第22話 不思議だらけの文化祭④
不思議な余韻を残した占いの館を出ると、俺達はいくつかの展示や中庭のステージライブを観て周ったりしていた。
「もう周れてもあと一個ぐらいかしらね」
奈美が時計を見て呟く。
「そこの三人、体育館で巨大迷路なんかどうですか?」
一人の呼び込みが声を掛けてきた。
「ふーん、巨大迷路か」
俺は何とは無しに気になった。
「今、ちょうど空いてるんですよ」
呼び込みは両手を合わせて「ヘルプ」みたいな感じで誘ってくる。
すると、隣で奈美が少し頭を傾けながら、口を開いた。
「そうね、行ってみるのはどうかしら?」
「俺は構わないですよ」
「私もいいですよ」
「なら決まりね」
こうして俺達は体育館に足を向けた――
「入ってみると、結構複雑で分からないもんだな」
俺は段ボールやらパネルやらで仕切られた迷路の中で迷っていた。
時間帯の問題なのだろうか。呼び込みが言うように中はガラガラだった。
三人は別々に入場させられて、今は離れ離れになっている。
俺は少し迷っていた。
どう進んだら良いものか……。
すると、
「あら、坂東君」
コーナーを曲がったところで、俺は奈美と遭遇した。
「あ、奈美さん。奈美さんも迷ってますか?」
俺は奈美と出くわして少しホッとした。
「ううん、あなたを探していたのよ」
「え?」
どういうことだ?
俺を探していたって……。
「隙だらけよ、洋祐君」
すると驚くべきことが二つ起きた。
――チュッ!
俺の唇に柔らかい感触が伝わった。
突然奈美が俺の肩に手を掛け、キスをしてきたのだ!
そして驚くべきことのもう一つ。
俺の目線の先に、曲がり角から出て来た麻衣がちょうど現れたのだ!
――見られた!
俺は焦りに焦った。
「な……。どうしてですか?」
「したかったからしただけよ」
奈美は表情も変えずに、平然と言ってのける。
「寅子からも、『奪われないように気を付けなさい』って言われてたのにね。油断する方が悪いわよ」
な……。なんなんだー?!
その時――
――ツカツカツカ……
麻衣がこちらに歩みを寄せてくる。
その表情は「虚無」だ!
――バシーン!
お、俺、ビンタされた!
麻衣さん、何で俺を殴るのー?!
「奈美さん、どういうことですか?」
「あら、見てたの? ちょっとキスしただけよ。あなたに関係あるのかしら?」
「関係は無いですけど……。洋祐君のこと、本気なんですか?」
「本気だったら、あなたはどうするの?」
「え? どうするって……」
麻衣は俯いた。答えに窮していた。
「冗談よ。私も自分の気持ちを試してみただけ」
『な……』
俺と麻衣の驚きが重なる。
そして奈美は両手を広げた。
「でも、心が震えなかったわ。勘違いだったかもしれないわね」
そ、そ、そんな理由でキスしちゃうの?!
俺のファーストキスだよ?
しかも、唇奪っておいて「勘違い」って……。
都会って怖え……。
――ダッ!
――ピカッ!
ここは時間を戻すのか…麻衣さん!
時を戻された俺は、急いで俺の元に駆け付けた麻衣により、奈美との接触を阻止された。
その後、巨大迷路からは何事も無く抜け出すことが出来た。
ただ、俺の思考の迷路は続く。
麻衣のタイムリープの意図は何なのか。
そして、さっきのをファーストキスとカウントして良いのかどうか……――




