所でサナエちゃんと三人で暮らしていた時も私はいつも一人で愛想笑いと嫌われる事は言わない、主張もしないで頑張ってた。
あの頃からちっとも変わってない気がする、でも前よりも人に頼れてる気がする。自分の命よりも友達を取ってしまうから今度はユイさんに怒られてるんだけどね。
「帰る?」
幸いユイさんが相手で良かった、私は頷き安らかに眠るアスカちゃんに早く治りますようにと思いながらサナエちゃん達の所へ戻ることにした。




