私、魔王と結婚します
謁見の間に近付くにつれ人が多くなって来た
城下町から逃げて来た人や状況を聞きに来た人で溢れている
「ユリ様 名乗って道を空けてもらうよりもすり抜けて行きましょう」
これをとストールで髪を隠すように巻いてくれて俯いてすり抜けて行く最後守備兵の間を抜ける
「姫様開けますよ」
この先にギルバートが…やっと会えるのね
扉の向こうは屋根が半壊し太陽の光が降り注ぎとても眩しい
後ろで扉が閉まると音に気付いた人達に注目さされる
奥にお父様達がいて向かい合うようにいた黒尽くめの男も振り向く
屋根が半壊した中央に比べ出入口は暗いのに眩しいかのように目を細めた
「ユリだな?」
「はい ギルバート様…」
ギルバートは掌を見せる様に伸ばしたのでつられるように側に行き手を重ねた
「ずっとお会いしたかったです」
「あぁ…俺もだ」
見下ろすギルバートに笑うと笑ってくれて嬉しい
初恋も知らない私はギルバートが一目惚れだと言ってくれても分からなくて
色んな所に連れて行っては好きだと言ってくれても返すことは出来なかった
途方にくれたギルバートが次にした事は好きな物を見つけるプレゼント大量作戦だった
それを後から聞いたが当初はプレゼントくれてもご機嫌取りみたいだと思い怒ったら大喧嘩して気まずくなった時があった
それでも嫌いになれなくて悩んでも近づけなくてと距離が遠くなるばかり
エギルが魔王様が仕事にならないと相談してくれてる所にギルバートが来て勘違いで二人が口論になったが内容が私の事ばかりで笑ってしまった
それを見た二人もつられて笑ってくれた時に言ったんだった
私、貴方の笑ってる顔が好きよって
ギルバートは呆けた後に泣き笑いになって大変だった
その時と同じ表情で安心した
私もまたギルバートに恋をする
「ユリ 貴方は…」
お母様が何かを言おうとして続かなかった
「ユリすまない 魔物が襲ってると聞いて慌ててきたらこの様だ」
この屋根を誰が壊したかと聞かずとも貴方だと分かってるから魔力を打っ放してしまったと笑顔で言うが私に振らないで欲しい
「ギルバート様が来てくれたので安心して良いんですね?」
「あぁ随分久しぶりに魔物が現れて混乱してるようだか魔物が殲滅すれば解決するだろう」
「ギルバート殿ありがとうございます」
「では後は問題ないな?」
「そうですな…魔物さえいなくなれば問題は解決するでしょう」
「ユリ、このまま魔界に来るか?」
「あっそれは」
なんて答えれば?チラリとお父様達を見ても読み取れない
「はい行けますわ」
「ユリ様!これだけでもお持ち下さい!」
そう言って護身用の短剣を渡してくれた
「お前は…?」
ギルバートがエナを上から下へ下から上にと見ているが首を傾げている
「何だこの違和感?」
一歩ギルバートが踏み出し近付こうとするとロイドが前に出た
「ギルバート様、私のメイドのエナです」
「お前には魔力の名残があるが今は空だ
何があった?」
「それは…」
何となく気まずく思うのは私だけではないはず
どうすれば?
「さっき慣れない魔法を使ったら思いのほか魔力切れをしたん…です…」
エナが何とか絞り出したが納得してない様子
「ギルバート様?早く連れて行ってくれませんか?」
「そうだな…他にはいいのか?」
「はい 大丈夫です」
「では今城下町にいるエギルに後は頼むとする
また連絡をするとしようガイロバ?」
「はっギルバート殿 娘をよろしくお願い申し上げる」
「父上⁈そんな姉上!行かないで!」
側に来ようとする弟をお父様が止める
「シリウス また会えるから 会いに来るから泣かないで」
あと弟よ いた事に気づかなかった姉を許してね
「ユリ必ずよ 必ず顔を見せに帰って来るのよ」
「お母様約束します」
「ユリ行くぞ」
肩を抱かれテレポート内に入る
振り返るとお父様達意外は敬礼をしていたがエナが座り込んでいてロイドがエナの肩を抱きながらこちらを見ていた
「ロイド、エナ、ありがとう」
一瞬の浮遊感が気持ち悪くて立ちくらみがした
「ユリ大丈夫か?」
「えぇありがとうございます」
まわりを見渡すと王座は飾りっ気のない大きな椅子だったが煌びやかな謁見の間だった
「あら?」
「どうした?」
「あっいえ素敵な謁見の間ですね」
「エギルがずっと煩かったからな金かけたんだ
椅子までは止めてくれと言ってあるから他と比べ浮いてるが」
もう前と何が同じでどう変わったのか分からない
でも国同士はいい関係だと思っていいのかしら
「そう言えば半壊した屋根はどうなるんです?」
さっきから締まりのない顔をしていたギルバートは悩んだフリをした後にエギルが何とかすると言った
「あの?本当に大丈夫ですよね?」
「あぁ心配ないガイロバには悪いが魔物が出た理由にそちらに行けて良かった
回復を使えるやつもエギルと一緒に向かったから怪我人もいないはずだ」
「そう…ですか」
「とりあえずこれから過ごしてもらう部屋に行くぞ」
そう言って案内してくれたのは記憶にある螺旋階段の先にある部屋だった
内装も全く同じで懐かしい気持ちになる
「気に入ってくれたようだな」
「はい 落ち着きます」
「殺風景だったからな城全体に装飾を増やしたんだ」
「どうしてです?」
「ユリとやりとりをしてから俺は日常が変わった
自慢出来る場所にしたかったからな
迎えるまでに問題を片付け過ごしやすいようにと思ったところエギルが内装も変えろってさ」
「問題とは具体的に聞いても?」
「あー」
ギルバートが言葉を選んでるようだった
「ざっくり言うと俺が人間を気にかけてるのを賛成派と反対派がいるんだ」
人間でも魔族について問題になっているから魔族側もあるはずよね
「人間を下僕として見ているやつもいるからなユリは一人で出歩くなよ」
初めて聞いたのだけど!
「とっ昼過ぎか食事にしよう」
ギルバートが空中に何かを描くと体が軽くなった気がした
「あっあのどうして魔法を?」
「あーまぁな」
「教えてくれませんのね」
「女」
「はい?」
ガシガシと乱暴に頭を掻くと吐き捨てるように言った
「伴侶がいなかったからな使えねぇ臣下の娘どもが侵入してくるんだよ」
予想外な上に仕方がなかったといえショックを受ける
「俺が城にいると気配で分かるからな近寄らせないようにするが 流石に留守中に入られるとやっかいだ」
知らなかった…守られていたのか能天気過ぎたのか
前者だと思いたい
「結界がなくなると食事にしたいと伝えてあるからそろそろだと思うが」
私が戸惑っていると思ってなのかギルバートが色々言ってくれるが頭に入ってこない
「最初にくれた手紙から随分経つな
待っていてくれて嬉しいと思う」
それはギルバートにも言える事じゃ
「あいつを助けれなかった絶望がずっとあったが約束を果たすことができ救われる気分だ」
「ギルバート様…私を連れてきてくれてありがとうございます」
「ユリ…」
コンコンッ
「失礼します 料理をお持ちしました」
「セバス丁度お腹が空いたと思った所だ」
「おや?人間の女性ですか?」
「初めましてユリ エターナルです」
「ユリ様でしたかギルバート様から聞いております
お会いでき嬉しく思います」
「これからよろしくお願いします」
「執事長のセバスチャンです
どうぞセバスと呼んでください
私に何でもお申し付けください」
では失礼しますねと料理を並び終わったら退出された
私は懐かしい魔族料理を堪能した




