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怪異館シネマシアター  作者: 弌黑流人


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聖地巡礼の結末

 「弱りましたねぇ……。取材を受けたばかりだというのに。彼女の存在を消せば記事もなくなってしまいます……彼女の存在を消さずに、この貴重な映像の使い道を考慮するなら……彼女だと特定されない方法はないでしょうかねぇ……」


 黄泉野完結は、手元にある映像データを眺めながら、境瞳の扱いに頭を悩ませていた。この怪異館との接点が明るみにならないよう世に出さないか、かと言って埋もれさせるには惜しい記録。室内に重苦しい沈黙が流れる中、彼は何度も思考を巡らせ、ついに一つの解決策を捻りだした。


 「これはどうでしょうか。聖地巡礼を文字って『聖地殉霊』とし、FPS視点で怪異を体験しつつ脱出を図るゲームとして昇華する案……良いかもしれませんね」


 名案が浮かんだ瞬間に表情を輝かせた黄泉野は、早速こういった電子機器や開発の分野に詳しい友人に連絡を取り付けることにした。通話の呼び出し音が数回鳴った後、相手が受話器を上げる。


 「やあ、黄泉野だ。君に頼みたい仕事があるのだが聞いてくれるかい?」


 その友人は、これまでにも怪異館のホームページ作成や運営を手助けしてくれている心強い協力者だった。名は平坂帯刀。パソコン関連の技術に精通しており、裏方の作業を完璧にこなす職人気質の男である。


 「あんたの依頼は支払いが良いから、何がなんでも手伝わせてもらうさ。それで、今回は一体何をして欲しいんだい?」


 平坂は小気味よい冗談を交えつつ、二つ返事で請け負うことを了承した。そして受話器の向こうで姿勢を正し、黄泉野が語る奇妙な企画内容の把握に努める。


 「なるほど、映画主人公の視点と、その主人公を追い詰めるエネミー視点の両方で遊べるゲームを作って欲しいということだね。面白そうだ。素材を送ってもらえたらすぐにでも取り掛かるよ」


 「それはありがたい! 早速、映像の素材を送ろう。他に必要な物があったらなんなりと言って欲しい。それと、期限は設けないかわりに進捗報告を月一でして欲しいんだ。いいかな?」


 「ええ、了解です」


 すんなりと話が進み、通話を終えた黄泉野の胸には、未だ見ぬ完成品への期待値が大きく膨らんでいくのだった。


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