共闘…そして…
「協力するからには情報をよこせよ、卓蔵」
そういうと、卓蔵は少々難しい顔をしてからこう答えた
「アイツは、お前の…弟だ」
弟?見たところ俺と年は離れていない…
「どういうことだ…俺には弟はいない…母さんがいなくなった日まで弟なんていなかったじゃないか」
「それは…あいつは、母さんの血だけを引いているからだ、あいつは母さんの細胞から繁殖させた、いわば、母さんンぽクローンのようなもの。」
「なんで、そんなこと…」
そういって、男の顔を見ると確かに母さんの面影がある。
「やぁ、父さん。そして初めまして、兄さん」
声も男かと疑ってしまう。
「拓未…こんなことはやめろ」
「いやいや父上、僕はもうこんなところにはいられないんですよ?人類を滅ぼさなければ」
「卓蔵…こいつに何を吹き込んだ」
「拓未には、私たちの計画についての一切を話した。ただ、話過ぎてしまったのだ。まだ幼かった拓未は意味をはき違えたまま、育ってしまった。」
「それが、人類を滅ぼすってことか。」
「そうですよ兄さん。だから僕はここにいる人間を殺そうとした。目的のために、父さんの悲願を叶えるために、それなのに、この男」
拓未は教授を蹴り飛ばした。
「この男が僕の邪魔をしたんですよ。だから、邪魔だから僕はこいつを殺すことにした。この研究所に残っているただの人間は、あと一人だったのにね?」
「拓夢、わかってるな?あいつを弟だと思うな」
「ああ、そうか…兄さんが新たに二人連れてきちゃったんだね…仕事を増やしちゃって仕方ないなぁ…兄さんは。まぁ、結局みんな殺すからここに二人連れてきても変わりはないんだけどね?」
そういって、拓未は不敵な笑みを浮かべた。
「中川‼大上‼逃げろ‼」
俺はそう叫んだ、だが、遅かった。
拓未は何かを二人に向け撃った。二人のいた場所は跡形もなく吹き飛んだ。
「大上…中川…」
「拓夢、集中しろ、あいつを止めないと被害は増える一方だ。」
「くそっ…ごめん…大上、中川…」
俺は二人に向けて泣いてやることも、悲しんでやる暇もなかった。
拓未を止めないと泉やハカセ、雫さんまでやられるからだ。
「敵はとるからな…」
「おやおや…兄さんはほんとに仕方ない人だなあ…そこまで僕の邪魔をするなんて、決めたよ。兄さんも殺す。邪魔をする奴はみんな殺す…」
「拓未、それなら私はお前を殺さないとな。父親として、そして私たちの計画のためにな」
「父さんも僕の邪魔をするのかぁ…僕の願いは父さんの悲願を達成することなのに…でも安心してよ父さん。父さんを殺してでも、父さんの願いは僕が叶えてあげるから」
そういうと、拓未は消えた。
いや、消えたように見えただけだった。
気が付くと拓未は俺の背後に…そして、卓蔵も俺の背後に
「気を抜くな‼拓夢‼今までの奴らとは違う‼」
「やっぱり、父さんを殺すのは骨が折れるなぁ…じゃあ先に父さんを殺そう。幸い兄さんはまだ力には慣れてないようだし。」
そういって、拓未はまた消えた。そして、声だけが聞こえる。
「父さんは、ひどいよね。僕をあんなとこに4年もとじこめちゃってさ。」
「それは、お前が私の部下を殺したからだ」
「だって、父さんのすぐそばに人間がいたんだよ?殺さなきゃ」
「私は何も殺せとは言っていない‼私の計画は人類を殺すのではなく人類が神へと神化し、人類がいなくなるだけの計画だ‼」
「だからこの力を持っていない人間を殺して何が悪いのさ‼」
「これから力を得る人間を殺すことは間違っている‼」
「父さんだって‼たくさんの人間を殺したじゃないか‼」
拓未のその言葉の後、卓蔵が吹っ飛んできた。
卓蔵は瓦礫に体を打ち付けた。
「私は…殺したいわけじゃない…戦争になってしまっただけなんだ…」
「なにをいまさら、結局たくさん殺したことには変わらないじゃないか。父さんも結局僕と一緒じゃない」
「違う‼私は断じて殺戮を好む貴様とは違う‼」
「卓蔵…」
俺は…卓蔵という人間を誤認していたのだろうか…
ただ、拓未と違い、少なくとも平和を望んでいるのはわかる。
俺はその平和を認めるわけにはいかない…ただそれだけだ。
「兄さん…戦えない人間は邪魔だからどいてよ…先に殺そうか?」
「拓未…お前は間違っている‼」
「なにがさ!?僕はただ、父さんと同じことしてるだけじゃないか‼僕の何が間違っているっていうのさ!?」
「それは、お前が自分の遺志で考え、悩み決断した答えじゃないからだ、だから、卓蔵の本意が伝わらない‼」
「拓夢…」
「カン違いするなよ…お前をかばったわけじゃない」
「なにさ…本意って…父さんがやることは全部正しいんだ‼それを真似した僕も正しいんだ‼何も間違ってなんかないんだ!」
「意志をはき違えたお前は間違ったことをただ、正しいと思い込んでるだけだ‼」
「うるさい‼黙れだまれだまれぇ‼」
狂ったかのよう拓未がツッコんできた。
今度のは俺にも見える。だが…
目の前に人が立ち、拓未の腕がそいつの体を貫いた
「卓…蔵…」
「バカだなぁ…父さんは、自分から死にに来るなんて…」
「拓未…すまんな…」
「何を謝ってるのさ…」
「未来を切り拓く人間になって…欲しいと思って名づけた名だった…それが、未来を切り捨てつつある…とはな…」
「なに…言ってるのさ…さっさとくたばれ‼この死にぞこない‼」
「お前を…一人で、母さんのとこにはいかせないからな…」
「何する気さ‼離せ‼離せよ‼」
「拓夢…頼む…」
「あぁ…」
イメージだ…俺はこの男と一緒に拓未を…殺す。
「やめろよ兄さん…その手をおろせよ‼僕はまだ死ぬわけにはいかないんだ‼」
「拓未…お前がちゃんとした形で生まれてこれれば…」
ちょっと、考えてしまった。短い間だったけど、こいつは俺の弟、血はつながってないかもだけど…
「俺に、弟はいない…」
ごめんな…こんな形で出会わなかったらきっといい兄弟になったかもしれないのに
「兄さん‼やめろ‼やめろぉおおおお‼」
そう叫ぶ弟と
「すまない…拓夢」
謝る父さんに向けて俺は…
どうも、インフルだった鈴仙Rです。
今回は会話文が多くなってしまい読みにくいかもです。
そしてまた急展開です。
もっと構成できるならいいんですけど…
さて、物語も残すところ本当にあとわずかです。
最後までお付き合いいただければ幸いです。




