完結する人生
意識が急速に浮上したとき、男を待ち受けていたのは、かつて経験したことのない異様な束縛感だった。
何かがおかしい。声を上げようとしても、喉が焼け付くように熱く、舌が強張って音を成さない。視線を動かして周囲を確認しようとするが、頭部が冷たい金属の重厚な感触と共に、一点の狂いもなくがっちりと固定されていた。
そこは、窓一つない無機質な小部屋だった。壁は防音材で埋め尽くされているのか、外の音は一切届かない。男は床に太いボルトで直接固定された重厚な鉄の椅子に座らされ、数本の太い革ベルトで全身を拘束されていた。指先一つ、身じろぎすることさえ許されない。
「お目覚めですか。実に素晴らしい鮮度だ。これほどまでに恐怖が純粋に抽出されている個体は珍しい」
部屋の隅、闇の中から、白手袋をはめた支配人が静かに出現した。支配人の手には、どこかアンティークな意匠を凝らされながらも、その先端には鋭利な回転刃を蓄えた電動ドリルが握られていた。
「これから、あなた様の夢の記憶を頂戴いたします。このたび上映公開した『飢餓残滓』続編、あるいは新作の糧として有効活用させていただきます。ああ、ご心配なく。麻酔の類は一切使いません。純粋な苦痛こそが、映像に真実味を与える最高のスパイスとなりますから」
支配人がスイッチを入れると、凶悪な駆動音が室内を支配した。
「ご安心ください。あなた様という人間の人生は、ここで名実ともに『完結』いたしますが、その魂の叫びは、当館の銀幕の中で永遠に輝き続けるのです。これ以上の光栄はございませんでしょう?」
支配人は優雅に微笑み、ドリルの先端を男の頭頂部へと垂直に下ろしていく。
「それでは――採取を始めさせていただきます」
ギィィィィィィィィィン!!
肉を削り、硬い頭蓋を穿つ凄まじい轟音が響き渡った。男の視界は、脳が直接焼かれるような真っ赤な閃光に包まれ、次の瞬間、救いようのない永遠の暗転がすべてを飲み込んだ。
後に残ったのは、血の臭いと、支配人のあまりに静かな溜息だけだった。




