↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/40

第37話 天使が駆け出したクリスマスイブ①

 12月中旬。クリスマス一週間前。何だかソワソワする時期だ。

 クリスマスが近づくからだとか、もう年末だからだとか、そういうわけではない。

 もうすぐ終業式で二学期が終わり冬休みになる。でも休みがワクワクするわけでもない。

 学校に来なければ、麻衣と会う理由がなくなること。

 この事実が妙に俺の気持ちをソワソワさせていた。

 結局、俺は麻衣さんにとって一人のクラスメイトに過ぎないんだよな……。

 そんなことを教室の休憩時間に考えていると、

「よう、洋祐。何をボーっとしてるんだよ?」

 永田昇が俺に話し掛けてきた。

 昇は転校してきた俺にとって、数少ない友人である。

 おせっかい好きなところがあって、コミュ力も高く、校内の情報通でもある。

 故に、あまり目立たない俺とも友達になったような感じだ。

「いや、もうすぐ二学期も終わるなと思ってね」

 俺は昇に目を向けるでもなく、黒板の方に向かって遠い目をする。

「そうだな。もうすぐクリスマスに、お正月に。で……」

 昇はここで語気を強めた。

「お前は麻衣に告白はしたのか?」

 俺は驚いて急ぎ黒板から目を離し、昇の方に向き直した。

「な、何のことだよ」

「そりゃあ、いつもあんだけくっついてりゃあ、そう思うよな。」

 俺は焦った。

 やっぱりそういう風に見られているのか!

 文化祭でほっぺにチュー、修学旅行では二人で自由行動していた俺達は、目立つところには目立っていた。そうでなくても、昼食で一緒に購買に行くことは、日課のようになっている。

「ま、何でもないならいいんだけどさ。何かあるんだったら、それは問題だぜ?」

「……問題って何だよ?」

「もう知ってると思うけど、麻衣はあれで隠れファン多いからさ。もうすぐクリスマスやらイベントの季節だから、そろそろデートに誘ったり告白したりする奴が出てくるぜ」

「な……」

 とか言いつつ、思い当たるところは既にあった。

 知らない奴から声を掛けられ、麻衣との関係を問われたことが既に二度有ったのだ。

「まあ、俺の情報網によれば、三人ぐらいは告白すると思うな」

「昇……。お前、やけに詳しいな」

「俺の情報網を甘く見るなよ。て言っても、お前と話したことが無い奴も多いから、俺にもお前と麻衣の関係を聞いてくる奴が何人かいるのさ」

 そんなこと本当にあるのか?! その時はそう思っていた……――


「金堂さん、ちょっと良いかな?」

 翌日お昼休みに、麻衣と一緒に購買へ向かい、廊下を歩いている時だ。

 俺も知った顔が麻衣に声を掛けた。確か、隣のクラスの西本だ。キリッとした顔立ちの男前で、クラスの女子も噂しているのを聞いたことがある、

「何?」

 麻衣が返事をすると、西本はチラッとこっちを気にした。

「ちょっと二人で話したくてね。」

「……分かった、俺は外すよ。」

 そう言うと、俺は先に購買に向かった。

 何の話かはその時は気にも留めなかった。


「今日の昼は何にするかな」

 いつものごとく購買の行列に並びながら、そんなことを考えていたその時、

 ――ダッダッダ!

 ――ピカッ!

 駆け寄ってくる足音と、黄金色の光が煌めいた。

 麻衣が急いでこちらにやってきて、タイムリープしたのだ!

 気付くと俺は麻衣と廊下を歩いている。

 購買に向かうところまで時間を巻き戻したのだろう。

 一体どうしたってんだ…麻衣さん!

「今から購買に行くまで、絶対に私から離れないでね」

 頭の中がハテナに包まれていると、更なる謎を麻衣から告げられた。

「う、うん。」

 どういうことなんだ??

 そしてそのまま廊下を歩いていると、やはり西本と出会う。

「金堂さん、ちょっと良いかな?」

「何?」

 西本はやはりチラッとこっちを気にする。

「ちょっと二人で話したくてね。」

 すると、麻衣は俺の制服をグッと引っ張る。ここに留まれってことね。

 俺は理解した。でも一体なんだって……。

「今から購買に行くところなの。二人で話す内容なら後にしてもらえる?」

 麻衣の言葉には冷たさを感じた。それでも西本は話を続けた。

「じゃあ、今ここで良いよ。クリスマスイブに俺とデートしてくれないか?」

 えー?!

 俺は驚いた。デートに誘ったこと自体もそうだが、何より俺が隣に居るにも関わらず、堂々とデートを誘うとは!

 これには麻衣もびっくりしたようだ。少し首を傾げながら、思案をしたようにすると、

「クリスマスイブは予定があるの。ごめんなさい」

 そう言い放った!

 え? マジで?!

 俺も思わず少なからずの貰いダメージを受けた。

 麻衣さん、誰と何の予定があるんだよ……。

「やっぱり、坂東と付き合っているのか?」

 西本は俺と麻衣を交互に見渡しながら問い詰めてくる。

「い、いや違うよ」

 俺が気まず過ぎて否定するのを、麻衣は聞いていたのか、いないのか、

「クリスマスイブは坂東君と約束をしているわ」

 麻衣は平然とした顔で言い放った!

 え?! 聞き間違いじゃないよな??

 俺は麻衣の言葉が信じられなかった。

「そっか……。じゃあな」

 西本はその場を立ち去った。

「あ、あの……麻衣さん?」

「あの人、ああ見えて意外にしつこいのよ。はっきりと断った方が彼のためなの。」

 ああ、なるほど。一回目で嫌な思いをしたんだな、きっと。

「でも嘘は良くないと思うよ……」

「……じゃあ、本当にする?」

 そう言うと、麻衣はペロっと舌を出した。

 ど、どういうこと??――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。