第26話 生徒会お悩み相談①
秋晴れが綺麗なお昼休み。
俺と麻衣は、いつものように購買でパンを買って、麻衣と一緒に昼食を採っている。
あー、平和だなあ。
転校してから色々なことが起きて混乱気味だった俺の心は、秋の空に癒されていた。
しかし、平和だと思っていた俺の心に、一筋の雲が掛かる。
「洋祐君、生徒会長の奈美さんから呼び出しがあって、今日放課後空いてる?」
「うん、空いているけど……」
「なんか呼ばれているのは私達二人だけらしいんだけど、何かしらね?」
俺はくだんの生徒会見学の後、奈美さんから強引に生徒会メンバー入りをさせられていた。これまでに生徒会委員活動にも数回参加している。しかし、生徒会以外での呼び出しは初めてだった。
何か嫌な予感がするな……――
放課後、生徒会室。麻衣と一緒に扉を開けて中に入ると、既に奈美が部屋の中で仁王立ちしていた。
「麻衣さん、坂東君、呼び出してごめんなさいね」
「はい、構わないんですけど、どういった御用でしょうか?」
麻衣が少し緊張した面持ちで奈美に問いかける。
「とある生徒が私のところに来て、相談を持ち掛けてきたのよ」
「相談……ですか」
「ずばり恋愛相談よ!」
『恋愛相談?!』
俺と麻衣は顔を見合わせた。
「まあ、平たく言えば、相談してきた女の子が好きな男の子に告白できないって類の話よ」
「でも、どうしてこの人選なんですか? 私、恋愛経験無いですし……」
「お、俺も恋愛偏差値ゼロに近いですよ!」
顔を真っ赤にして悲鳴を上げる俺達に対して、奈美は面白そうにその反応を窺う。
「そんなこと良いのよ。恋愛相談なんて、話を聞いてあげて背中を押してあげればいいだけなんだから」
「そ、そんな適当な……」
「大事なのは、聞き手が誠実そうかどうかよ。その点、あなた達は『ド』が付くぐらい真面目だからね。そういう人選が良いのよ」
「そ、そんなこと言ったって……」
麻衣は目をパシャパシャ泳がせている。
「言っておくけど、拒否権は無いわ。もう相談者をここに呼んでいるし」
え? 展開早すぎない??
奈美がそう言うと、タイミング良く、
――コン…… コン……
生徒会室のドアがノックされた。
「来たわよ。覚悟を決めなさい」――
俺、麻衣、奈美の三人は今、栗色の髪をポニーテールにした女の子と机越しに向かい合っている。
「あの……」
その女の子は「あの……」を繰り返すこと五回。明らかに話しあぐねていた。
「そ、それじゃあ、お互いの自己紹介から始めましょう」
麻衣が助け舟を出す。
「私は金堂麻衣、二年A組です」
「俺は坂東洋祐、同じく二年A組です」
「私も一応自己紹介しておくわ。鈴岡奈美、三年A組よ。生徒会長をしているわ」
「あ、あの……、私は須田彩菜、一年B組です……」
彩菜の名乗ったその娘はようやく会話を成立させた。
「それで悩み相談っていうのはどういうことなの?」
麻衣は彩菜が下級生と理解して言葉を崩しつつも、優しく彩菜に語り掛けた。
「あの……」
しかし彩菜はやはり赤面してうまく話さない。すると、
「同じクラスの男の子が好きになっちゃって、告白したいんでしょ?」
奈美がばっさりと本題を切り出した。
言いにくいことを……。相変わらずサバサバしてるなー!
「ちょっと違うんです。同じクラスに気になる男の子が居るんですけど……。これが恋なのかどうか分からなくて」
「そんな臆病なら一生掛かっても恋愛できないわよ」
「な、奈美さん、そんな言い方……」
俺は隣に座る奈美の無碍な言い方に反論して、奈美に向いて言いかけた。その時!
――むぎゅ!
奈美が自分の腕に俺の腕を絡めた!
「ほら、こうやって黙って腕を絡めてやれば良いのよ。後は男の方で勝手に考えるわ」
な、奈美さん!
はい、俺、何でこうなってるのか必死に考えてます!
――バシーン!
反対隣りに座っていた麻衣が俺を引っぱたいた。
ど、どうして……? これは不可抗力だよ…麻衣さん!
――ダッ!
――ピカッ!
そして時は巻き戻る。




