「商業区防衛戦・後編」その15
「わわ!!エインデのお兄ちゃん!!?」
中に入った第一声がそれだった。私は躊躇もなく近付いて改めてお礼を言った。
「えっとこの前は本当にありがとうございました!!エインデのお兄ちゃんとクラフトさんがいなかったら今頃皆を守れませんでした!」
私は何度もありがとうと頭を下げると皆は何故か凍った表情をしていた。
「ゆ、ユカリちゃん、その人やばいから・・・」
「え?どうして?私達を助けてくれたんだよ!?それはまぁ・・・襲って来たし色々あったけどさ、あのまま戦っていたらユイさんだって失ってたんだよ?」
私の言葉にユイさんは不甲斐なそうに唸声を上げるもエインデのお兄ちゃんは表情一つ変えず気にするなと有り難い言葉をくれた。
私はエインデのお兄ちゃんを恩人として扱おうとしたけどサナエちゃんから色んな話を聞かされた。
☆★☆★ 数十分後
「ほえ〜凄い計画性だね!?」
何とか傭兵団を倒して本来の目的であるユイさんを助けようなんてなんて妹想いのお兄ちゃんいや、お兄さんだ!!
だけど私とは裏腹に皆は警戒心を解くことはしていない。
「ユカリには持ち掛けていないが悪くない話じゃないか?」
皆の意見を聞く前にお兄さんの見解や仲間になってくれるとお兄さんから言われてしまっては断るのは失礼な気がする。
「でも良いんですか?私達言うなら名の知れない冒険者ですよ?エインデのお兄さんはいくら可愛い妹がいるとしても割に合わないような?」
仲間にする方向で話を進めているとサナエちゃんが焦った顔で肩を掴んで来た。
「あ、アンタ今の話聞いてた!?」
サナエちゃんは血相を変えて首を振った。皆もそっちに同意したような素振りで頷いた。
「うん、それがどうかしたの?」
「いや、もしかしたら裏切るかもしれないのよ?それなのにそんなにあっさり決めつけていいの?」
ユイさんもこれには否定的であまり賛成する気には起きないと発言する。
「そ、そうだよ・・・もし裏切られたら責任とか取ってくれるの?」
エミちゃんは弱々しく縮こまった体形で口に出す。
「でもさ・・・断ったら死ぬんだよ?」
私は後進的な皆に対して喝を入れる。その言葉にサナエちゃんは言葉が濁る。
「それにさ、皆は後進的すぎ、だってユイさんがいる仲間を消し去ることなんてお兄さんはしないと思う、今回だって私達を守ってくれたのはユイさんの仲間だからかもしれないよ?」
「で、でもさ!!確証は無いしさ・・・ユカリちゃんが死ぬのは・・・・嫌」
「ユカリちゃん、確かに言いたいことは分かるわ、でもそれは犯罪者を野放しにするのと同じよ?」
「それが・・・どうかしたの?」
私は皆とズレてるのかな?旗から見ればユイさんと同じ意見になるけど裏を返せば私達で危険人物を押さえることだって出来る。しかも最強の傭兵さんとリーダー核のお姉さんを。
「確かに危険人物だよ?でもそれはエインデのお兄さんのお願いを聞くだけで仲間になるんだよ?」
「だからそれが危険なのよ!?こいつが何を起点にして蜂起するかもしれないのに抱えた爆弾を皆に抱えろってこと?」
珍しくサナエちゃんに怒られてしまった。私はにこやかな笑顔をするとエインデのお兄さんに相談した。
「エインデのお兄さん、もし私の大切な仲間がエインデのお兄さんの怒りに触れたら真っ先に“私を殺して構いません”、ですので私の命と引き換えで仲間に入っていただけませんか?」
私は交渉を持ち掛けると愉快そうに初めて笑みを浮かべた。
「ふむ、悪くない、俺の怒りを買うにはユイを虐める瞬間だろうな?ユイが嫌がることをしないと言うならば俺からもお願いしよう」
私達の会話に皆は息を呑んで私にしがみついて訂正するように促されたが私はそれなら此方こそお願い致しますと頭を下げるとこうして強引だけど二人共仲間に入ってくれた。
「あと一つ、俺とクラフト・・・どちらか死んでも詮索はしないでくれ」
「どうして?」
「俺達は戦士だからな」
お兄さんは交渉を終えるとよろしく頼むと一礼して去って行った。
何だか深みのある言葉・・・いつかその理由が分かる日が来るのかな?
ほぼ強引にエインデお兄さんとクラフトさんが仲間に入った。




