第19話 不思議だらけの文化祭①
「いらっしゃいませー!」
「焼きそば三つですね。九百円になります」
今日は武佐高校の文化祭当日。
焼きそばを焼く音と焼けたソースの匂いが蔓延する二年A組の教室は、繁盛していた。
俺達のクラスの出し物は「メイド焼きそば」だった。
と言っても、女子がメイド服を着て接客や調理をするだけ。
他は単なる焼きそば屋と変わらない。
俺は販売を担当していた。
その裏では、麻衣が焼きそばをホットプレートで焼いている。
「麻衣さん、焼きそば出来た?」
俺は手元の焼きそばが足りなくなるのを見て、麻衣に声を掛けた。
「うん、ここに十個出来てるから持って行って」
麻衣の方に振り向いた俺の目線が固まる。
「な、何ジーっと見て……」
しまった!
俺は麻衣に見とれていた。
ブラウンのワンピースに白のフリル。ふんわり広がるスカート。胸元と頭の髪飾りには、それぞれリボンが付けられている。
か、可憐すぎる!
「私、これ焼き終わって区切りがいいから終わるね。着替えてくるから待ってて」
そう言うと、麻衣は教室を出て行った。
そう、俺は今日麻衣と文化祭を周ることになっている!
麻衣の方が俺を誘ってくれたのだ。
でも、俺には分かっている。
きっとタイムリープを使って何かをしたいのだろう。
残念ながら期待しすぎてはいけない……。
はあ、麻衣さんも罪だよなあ……。
そんなことをぼんやり考えていると、
「坂東君、焼きそば屋、いつまでシフト入ってるの?」
突然、目の前の人影が話しかけてきた。
豊満な胸に、見事なくびれ。この、やけに色気のあるこの人は……。
生徒会長の鈴岡奈美さんだ!
「あ、鈴岡さん、こんにちは。シフトなら午前だけなんで、もうすぐ終わりますけど」
「ちょうどいいわ。ならこれから一緒に文化祭周りましょう」
「え……。どうして俺が?」
「いいから。あなた転校生なんでしょう? 学校を案内してあげる」
奈美はかなり強引に俺を誘ってくる。
な、何か狙いがあるのか?!
「……実は俺、金堂さんと一緒に周る予定なんです」
「あら、麻衣さんと。なら一緒で構わなくてよ?」
その時、ちょうど麻衣が戻ってきた。
「洋祐君、お待たせ。あれ? 奈美さんも?」
「麻衣さん、こんにちは。私も坂東君と一緒に文化祭周らしてもらうわよ」
「え?」
奈美は麻衣に対しても強引に話を進めた。
「あら、何か都合が悪いことでもあるかしら?」
「いえ……、それは無いですけど……」
「じゃあ、決まりね!」
結局、俺達二人は押し切られてしまった。
くー!
せっかく、麻衣さんと二人で周れると思ったのに!
でも、両手に花だな……。
奈美の豊満な胸に目を落としながら、そんな邪なことを考えていた――




