第36話 チョイサウンドの前で
「洋祐君、良いじゃない……。合格よ!」
洋祐がチョイサウンドにハンカチを探しに行く姿を見送りながら、香奈が私に呟いた。
「もう、さっきから何よ。私と洋祐君はそんなんじゃないって!」
「麻衣、さ。もうちょっと自分の気持ちに素直になりなさいよ」
カフェ・コンチェルトでの会話を思い返す。
「麻衣、洋祐君のこと気になってるでしょ? 私が採点してあげる!」
「えー?! そんなんじゃないって!」
そして今日を振り返る。
もう! 香奈はいつも思い込みが激しいんだから!!
でも、私、周りからはそう見えるのかな……?
私も私で、何でムキになってタイムリープを繰り返したんだろう?
「私はさ、ボーリングが上手いとか、歌が上手とか、そういうところで言ってるんじゃないわよ?」
「え?」
「ボーリングの時も私達のボールを磨いて渡してくれたり、カラオケの時も飲み物を注文してくれたり、今だってハンカチを探してくれたり……。そういうふとした優しさがある人だってこと」
「うん、それはそうだけど……」
「あと、何より一生懸命よね、全部!」
何でだろう……。洋祐君が褒められると私も嬉しい……!
「でも、二人とも受け身過ぎるよ。どっちかがリードしなきゃ、うまくいかないかもね」
香奈がそう言ったところで、チョイサウンドの自動ドアが開き、洋祐君の姿が見えた。
「洋祐君、ありがとう! ハンカチあった?」
「うん、忘れ物で受付に届いてたよ。はい、これ!」
香奈と洋祐君のやり取りを見ながら、私は考えていた。
もう少し、自分の気持ちに積極的になってみても良いのかな――




