第27話 生徒会お悩み相談②
「ちょっと違うんです。同じクラスに気になる男の子が居るんですけど……。これが恋なのかどうか分からなくて」
「そんな臆病……」
「どういうところが気になっているのかしら、彩菜さん?」
麻衣が奈美の言葉に強引に被せて、彩菜に質問をした。
「ハジメ君……、私の気になる人はハジメ君って言うんですけど、いつもそばに居てくれるんです」
「……うん」
「一緒に居ると楽しいんですけど、それだけじゃなくて、ワクワクしたり、嬉しかったり、びっくりしたり、怒ったり、自分の色々な感情が込み上げてくるんです」
今度は麻衣の方が何か思案するように黙ってしまった。
何を考えているんだろう…麻衣さん?
「隣に居てくれるだけで、自分の世界が、感情が広がるなんて経験は今までなくて……。それでこの気持ちの名前が分からなくて悩んでいるんです」
「そんな文学的な表現なんて使っているから難しい話になるのよ」
再び奈美がぶちこみ始めた。
「自分の気持ちなんかね、行動しなきゃ分からないのよ! こんな風にね!」
――チュッ!
今度は俺に軽いキスをしてきた!
あー!
俺のファーストキスがまた奪われた!
あ……ってことはセカンドキスか?
――バシーン!
またしても反対隣りに座っていた麻衣が俺を引っぱたいた。
ど、どうして……?
どうせ時を巻き戻すのにどうして引っぱたく必要があるの…麻衣さん!
――ダッ!
――ピカッ!
そして時は巻き戻る。
「隣に居てくれるだけで、自分の世界が、感情が広がるなんて経験は今までなくて……。それでこの気持ちの名前が分からなくて悩んでいるんです」
「そんな文学的……」
「それが恋なのかは、もちろん私達には分からないわ」
麻衣が再び奈美の言葉に強引に被せて、言葉を繋いだ。
「でも、その素直な気持ちをハジメ君にぶつけてみるのはどうかな? 告白とも違う形で」
「気持ちをぶつけてみる、ですか……。それなら出来そうな気がします!」
「恋かどうか決めつけたり悩んだりしてても仕方がないよ。告白だけが今の答えじゃないんだから」
その言葉を聞いて、彩菜の顔がパーっと晴れた。
「ありがとうございます! そうしてみますね!」
彩菜は満面の笑みを浮かべて、うんうん唸っている。
良かった! 麻衣さん、凄いな。言われてみればその通りだよな。
何でそんな考えに行きついたんだろう?
俺は麻衣をボーっと見つめながらそんなことを考えていると、
「ふーん……」
隣で奈美が興味深そうに声を上げた。
「麻衣さん、良く分かっているじゃないの」
「え? あ、はい、ありがとうございます」
「ったく、これは誰の恋愛相談だったのやら」
その一言に、俺も麻衣もキョトンとした。
奈美はそんな俺達を尻目に、
「一件落着、私はここで手を引くわ」
こう言い放った。
その目は何故だか俺の方を向いている。
「そ、それはどういうことですか?」
俺は慌てて奈美に食いつく。
「本人が自覚したなら、もう私の出る幕は無いってことよ」
その目は今度は麻衣に向けられている。
そして奈美は席を立って生徒会室から出て行った。
残された俺達は、ただただポカンとしていた――




