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神人戦争  作者: 鈴仙R
13/14

神人戦争の終結

「父さん…」

俺は…間違っていたんだな…

父さんを誤解していたよ…

父さんは自分のためだけに生きてたわけじゃないって、最後の最後でわかったよ…

ごめんな父さん…ありがとう

俺は動かなくなった父さんの体の前でそう告げた。

「泉…」

そして俺は泉のもとへ歩み寄った。

「助けに…来たぞ」

返事はない、が、確かに生きている。

息をしている。

「さあ、帰ろう…みんなのとこへ…」

俺は、泉へと手を伸ばした。

「ひどいことを…するなあ…兄さんは」

背後から拓未の声がした

「生きて…いたのか…」

「そうさ…でもさすがの僕も危うかったよ…あと少しで死ぬところだったよ…」

拓未は左半身が動かないのか、体を引きずりながら迫ってくる。

「やめろ拓未、そんな体じゃ俺は殺せない」

「うるさい‼調子に乗るなよ兄さん‼兄さんを殺すいいハンデだよこんなの‼あ、でも結局兄さんは死ぬんだけどね‼」

「拓未…今父さんと母さんのとこに行かせてやるからな」

「ははっ‼何言ってんの!?先に行くのは兄さんの方だよ‼」

そういうと拓未は何かを投げた。

「大上…中川…生きて…いたのか」

「だめだよ?意識はないから。でも生きてるよ?さあ兄さん…二人に死んでほしくないならそこを動かないで」

「くっ…」

わかっている…あいつは俺を殺した後二人を殺すだろう…

でも、それでも…

「神道ぉおお!やれぇえええ‼」

大上だ、意識があったのか…

「あれ?おかしいなぁ…こいつ意識があるなんて。大した人間だね…君は‼」

「もう…『人間』じゃない…」

「大上…まさか…お前…」

「足は…もらってく‼」

まぎれもない…神の力だ。

大上は父さんから渡された薬を使ったんだ…

「くそっ…こいつ‼」

拓未が大上に向かって何かを放とうとしている

「やめろ‼拓未‼」

俺が間に合うより早くそれは放たれた。

だが、大上には当たらなかった。大上がさらに早く、拓未の足を砕いた。

「このやろぉ…よくも僕の足を‼」

「てめぇには翼がねえからな…これじゃ動けねえよな…」

「拓未…これで、本当に終わりだ。」

俺は再び拓未に向けて拳を振り下ろす

手に確かな感覚はあった。

だが砕けたのは瓦礫だ

拓未は…俺の背後だ

「油断したね‼兄さん‼僕にだって翼くらいあるんだ‼」

やられる…そう思った時

「チェックメイトだな…拓未君」

声とともに拓未は崩れ落ちた

そして俺の後ろには

「待たせたね、拓夢君」

泉…

「清水さん…」

「大上君、しゃべるな…」

「いや、俺はここまでのようです…」

「あきらめるな大上‼まだ神を拒むシールがある」

「試したさ…」

徐々に大上の声が弱まっていく

「清水さん…中川が起きたら伝えてください…雫を頼むって…」

「ば、バカ‼あきらめるな‼いつも言ってただろう、最後まで生きる希望を捨てるなって‼」

「泉…」

「すいません…清水さん、でも…もう足も動かないんです」

「まだ、治る‼きっと治る‼だから死ぬな‼あきらめるな‼」

「…さん、すいません」

泉の表情がこわばった。

「…知っていたのか…大上君…」

「すいません、葵さん、実はずっと知っていました。あなたがなくなったお兄さんの代わりをしていたことを…」

「葵…?」

「あなたは、立派にお兄さんの、泉さんの代わりを務めていました。もう、泉さんの代わりをしなくてもいいんです…強くふるまわなくて」

「大上君…」

「神道…俺は…俺の死で終わりだ…」

「大上…」

大上の顔から生気が徐々に薄れて行っていた。

「まだ、おわらねぇだろ…」

「いいや、終わったんだ…」

「お前には俺たちの副隊長でいてもらわないと困るんだ‼まだ死ぬな‼」

「俺は、もう副隊長じゃない…」

「だって…」


大上は死んだ。

安らかに眠るような顔だ。

「神道君…いや、拓夢君…」

「教授か…」

背後からかけられた声に対し、俺はそう答えた。

「教授、あんたはどうする…」

「私には何も残っていない、殺すなら殺すがいいさ…」

俺の中ではこいつに対する殺意が燃えるように強く暴れた。

だが、その殺意も一瞬にして消えた。

「殺しはしないさ…大上も言った通り」




戦争は終わったんだ…




「いず…いや、葵か」

「ごめんね、拓夢君…今まで黙ってて」

「いや、俺もうすうすおかしいとは思ってた」

「そっか…、積もる話はあると思うけど、今は私たちの帰る場所にかえろっか。」

「そうだな…中川は…」

「あそこ、話はすでに済ませてる。」

「そうか…」

中川のそばによると中川が泣いていることに気づいた。

当然だろうな、中川は、大上と特に親しかったから

「中川…」

「わかってる…わかってるよ…ないちゃいけないってことくらい…でも…でも‼」

「いいの…中川君。泣きたいときは泣いても」

「葵…さん…」

そして、中川は再び泣き出した。

そして俺は教授のもとへ

「なぁ、父さんは、どんな人だったんだ…」

「アイツは、人一倍正義感が強かった。小さいころから曲がったことが嫌いでいじめや差別なんてもってのほか嫌った…」

そうして、長々と教授は話してくれた。

母さんと父さんの出会い…俺の出生…父さんの目的

「アイツは人類神化計画と言っていたが、本当はそんなもの望んでいなかったんだ」

「でも、父さんはたくさんの人間を殺した…それはやっぱり、償えない罪だ」

そういった俺に教授は名簿のようなものを渡してきた

「これは…?」

「見てみなさい、これは私たちが今まで殺めてきた人のリストだ」

リストに目を通すと、大半が犯罪者だった。

以前テレビで見た通り魔や大量殺人者…

「一般人にはてをかけていないのか…」

「それでも殺しはしたがね…」

「魅光は、奥さんが事故死したと君に伝えたのかね?」

「いや、いなくなったと」

「そうか…拓夢くん、今だから言うが、君の母親は殺されたのだ。」

「…え?」

「休日、街中で通り魔に刺されたらしい、それからだ…魅光がおかしくなったのは、罪人とはいえ、人を殺めるようになったのは」

「じゃあ、母さんは父さんを愛していたから研究に協力したわけじゃないのか?」

「いや、それは違う。君の母親は魅光に伝えた、私を使って…、と」

「教授、あんたはさっき人類神化計画はなかったといったが、母さんはその計画のこと知っていたのか?」

「無論だ、彼ら夫婦は、特に魅光はこの計画で死ぬことを前提にしていたのだからね。私が死んでもよかった…だが私は…」

そういって教授は俺に右腕を見せた

「適合できなかった」

義手だ…白衣に隠れてわからなかった

「私たちの計画は、この世から負の感情をなくすことだった。きっと無くなりはしないだろうがね…でも、きっと少なくはなる。そのためのピースが君だった」



  拓夢、お前は私たちの計画に必要な最後のピースだ



俺の脳裏に父さんの言葉が浮き上がった

「まさか、父さんは…」

「この戦争の脅威として、君に殺されることを望んだ、この世の、憎しみをすべての背負って」

「でも、それで憎しみがなくならなかったら、父さんの命は無駄になるじゃないか…」

「そのための君だ」

「え?」

「拓未くんは、未来を拓くという意味で名づけられた。君には成し遂げられなかった夢を拓くという意味でなづけたんだよ。君の神の力を世界の抑制と希望にしてね」

「俺の…力を…?」

「あぁ、それに、見てみなさい。魅光の満足そうな死に顔を…」

教授の後ろに寝かされていた父さんの顔は笑っていた

「長年、息子に憎まれ、自分の一生を短く見定め、妻を失う。決して幸せな一生とは思いづらいが、最後に、君と戦えたことが救いだったのだろう。そして、君ならできると信じているのだろう。」

めから、涙が零れ落ちるのを感じた。

「傍にいてあげなさい、きっと喜ぶ。」

そういって、教授は離れていき、ほどなくして葵がやってきた

「拓夢君…あの…」

「葵、俺さ、今色々思い出したんだ。父さんのしてくれたこと」

「うん…」

「母さんが死んでから一度だけ、出かけた。その時、ある一家と一緒に」

「うん…」

「葵、俺昔、すでにお前に会ってたんだな」

「私は覚えてたよ…」

「ごめんな、俺は忘れてたよ」

「いいよ、こうやって思い出してくれたもの」

「なぁ、葵…」

「なに?」

「俺さ、父さんみたいな男になりたい」

「…」

「強くなって、子供も守って、世界を守って…」

「自分より、人のために生きたい…でしょ?」

「うん…それでさ…葵」

「なに?」

「俺はあと一年で、18になる。だからさ、俺と…結婚してほしい」

「いいよ、私もずっと思い続けていた人だもん。とっても嬉しいよ…」

うれしかった、そして照れくさかった。

言葉が出てこない

「じゃぁ、かえろっか?」

「そうだな、みんな心配してるだろうしな」

俺たちは歩き出した。

未来へ、そして、みんなのもとへ

どうもみなさん、鈴仙Rです。

この話で神人戦争本編はおしまいです。

考えれば、思いのほか長い間続きました。

私としては、もっとはやく終わっている予定だったんですがねw

さて、本編は終わりましたが、あと一話、おまけといいますか、後日談というか、そんな感じの話を考えております。

最後の余興のようなものですのでよろしければお付き合いいただけると嬉しいです

それでは、これにて

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