「商業区防衛戦・後編」その12
☆★☆★ ユイ
私が最後に魔法を使って意識を失ってからどのくらい経ったのか、それは起きるとすぐに分かった。
うざいくらいの日差し、私の家ならユカリちゃんが考慮して起きるまでカーテンで閉め切ってる。つまりここは家じゃない、病室??
私はゆっくりと目を開けると看護服を着た女性がほっと胸を撫で下ろした。
「ユイさんはお早いですね」
看護士はエミ、サナエ、ノア先輩の次に意識を取り戻したらしい。
皆は別の個室で集まっていると聞くと念の為にその個室に行くとそこにはユカリちゃん以外の皆が集まっていた。中にはまだ意識を取り戻していない人達もいるけど構わず会話していたりする。
皆重症と聞いたのにその割には男の姿が見当たらないけどサナエちゃんから聞いたら深手では無く少し休んだら仕事に戻ってしまったと、底抜けた体力に感心していると横に気になる人を見つけた。
「なんでいるの?」
昨日は白い紳士のような服装だったけど今は相変わらず真っ黒衣装だ。商業区を離れるって言ってるのに平然と椅子に座って本を読んでいる。
「俺は何もしていないからな」
パタンと本を畳むとサナエちゃんが会話に絡んできた。
「そんなはず無いでしょ・・・近未来区だろうが何だろうがアンタが首謀者なのは変わり無いわよ?」
何なら今から取り押さえるわと豪語しているけどお兄ちゃんは全然気にしていない。寧ろ私達を憐れんでいる?
「近未来区では変装魔法を使い魔法は魔導学院で扱う魔法を使った、それの正体すら掴める人間は生かしてはいない、商業区では残党もろとも抱えた爆弾により全員死亡の確認が取れた、後は・・・」
薄気味悪い表情に嫌な予感がする、お兄ちゃんは契約書を私に見せた。
「この契約内容に応じるならばユカリを生かしてやってもいいぞ?」
その内容はふざけた話だった。
・今回の騒動の顛末は全て他言無用として何もなかった関係無いと他の者達に伝える。
・ユカリちゃんにこれを機に仲間に入れるように申し立てる。
・ノア先輩にはもう話は通してあるから何事もなく勧誘して入ったと他者に言われてもその一点張りにしてくれ。
「悪くない話だろ?非常に合理的でお前達の利点も多い」
一見すると悪くはない、でも問題は本当の問題を隠している事、これを飲んだら間違いなく厄介事に巻き込まれるに違いない。
「でもお兄ちゃん・・・」
「何か問題でもあるか?」
私は呆れた声で聞くとお兄ちゃんは冷静な眼差しで聞き返してくる。
「良い訳無い」
「それは何故?」
私の反応に皆が疑問視している、そう言えばユカリちゃんやノア先輩には兄妹と言ったけど皆には話してなかったわね。
「お兄ちゃん・・・貴方・・・・世間では“死んでいる”のよ?」
私は呆れながらもその事を話すと他の皆は開いた口が塞がらなかったみたい。




