「商業区防衛戦・後編」その8
私は顔面やお腹を殴られ意識が消えた、肺が潰れた、内臓も骨はボロボロ、嘔吐や血、汗が滝のように流れながら骨抜きにされたようにぐったりと倒れる。
私ってやっぱり向いてないかも・・・だってあのロボット強いしエインデのお兄ちゃん達の強さにビビっておろおろしてただけだし・・・私・・・死んじゃうのかな?
「本当に君はそれで良いの?」
暗い海に落とされた私はその下から聴いたことのある“声”が聴こえる。
「君はこんなショボい死に方を選ぶの?」
私のような声だが何処か飽きられた様子で溜息混じりに私に呼び掛ける。
「いいわけない・・・私はこんな所で死んだら普通の冒険者だよ」
「そうだね・・・・君は普通の女の子だもん」
「違う、私は普通の女の子じゃない・・・私は私が普通じゃない事を見下す人達をあっと言わせるぐらい強くなって好きな人と生きて結婚したりおっきなお家で暮らして・・・凄くて凄い立派な冒険者になるんだ」
こんな所で止まってられない、死ぬもんか。私には大好きな人と大切な仲間達と共に生きるリーダーなんだ。
狂い火がなんだ、弱いがなんだ。私は泣いても傷付いても絶対に後ろには進まないって決めたんだ。
ユイさんの本当の姿も見たい、キリちゃんが偉大な錬金術士になるのも見たい!エミちゃんがこの星が身分も関係のない皆がお洒落な街になるのもゼーナちゃんがやりたいことやアスカちゃんを元に戻す方法も考えるんだ。
私は死ねない、皆が幸せになるのもこの目で見るんだ。
「我儘だけど仲間を大切にする、その想いは最早家族に近いね♪」
「えへへ、そうかな〜?」
「うん♪ならさ―――― 頑張らないとね」
私のような声に私は強く頷くと女の子は溺れていく私の手を光指す道の方へと連れて行こうとしてくれる。
「あのロボットをさっさと倒してまた冒険に行ってらっしゃい♪」
「うん、ありがとう・・・・“私”」
あぁ・・・そっか・・・やっぱりあの時の私何だ・・・でもおかしいな、氷に触れてるのかと言うぐらい冷たい、夢の中だからかな?それとも走馬灯?分からないけどはっきり解ることもある。
彼女はこの世にいない、根拠は無いけど私が死ん出ることに妙に頷ける、どういうことなんだろう?
「ほら、余所見しない」
私は私に怒られると素直に謝り少しずつ上に上がる。
胸が熱くなる、でも今回は違う、私の目の前に赤く染まる光と獣のような雄叫びを上げるとその光は黒く染まり私の体内に入り込むと一気に力が湧いて来た。
溺れてかけた身体が力強く水面にまで泳ぐとそこには大好きなあの人が今にも泣き出しそうな目で私を見つめていた。
「頑張って・・・“お姉ちゃん”」
「君は主人公なんだから、英雄にならないとね?」




