エナの独白
それから公務を終えたユカリナ様や侍女さんらに軽く挨拶をすると早々とユリ様の部屋を後にした
なかなか広い食堂がほぼ満席だった
だいたい50人ぐらいだろうか
「城には数百人勤めているけれど 今回は時間や場所で被り尚且つ今の時間空いてる子がきてくれてるのよ」
だから兵隊の方もちらほらいるんだ
ぐるりと騎士の姿を探したがいなかった
トレイを持ち料理を取ってソフィアさんと向かいわせで座る
「さぁ料理を運び終わったわね
エナその場でいいから自己紹介をして食べましょう」
「初めましてユリ様の専属メイドをする事になりましたエナですよろしくお願いします」
お辞儀をしたらパラパラと拍手をくれて
何となく歓迎されてないのが分かった
静かだった食堂が徐々に賑やかになる
ソフィアさんが呼ばれて席を立つと朝と同じ不躾な視線が感じるが黙々と食べ始めると 複数の女性が聞こえるように話している
次は髪が青いのね
前の子はどうしたの?瞳が青かったよね
確かユリ様に会ったとたん殺そうとしたんだって
えーこわー
副団長がいて取り押さえたんだって それから処刑だって聞いたわ
まー当たり前よねユリ様に危害加えたんだから
その前の子は王様に会わせろーで死んだんだっけ?
えーかわいそー
そんな事言って嘘ばっかり
いつまで持つかなー?
さぁ?お金貰えるって噂だし死んでもまた別が現れたりして 炙り出しなんでしょう
王様すごーいあははは
「あなた達なに話してるの?!」
ソフィアさんが戻って来るや気づいて止めてくれたが賑やかになってきたのに静かになった
「大丈夫です気にしてませんから」
それより私で3人目だから歓迎されてないのか
「申し訳ございません」
「すみませんでしたー」
「あははっでしたー」
「あなた達!」
「ソフィアさん!大丈夫だからいいんです 食べましょう」
「ごめんなさいね 後でキツく言っておくから
食事も食べててと言ったけれど待っててくれたのね」
いつの間にか手が止まっていたようだ
気まずいまま食事を終えて部屋に戻る
これから上手くやっていけるかなと不安感が現実味を感じながらため息を吐いた
それからユリ様に癒されながら何とか過ごす日々が続く
特に誰も接触して来なかったので比較的平和だなと思う頃にちょくちょくロイドがやってくる
「ふん ユカリナ様やソフィアさんに問題ないか?」
「大丈夫です私が知る限りは」
直接聞いてよと思いながら話せる相手として待ち遠しく思う自分に蓋をする
「ユリ様が目を開くようになり髪と同じく綺麗な群青だったわ」
「そうか」
「ねぇ私このまま頑張れば町に下りれる?」
「駄目だ!っ失礼する」
何なのよ!聞いてみただけじゃない…
ソフィアさんにもいつかは町に行けるか聞いても同じ反応だった
それならと夜中の時間に町に行こうと決断した
少し店の灯りを見ればいいの
それだけでこれからもっと頑張れる
城門でどの時間に誰がいて交代の時間を確認しながら過ごす
ユリ様がはいはいするようになりユカリナ様と盛り上がる気さくな人で接しやすい人だ
「実はねユリの事はもう魔界に伝わっているだろうとガイロバが言うのよ」
「そうなんですか⁈」
「そうなのよ 何がいいか何が起こるか分からないけれどそれまでこのままでいたい」
「ユカリナ様きっと良い方に流れが行くと願いましょう」
「エナは大丈夫?問題なく過ごしているの?」
「実はー」
ここに来たときは悲観したけれど問題なく過ごしているが家族と会えないのが辛いと伝えた
ユカリナ様が陛下に聞いてみると言ってくれた
後日ユカリナ様に会うと禁止した覚えがないと言っていたそうでいつでも城下町に行ってこいとの事だった
必ず戻ってきてねって言ってくれたので自然と勿論ですと言った自分に驚く
その日 はやる気持ちを抑え早歩きで店に向かう
城門で止められだか 禁止されてないとユカリナ様に聞いたと言うと渋々通してくれた
よく顔を合わせる兵隊さんは行くなと言ってきたが会釈だけして横切る
早歩きは小走りになりこの角を曲がれば!
「えっ」
店がない?平地でそこだけポッカリ空いている
「えっ?いてんしたのかな」
そんなのありえないと別の私が囁く
おぼつかない足取りで辿り着く 焦げた土だった
「火事になって引っ越したとか」
唖然と座り込むお母さんどこにいるの?
「あっあんた!エナじゃないか!」
驚きで振り向くと近所のおばさんだった
「どのツラでここに来たんだい!
あんたのせいであんたのせいで!」
「あの母は…?」
「殺されたよ!
子供が産まれたら報告しなかった罪としてね!」
そんなっ
「同罪として私らの子供が死んだんだっあんたと年が近いからって死んだ子もいる!」
「っ!」
声を聞きつけたのか仲の良かった人達が集まってきた
「とっとと向こうに行けー!」
「厄病神!死んだらいいんだっ」
「殺せーっ!」
「顔なんて見たくなかった」
ふと下がっていた顔を上げるとおばさんが言葉とは逆に悲しみにくれた顔をしていた
家族ぐるみで仲が良かった
相談もしたし愚痴も聞いた息子と結婚しないかと冗談も言ってくれたりした
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
土下座して謝った絶望が占めるなか石が飛んできた
「何をしている!」
ロイドがかき分けてきて近寄ってくる
「町に行く事 駄目だと言っただろうエナ」
「ふっうぅー」
泣いては駄目だとわかってるがロイドの胸に飛び込んだ
「今回見た事は不問にしてやる」
「だがっそいつは厄病神だ」
「エナはユリ様のメイド ユカリナ様と仲がいいんだこの先は言わなくても分かるだろう?」
「ロイド私は」
「いいから行くぞ」
ロイドに手を引かれながら城に向かう道を歩いていくチラリと振り向くと集まった人達が泣き崩れていた
「泣くなエナ」
「だってお母さんが皆んなが」
「泣くな泣かれたら困る」
脇道に行きロイドが泣き止むまで肩を貸してくれた
「エナすまない どうにか家族を見逃す事が出来ないかと動いたが出来なかった」
「うん」
「気づいたら全て終わっていた 言えなかったんだ」
「うん」
「母上のお墓を立てようか」
「うん」
「付き合ってくれ」
「うん えっ?」
「すまん不謹慎で弱ってる時にすまんつい」
「ふふっ」
「連れてこられた女は皆怯えていた
なのに君は強い意志をもち睨むように俺を見ていた
どこにそんな気持ちになるんだろうと気になった」
「睨んでた私?」
「あぁ」
ロイドは笑った初めて見てドキドキする
「ロイド私お母さんが死んだ実感がないんだ
火事で逃げて生きてるんじゃないかって」
「エナそれは」
「馬鹿なことを言ってるって分かってる ありえないって分かってるけど認めたくない 実際この目で見てないから」
ロイドが何とも言えない表情をする
「お母さんのお墓立てたら その時は独り身の私をー」
「あぁエナその時は改めて言わせて欲しい」
外が明るくなってきて入り口まで送ってくれた
「エナ終わる頃にまた来るから晩御飯一緒に食べよう」
「えぇ待ってるわ」
別れるやいなやロイドは物凄い速さで帰って行った大丈夫かな
「みーちゃったー」
ビックリしたっ振り向いたらいつかの噂好き3人が立ち塞がった
「あの通して下さい」
「駄目よ皆んな待ってたんだから」
背中を押され中に入ると城門で会った兵隊さんを始めソフィアさんや歓迎会から面識のある人達が集まっていた
「エナ!心配したわ ジャックが慌ててあなたが町に下りたと伝えてくれてどうしようかと思ったら 丁度ロイドが来てね 待っとけって言うから待ってたのよ」
「そんな今まで?」
「そーよー思い詰めた顔してたから心配してたしー」
「あははっすごい顔ー」
「エナ皆んなあなたの事心配してたのよ」
でも今まで腫れ物みたいに
「すみません私達声が大きい上に無自覚にあなたを傷つけて」
謝りたくても素直に謝れなかったごめんなさいって続けて謝ってくれた
「だってすんごい睨んでたし近寄れないって言うかー」
「それロイドにも言われました睨んでたって」
「ロイドだってあはは」
「何で笑うんです!」
「だって笑顔になったもん」
「エナ騙して黙っててごめんなさいね」
「それは私の為だったんですよねありがとうございます」
「時間をかけて仲良くなれたらと思ってたのよそれから言えたらって先延ばしにして浅はかだったわ」
「皆さんありがとうございます 私誤解してました
改めてよろしくお願いします!」
「よろしくー!」
「ロイドと付き合ってるんですかー?」
「えー俺狙ってたのにそうなの?!」
笑い声が響く
「付き合ってません ですが好きですロイドの事は」
振られたーと笑いながら言ってくれた人は城門で引き止めてくれた人だった
「はいはいそこまで もう朝になるわ皆切り替えて」
一瞬の沈黙のあと爆発した
皆んなヤバいと言いながら立ち去っていく
「みんな本当にありがとうございました!」
はーい!と片手を挙げながら行く人や笑って行く人と様々だ
私もシャワールーム空いてたら浴びて行かないと




