第20話 不思議だらけの文化祭②
「チョコバナナください!」
麻衣が嬉しそうに注文する。
俺達はクレープの模擬店に来ていた。
ここは麻衣の提案だ。
麻衣さん、チョコレートパフェといい、本当に甘いものが好きなんだな。
きっと、タイムリープで周回する気まんまんなのだろう。
俺達三人はクレープを受け取ってテーブルに着いた。
すると、テーブルの上には一枚のビラが置いてある。
「……校内写真ミスコン?」
「ああ、今年もやるのね」
奈美もビラに目を落として呟いた。
「これ、何なんですか?」
「男子が文化祭中に校内の女子の写真を撮って、このURLに投稿するのよ。それでミスコンを決めるってものよ」
「へー、そんな企画あるんですね」
すると、チョコレートバナナクレープを美味しそうに食べる麻衣が、横から口を挟んだ。
「これって去年、奈美さんがミスコン選ばれてましたよね!」
「ま、マジで?!」
「そうだったわね」
奈美はそう言いながら少し思案する。
「そうね。坂東君、私を撮って応募してよ」
「え?」
「一人二枚まで投稿できるから、いくつか撮っていいのを選んでね」
「は、はい」
俺はスマホを取り出した。
すると奈美は、いくつかポーズを取り始めた。
俺はそれらをスマホで撮影する。
・いちご生クリームクレープをペロっと舐めるポーズ。
・いちご生クリームクレープにかじりつくポーズ。
・生クリームを唇に付けて上目遣いのポーズ。
……etc.
結論、どれもエロい!
そんな俺を麻衣はあきれた目で見ている。
ごめん、麻衣さん。
これは不可抗力なんだ!
「上手く撮れたかしら」
「は、はい!」
「じゃあ、ご褒美に私のクレープ一口、あ・げ・る!」
そういうと手に持つクレープを俺の口元に近づけた。
俺は奈美のムンムンした色気に圧倒される。
「はい、あーん」
――パクッ!
あ、甘い!
すると隣の椅子から「カタカタカタ」と揺れる音が聞こえて来た。
麻衣さんだ!
麻衣さんが肩を震わせている……。
そして麻衣は立ち上がった!
――ダッ!
――ピカッ!
軽い眩暈が俺を襲う。
何でタイムリープを?!
「はい、あーん」
俺の目の前にクレープが差し出されていた。
その時、
「洋祐君、チョコバナナの方が好きよね?」
麻衣が口を挟んだ!
「え? いちご生クリームも好きだけど?」
――ダッ!
――ピカッ!
「はい、あーん」
「洋祐君、チョコバナナの方が、好・き・よ・ね!」
今度は語気がかなり強い。
もう質問ではない。
「う、うん」
俺は圧倒されて生返事になった。
「私のあげる。はい、あーん」
――パクッ!
これも甘い!
でもなんか複雑な気分だ。
「ふーん……」
奈美はそんな俺達の様子を見て、興味深そうに呟いた――




