寝ろ
無事美鈴をベッドに抑え込んだ未来と和樹。美鈴も渋々といった様子ではあるが大人しくしている。掛け布団の中で僅かに脚をジタバタさせているものの、落ち着きを見せている。
窓から差し込む陽の光はまだ明度を変えることなく、部屋の中の4人を仄かに照らす。
美鈴を横にさせるために疲弊した和樹たちは疲弊した様子でぐったりとベッドに寄りかかっている。
「ハァ、サンキュな未来……」
ヨロヨロと立ち上がった和樹が未来の元に歩み寄って握り拳を前に突き出す。
「おう……」
未来は顔を上げて自身も拳を和樹とゴツッと合わせる。和樹はそれに笑みを浮かべる。彼は一連のドタバタを見守っていた朝陽の方へ振り向く。
「朝倉さんもごめんな。お見苦しいものを見せて」
「あ、いえ、お気になさらず」
律儀にもおずおずと頭を下げる朝陽。未来はそれを淡々と見つめる。一方ベッドに横になっていた美鈴はガバッと
起き上がり、未だ瞳を輝かせている。
「ねね、みんなでゲームしようよ! せっかくならチーム戦で!」
「「早よ寝てくれ」」
男2人が声を揃えて止めようとするが美鈴は止まらない。
「えー!? 朝倉さんだってやりたいよね!やりたいって言おうよ〜」
「へ? あ、いや……」
朝陽は困惑した様子で眉を下げて返答に詰まっている。
「か、風邪ならやはりちゃんと休んだほうが……」
「大丈夫だって! 熱だってもう引いてるし!」
そう言って僅かに鼻を啜る美鈴を見て和樹は苦笑を浮かべて立ち上がる。
「んー、ならもうみんなでゲームすっか」
「和樹……」
未来は呆れたようにため息をつく。しかし彼もまた、これまでの付き合いでこの手が1番だと理解している。美鈴は良くも悪くも自分の欲求に素直だ。ヤダヤダと駄々を捏ねれば梃子でも動かない。
「んで、何のゲームする?」
諦めのついた様子の未来が美鈴へ視線を送る。彼の言葉に美鈴は遠くの太陽に負けず劣らずの輝きを表情に映す。
「えーとね、今この部屋に4人いるわけでしょ? だから2チームに分かれてスコアを競い合おっかなって思いまーす!」
そう言って美鈴はベッドから抜き出し、勉強机の隣に備え付けられている棚に駆け寄る。
棚の中には本やアルバム、アクセサリー、その他ゲームカセットのパッケージなどが並べられている。
美鈴はそのパッケージ群の1つを手に取って3人に見せる。
それは一昔前に流行となったシューティングゲームだ。未来達が小学生の頃に大きな賑わいを社会で見せた。
「おけ、じゃあ俺もそれ持ってくるわ」
和樹はそう言って部屋を後にする。階段をリズム良く降りていくのが確かな衝撃と軽やかな音で伝わってくる。
「お家でしょうか?」
「ああ、あいつの家ここの真っ正面だから」
朝陽の呟きに未来が答える。未来の返事に美鈴がブンブンと頭を上下に激しく振る。
「え、そうなんですか?」
少し予想外のアンサーに朝陽が静かに驚きを見せる。美鈴は朝陽の前に駆け寄って上機嫌に手を取る。
「そうなんだよそうなんだよ! 幼稚園に入る前からずっと一緒でさぁ!」
「あ、幼馴染なんですね」
「そうそう、ずっと仲良しなんだよねー!」
和樹の帰りを待つ中、遠くの青天では空高く雲が立ち込めている。
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