遠い視線
初夏の空の下、未来と朝陽の共通の知人、日々乃佳子との遭遇から数分が経ち、4人は自分達が在籍するA組の元に戻っていた。クラスの体育委員2名がそれぞれの種目に出場する生徒達をグループに分けてルール確認と、必要のある競技では順番決めなどをしていた。
「えー、次はリレーの人達! ルールとかはテイクオーバーゾーンとレーンのこととか意識してくれれば大体大丈夫! てことで順番決めよう!」
体育委員の1人が声を張り上げて当該者達に呼びかける。出場する選手達は先程まで共に練習に励んだグループでそれとなく固まっている。もちろん未来達もそれに倣うように身を寄せ合っている。
「えーとそれじゃあ、まずはアンカーを決めようか」
体育委員の提案に生徒達が口々に意見を示す。
「ここは和樹だろ!」
「だよな、1番速いし」
「頼んだぞー!」
皆が口を揃えて和樹の名前を挙げる。2人の体育委員もそれに納得したように頷いて和樹へ振り向く。
「てことらしいけど、いける?」
その問いかけに和樹は胸を張る。彼の表情は自信に満ち溢れ、周りを照らすように明るいものだ。
「ああ、任された!」
和樹の返答に体育委員は笑みを浮かべ、自クラスに順番決めの続きを促す。
「じゃあ次。さっきまでグループで練習してたと思うから、今日は一旦その人達で順番を固めてみようか」
それからはグループ同士で話し合いをし、調整を入れながら今日の全体練習での順番を決めることに。そして話し合いの末、遂に確定となった。
「俺達の順番は変わらない、か」
未来の呟きが示すように先程までの練習と同様、未来、朝陽、美鈴、そしてアンカーの和樹の順番となった。
彼はふと近くの朝陽へと視線を向ける。彼女は何ともいえない表情を浮かべてD組の様子を眺めている。彼女の幼馴染だという佳子はクラスメイト達に囲まれ、快活な笑顔を浮かべて振る舞っている。先程までの何か含んだような冷たい表情でない、触れ合いを楽しむ笑顔だ。
(何かあったんだろうな)
そう思うことしか出来ない未来は詮索に手を出せなかった。自身も佳子とは一悶着あった身だがそれと朝陽の件は関係ないはず。佳子と朝陽はどうやら幼稚園の頃からの幼馴染のようだが、それにもかかわらずどこか距離を置いているように見える。自分が首を突っ込むことではないだろうと1人で収める。
一方朝陽といえば、どこか心ここにあらずといった様子で佳子の様子を眺める。周りの喧騒は遠く聞こえ、胸の辺りが苦い痛みを打っている。
賑やかに騒ぐ生徒達の声はさらに高まる中、それに乗れない未来達は己の波紋に揺れ動くしかなかった。
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