どっちもどっち
一通りの練習を終えた未来と朝陽。そしてそのガタガタな連携を見守り続けていた和樹と美鈴。バカップル2人から見ていて、まあここまで噛み合わないゲームプレイも滅多に見られないだろうという感想を抱かずにはいられなかった。
「とりあえずこれで良いでしょうか」
ふぅとため息ををつき、朝陽は未来へ視線を送る。恐らく未来への指導による想定以上の疲労からか、額にはじんわりと汗が浮き出ている。
「ああ、多分これでなんとかなるだろ」
「えっと、なんともならないと思いますが」
そんなやり取りを交わす未来と朝陽の肩を、和樹と美鈴が軽やかに叩く。
「はいはい、2人ともお疲れ様」
「んじゃ、本番始めようか」
和希達は未来達からゲーム機を受け取り、ベッドの上に座り直した。
「てことでチーム『幼馴染』、行きます!」
美鈴の掛け声でついに勝負の幕が開けられた。
さすが長年の幼馴染にして熟練の経験者。高い実力と阿吽の呼吸が噛み合い、あっという間にスコアを稼いでいく。特に美鈴に関しては風邪気味というハンデがありながら、その足枷を感じさせないほどの操作を見せる。
「和樹、そこスキル使っちゃおう!」
「あいよ! カバー頼む美鈴!」
後ろから見守る未来達は感心しながら覗いている。
「2人ともすごいですね」
「ああ、俺も一緒にゲームすることあるけど、やっぱ上手いわ」
並いる敵を撃ち払い、和樹達はボスエリアまでやってきた。緊張感が迸るBGMと甲高い警告音。ついにその姿を見せる大型のボス。白熱する2人は強力なボス相手にも巧みなテクニックで喰らいつく。しかしボスも高ステータスの暴力で2人を追い込む。
「わ、やべぇ! やっぱりリカバリー間に合わない!」
「わわわ、体力めっちゃ削られてるよ!」
2人とも健闘してみせるも、あと一歩のところで敗退してしまった。画面にはGAMAOVERの文字が。
「あーあ、あとちょっとだったのにぃ!」
「くぅー! やっばいな!」
2人は後ろへのけ反って、悔しそうに天を仰ぐ。
「はい、それじゃあ……!」
「お次はチーム『正反対』だな!」
朝陽達はチーム幼馴染からバトンもといゲーム機を手渡される。和樹たちはシーツを叩いてそれぞれ自分の隣に招く。和樹の隣には未来が、美鈴の隣には朝陽が腰掛け、4人が1列に並ぶ。
「朝倉、準備いいか?」
「大丈夫です、芹沢さんは?」
「こっちもオッケー」
そして始まった第2幕。先程のチームが洗練された動きというのなら、こちらは文字通り我武者羅というべきだろう。
練習前よりは幾分かマシになったものの、特に未来の動きが荒い。不慣れな操作と、意外にも無鉄砲な彼の性がもたらす破茶滅茶プレイはチームメイトの朝陽をも巻き込む。
一方朝陽も経験者とはいえ、久方ぶりの操作には若干苦戦しており、暴走するチームメイトからの被弾も少なくない。
また、案外ムキになりやすいのか時折こんな場面も。
「あ、悪い朝倉」
未来の操作するキャラクターの攻撃が朝陽のキャラクターに誤って危害を加えてしまった時。朝陽は弾幕を未来に浴びせる。
「あ、ちょ、朝倉……」
「すみません、故意です」
「タチ悪いなお前」
噛み合わない連携が続く2人に、見かねた美鈴が声をかける。
「お二人さーん。今回負けたチームは50回腹筋ねー」
BGMだけが奏でられる一瞬の静寂が訪れ、
「「え」」
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