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第16話 真剣PK勝負①

「生徒会見学?」

「うん。洋祐君にぜひ一度見学に来てもらいたいの」

「そもそも麻衣さん、生徒会だったの?」

「そうだよ!」

 それは突然のお誘いだった。

 麻衣は生徒会に所属していて、生徒会の人数が全然足りていないとのこと。

 そこで、生徒会委員は誰かを見学に誘ってきて、関心を持ってもらうことが義務付けられたらしい。

「うん、いいけど……」

 俺は生徒会と言われてもピンと来ていなかった。

 ただ、麻衣と接点を持てることには大いに興味があった。

「じゃあ、早速今日の放課後に生徒会の打合せがあるから、参加してね!」

「分かったよ」

 生徒会活動か。俺には馴染みがないものだな。

 どういう活動をしているんだろう?


 放課後、生徒会室。

 確かに生徒会委員の人数は少なく、数人しかいなかった。

 俺は見学者として生徒会の席に着席している。

 知っている顔もあった。

 池谷だ!

 ……あいつ、生徒会だったのか!

 俺が暫く生徒会を眺めていると、俺達の目の前に立っている三年生で生徒会長の鈴岡奈美が口を開いた。

「それでは生徒会を始めます。今日は見学者がいるのね」

 それにしても、鈴岡さん、一学年上とはいえ、やけに色気があるな……。

 俺は奈美をボーっと眺めていた。

「痛っ!」

 俺は隣に座る麻衣から腕を軽く抓られた。

「挨拶よ、挨拶」

 麻衣が俺の耳元で囁く。

 ああ、そうだった……。

「はい、坂東洋祐です。今日は見学させてもらいます。よろしくお願いします」

「坂東君、よろしくね。それでは今日は地域活動について議論をします……」――


 その後、生徒会では地域活動案について喧々諤々と議論が行われた。

 ・募金活動

 ・ペットボトルキャップ回収

 ・地域清掃活動

 ・ちびっこ触れ合い企画

 …etc.

 ふーん、こんな議論もするんだな。

 俺は初めての生徒会活動に触れて、少し関心を引かれた。

 その中でも麻衣は真剣に議論に参加している。

 こんな一面もあるんだ。

 そんなことを考えていると、

「せっかくですから、見学している坂東さんにも意見を聞いてみましょう」

 急に生徒会長の奈美からボールを投げられた。

「はい……。えっと……」

 どうしよう?!

 これは予期していなかった……。

「ちびっこ触れ合い企画なんかいいんじゃないですか? 将来、武佐高校に来てもらいたいって思ってもらえれば」

 俺は適当なことを言った。

「そうね。武佐高校のイメージアップやブランドアップに繋がるかもしれないわね」

 奈美はそう言うと続けた。

「具体的にどんな企画かイメージはある?」

 まずい!

 そんなところまでは全く考えてなかった……。

「……ち、ちびっこPKゲームとかはどうですか? サッカーの」

 俺はやはり適当に答えた。

 これは完全に思い付きだ。

 単に昨日サッカーをテレビ観戦していて思いついただけだった。

 すると、意外なところから声が上がった。

「俺も坂東の意見に賛成です」

 池谷だ!

「俺の所属しているユースチームとのコラボも考えられますよ」

 こいつ、サッカー少年だったのか!

「あら、そう! それなら集客も盛り上がるかもしれないわね」

 この一言で、生徒会の雰囲気は一気にPK案に傾いた。

 企画は「ちびっこ集まれ! PK大会(仮)」と名付けられ、具体的な案が次々と話されていく。

「……じゃあ、実際にサッカーグラウンドを見て、当日の配置とかのイメージを作ってみましょうか」

 奈美がそう言うと、

「俺、やりますよ。麻衣ちゃん、手伝ってくれるか?」

 池谷が爽やかに手を挙げた。

 名前を出された麻衣が戸惑う。

「私、サッカーとか良く分からなくて……」

「そんな大それたもんじゃないよ。PKだけなんだからさ……」

「でも……」

 麻衣が躊躇っていると、俺の腕の服が引っ張られた。

 目を落とすと、麻衣が手で引っ張っている。

 麻衣はそっと俺の顔を見る。

 俺はその顔で察した。

「……じゃあ、俺も手伝うよ。発案しちゃったし」

 今度は池谷が一瞬戸惑う。

 対照的に、麻衣は安堵した様子だ。

「そう! それは助かるわ。それでは、池谷君・金堂さん・坂東君の三人でグラウンドの視察をお願いね」

 奈美が「一件落着」という顔をして言う。

「それじゃあ、今日の生徒会はお開きにしましょう」

 こうして俺の生徒会見学は終了した――


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