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第33話 眉山の山頂で
眉山の山頂からの景色は綺麗だった。
私には、この街がどういう街なのか、理解は出来ていない。
ただ、この街の一つ一つに、きっと洋祐の思い出が溢れているのだろう。
今日出会った莉子と洋祐の掛け合いを振り返る。
二人の口からは、その思い出の数々が繰り出された。
それを聞いている私には不思議な感情が沸き上がっていた。
嫉妬?
いや、それは明確に違う。
何というか、「羨ましい」と思った。
洋祐君との思い出をたくさん共有している莉子さんが羨ましい……。
もしかして恋なのかな?
でもそれはまだ分からない。
この風景から見える雲のように、この気持ちはまだ捉えどころが無く、簡単に形を変えてしまうもののように思えた。
それでも、洋祐君との思い出を私も作りたい。
これは私の今の素直な気持ちだ。
少なくとも、今ここに二人でいるこの光景は、確りと心に刻んでおこう。
何十年経っても忘れない思い出にしよう。
そう思うと、私は後ろを振り向いて駆け出した。
このひと時を繰り返すために――




