↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/40

第29話 思い出溢れる修学旅行①

「はい、皆静かに!」

 武佐高校の二年生は羽田空港に集まっていた。

 ワイワイと騒ぐ生徒を前に、担任が戒める。

「これから飛行機で徳島に向かいます。周りに迷惑を掛けないように」

 そう、俺達は修学旅行で徳島に向かうところだった。

 何で徳島なんだ?

 徳島に見どころが無いから言っているのではない。

 むしろ、俺は徳島の見どころを知っている。いや、知り尽くしている。

 そう、徳島は俺の転校元―俺の地元だからだ。

「どうしたの、洋祐君?」

 俺が遠い目をしている様子を見て、麻衣が声を掛けて来た。

「いや、何で修学旅行が徳島なんだろうなって……」

「例年お世話になっている京都の旅館が改修中なんだって。それで今年は徳島って話になったらしいよ」

「それで徳島って言ってもなあ……」

「でも徳島楽しそうじゃない!」

「ああ、徳島は良いところだよ。でも俺の地元だからなあ。」

「あ、そっか! じゃあ三日目の自由行動の日は案内してよ!」

「え? あ、うん。もちろん良いよ!」

 マジかー!

 そうか、最初から麻衣さん誘えば良かったんだな!

 不思議なことに、今まで色褪せて見えていた羽田空港の景色が、一気に色彩鮮やかになった――


 初日。飛行機を降りると、鳴門に向かった。鳴門の渦潮を見て、国際美術館で芸術鑑賞。

 二日目は、祖谷渓谷に向かい、かずら橋(サルナシ等のカズラ類で編まれた吊り橋)を渡り、吉野川でラフティングをした。

「徳島って意外に楽しいところなんだね」

「自然がダイナミックだよな」

 市内の旅館に戻るバスの中で、皆が徳島を評価する声が聞こえてくる。

 来る前は「何で徳島に?」という声があることは俺の耳にも入っていた。

 まあ、「何で徳島に?」とは俺が一番そう思っていたわけだが、徳島をバカにされるのは俺も気分が良くない。

 どうだ、皆!

 徳島の良さを思い知ったか!

 しかし俺自身と言えば、旅程全てが既に体験したことがあるもので、楽しいには楽しいが新鮮味は全くなかった。

 しかし、俺の勝負は明日の自由行動日!

 三日目に期待を全集中させながら、ここまで二日間の日程をこなしていた――


 そしていよいよ三日目。午前九時に十分前。俺達は徳島市中心の旅館のロビーに集められていた。

「今日最終日は自由行動の日です。皆さん、街の人に迷惑を掛けないように気を付けて行動してください。午後三時までには遅れずに戻ってくること」

 担任が注意事項を述べると、生徒一同は沸き立った。

「よっしゃー、自由行動だ!」

「どこ行こうかな?」

 ほんと、皆どこ行くんだろう? 俺は地元だから当たりはあるけれど……。

「洋祐君!」

 そんなことを考えていると早速麻衣が現れた。

「今日は徳島を案内してよね!」

「うん。いくつか考えてはいるけど、どういうところ周りたい?」

「なるべく地元の人しか行かないところがいいな」

 ……そりゃ意外だったな。でもそっちの方が目立たないしいいか。

 俺も麻衣とデートみたいな感じで目立ちたくはなかった。ただでさえ、文化祭でほっぺにチューを披露したのだから。

「じゃあ先ずは徳島市内を一望できるところに行こう」――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。