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22.過去の夢ーENDー

みんなでショッピングモールに出かけてから、約一週間が過ぎた。流れ星騒動が落ち着き始めた今週末、全国ニュースをにぎわした話題があった。

それは、海外でも有名な映像大賞を、国内で作成されたドキュメンタリーが受賞したのだ。それも、一般の人が撮影したものが。

この映像、流れ星騒動の真っ只中に撮影されたものだから、大人が一人も登場しない。この映像を見た海外メディアは、当時の状況の深刻さを理解したらしく、希少価値があるから受賞できたものらしい。


タイトルは「大人のいない町」。

偉そうにしているおっさんもいないし、老人もいない。子供が生き生きしている様子を、映しているようだ。


このニュースが届くと、授賞式の映像をバックに全国ニュースで盛大に放映された。その後しばらくして、帰国した作者の方が、雑誌のロングインタビューに応じていた。その時のタイトルが、「見えない映像作家」だった。パッと見ると理解できない話だけど、実はこの映像作家さんは視覚障害があって、受賞時は全盲だったのだ。でも、小さい時には普通に見えていたらしい。しかも、その当時の趣味が、写真だったらしいのだ。インタビューの最後に本人は、

「ぼくは、小さいときに持たせてもらったデジカメを片手に、家の近くでたくさん写真を撮るという趣味がありました。でも、学生時代に急な病気で視力を失ったんです。だから、たくさんあったやりたかったことを、ほとんど諦めてきたと思います。流れ星のおかげで、病気になる前の姿に戻れて、昔やり残したことができたんです。今は僕の夢のために協力してくれた皆さんに感謝しています。ありがとうございました。」

と、書かれていた。

病気になる前の元気な体を取り戻し、この1ヶ月を夢に費やした、こんな素晴らしい人もいた。もしかしたら、歳のせいで諦めてきたことを実現できた人もいるかもしれない。どんな人にも与えられた、かけがえのない時間。僕ら家族とは違う過ごし方を、世の中に伝えていける人も、増えて来たのだろう。小型化で起きた騒動のすぐ後、最初は自分たちのことしか考えられなかった国民も、時間がたつにつれて自分や周りが見えてきたとき、評価し、動きを変える力になってきた。でも、たくさんあったはずの評価できる人の存在は、研究の成果の報道とそれに対するどよめきでかき消され、隠れてしまっていた。それが、元に戻ったことで、たくさん見つけた素晴らしい人の姿に、焦点が当たるようになった。僕が見たドキュメンタリーのテーマは、さっきのインタビューの人がモデルになった、「目の見えない写真家」、「職員の葛藤~様変わりした介護施設~」、「撮影中断!映画製作会社の判断」などなどだった。どれも、考えればわかったけど、実際にその状況に置かれた人たちは懸命だったのだ。


いろんな爪痕を残した小型化の影響の影は、だんだんと遠ざかっているのを感じた。すぐに、昔のものといわれる時が来るだろう。そうなる前に、いろんな情報や映像を残していけたらいいと思った。

僕にとって、思い出す手段は、写真屋さんからもらってきた家族写真だ。これさえあれば、まだ昔とは言えないほど、はっきりと思い出せる。もしいつか、小型化を知らない人に出会ったら、僕自身が教えてあげられるように……。

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