第6話 リープだらけの初デート②
「えーっと、待ち合わせは『カフェ・コンチェルト』だったな。ここだ」
俺は麻衣から聞いた待ち合わせ場所に到着した。
しかし、デートだなんて……。
正式にはそうは言われていなんだけど……。
どうしても顔がニヤけてしまう。
こりゃ、既に脈ありなのかも!
「坂東君、お待たせ!」
その声に振り向くと麻衣が居た。
――か、可愛い。
麻衣は私服に着替えていた。
黒の五分袖カットソーにカーキのワイドパンツを合わせ、キャスケットを被っている。
私服の金堂さんもかなりイイ!
「ううん、俺も今来たところだから」
「じゃあ、入りましょう」
俺は麻衣に促されるように、店内に入った。
店内はいかにもイマドキ感があるお洒落な雰囲気を漂わせていた。木目のテーブルに吊り下げ照明、壁には手描きのメニュー。店全体を温かい空気が包んでいる。
本当にデートなのだとしたら雰囲気はばっちりだ。
「街を周るって言ってたけれど、どうしてここなの?」
俺は堪らず真意を聞いた。
「街は後でいくつか周るわよ。先ずはここってこと。私のお気に入りのお店よ!」
麻衣はメニューに軽く目を通すと、手を挙げて店員に注文を促した。
「はい、ご注文を承ります」
「チョコレートパフェください!」
「俺はホットコーヒーで」
「畏まりました」
店員は注文を聞き終えて去っていく。
「ふーん、坂東君はコーヒーだけで良いんだ」
麻衣が大きい目をパチクリさせて俺を直視する。
「ああ、腹は減ってないからな。それにしても、チョコレートパフェなんだ」
「ここのチョコレートパフェ、超美味しいんだよ! 何杯でも食べれちゃう!」
麻衣はよだれを垂らさんばかりで、幸せそうな顔をしている。
本当に好きなんだな、チョコレートパフェ。
「お待たせしました」
暫くすると、チョコレートパフェとホットコーヒーがサーブされた。
コーヒーを一口すると、
「美味い!」
俺は唸った。
コーヒーに拘りがある方ではないが、これは確かに美味い。
「でしょっ! ここ、味には定評があるんだから!」
麻衣はパフェをモグモグ頬張りながら、まるで自分のことのように得意気に話した。
それにしても、金堂さん、そんな勢いで味わってるのかな……?
「す、凄く食べるのが早いんだね……」
「う、うん……」
麻衣は顔を少し赤らめた。
「そんな好きなら、もうちょっと味わって食べた方が良いんじゃない?」
「……いいのよ。気にしないで。今日は存分に味わうんだから」
ん?
これはまさか……。
「はあ、美味しかった!」
麻衣はあっという間にパフェを平らげてしまった。
すると、おもむろに立ち上がる!
……これは、やっぱり!
――ダッ!
――ピカッ!
「お待たせしました」
気付くと、チョコレートパフェとホットコーヒーがサーブされた。
コーヒーを一口すると、
「美味い!」
俺は再度唸った。
「でしょっ! ここ、味には定評があるんだから!」
麻衣はパフェをモグモグ頬張りながら、まるで自分のことのように得意気に話した。
……やっぱり!
金堂さんはタイムリープして、チョコレートパフェを周回で堪能しているんだ!
確かに、タイムリープならばお腹も膨れないし、何度も楽しめる。
なんてことを考えるんだ…金堂さん!
「はあ、美味しかった!」
――ダッ!
――ピカッ!
――ダッ!
――ピカッ!
――ダッ!
――ピカッ!
……
何回ループしただろうか。もう優に十回は超えているだろう。
俺は何回口にしたか分からないコーヒーを再び口にした。
俺もコーヒー以外の物を頼むべきだった。でも麻衣は注文前までは時を戻してくれない。
チョコレートパフェ、美味しそうだな……。
俺は物欲しげな目で、麻衣の方を見つめた。
「何、坂東君? もしかしてチョコレートパフェ食べたいの?」
「い、いや、うん……、でも悪いから」
「私、これで結構満足だから、残り半分あげるよ!」
そう言うと、パフェを俺の方に押しやった。
「ありがとう!」
俺はパフェを頬張った。
美味い!
確かにパフェは美味しかった。
加えて、あんなに美味しそうに食べる麻衣を何度も見続けたんだ。
不味いはずがあろうことが無い。
でもこれって……
「……これって間接キスだよな……」
つい言葉に出してしまった……。
目の前では麻衣が顔から湯気を出している。
しまった!
――ダッ!
――ピカッ!
もう余計なことを言うのは止めよう……。
俺はもう一度サーブされたコーヒーを口にしながら、反省をした――




