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第12話 涙のWデート③

 列が前に進むと、いよいよ俺達の番になった。

 すると、麻衣が妙な行動に出る。

 タイムリープをしたのだ!

 どうして?!

 シーンが再び順番待ちになる。

 そして次に順番が着た時にも、麻衣はまたタイムリープをした。

 なぜ?

 もしかして……。

 そして次に順番が着た時、俺は駆け出そうとした麻衣の手を掴んで制止した。

「もしかして、麻衣さん、絶叫系苦手なの?」

 すると麻衣は顔を赤らめながら、

「うん……」

 こくりと頷いた。

 俺は勇気を出した。

「じゃあ、このまま手を繋いでいよう」

 すると、麻衣の顔がみるみると紅潮していくのが分かる。

 しかし、握った麻衣の手は否定しなかった。


 ――カタカタ…… カタカタ……

 前列に池谷と留美が、その後ろに俺と麻衣が座るコースターが動き出した。

 コースターは最初に坂を上り切ると、一気に下降を開始する。

「キャー!」

 隣で麻衣が悲鳴を上げる。

「うぉっ!」

 俺も堪らず小さく声を上げた。

 ジェットコースターが怖いわけではない。

 麻衣が腕を絡ませて、しがみついてきたのだ!

 俺の心臓は張り裂けそうになる。

 一方、前方の池谷は、余裕があるのか、こちらをチラチラと振り返り見てくる。

 気のせいか、俺は睨まれたような気がした――


「じゃあ次はどうする?」

 ネズミーコースターから降りると、また池谷が爽やかに言った。

「次はネズミ屋敷に行こうよ!」

 ここは麻衣が先陣を切り、一同の賛同を得た。

 俺は麻衣の耳元で囁く。

「麻衣さん、お化け屋敷は怖くないの?」

「うん、むしろ大好きよ」

 良かった。

 俺はホッとしたと同時に、少し残念でもあった。

 それじゃあ、ラッキーハプニングは起こらない、か……。


 ――チュウ…… チュウ……

 ――チュルルルルル……

 ネズミ屋敷に入ると、ネズミのお化けの怨念の声が聞こえてくる。

 中は暗いが、目を凝らすとかろうじて姿が見えるぐらいの明るさだ。

 ――チュー!

「キャーッ!」

 ネズミの妖怪お化けが脅かしてきて、留美が悲鳴を上げる。

 そして留美は両腕でそのまま池谷の腕を掴んだ。

 北島さん、良い感じ!

 俺は留美のそんな様子を微笑ましく見ていた。

 一方の麻衣はというと、その顔を見てもお化けに驚いている様子は全く無い。

 池谷と留美の様子を見て、満足そうでもある。

 そして暫く歩みを進めると、

 ――ピカッ!

 ――チュウウウウウー!

 血だらけの巨大ネズミの顔がハイライトされる。

 ネズミが悲壮感満載の顔で恨めしさを表情しつつ、それを演出する血や傷跡がリアルだ。

 これはグロテスクだなあ。

 と言っても、俺からすれば子供だましだが。

「キャッ!」

 今度は麻衣の声だ。

 なんだ、麻衣さん、これは怖いんだな。

 しかし、目を凝らして麻衣の方を見ると、俺は驚いた。

「な……」

 池谷が、留美に掴まれた腕と反対の手で、麻衣の手を握りに行っているのだ!

 なるほど!

 麻衣はこの手に驚いたのか!

 ぬ……、許せん、池谷!

 俺は麻衣の反対の手を引っ張り、自分のところへ引き込んだ。

 その勢いで麻衣の手は、池谷を振り払う。

「麻衣さん、大丈夫?」

「うん……」

 麻衣の表情は暗くて分からない。

 だが、きっと俺と同じように顔を紅潮させているだろう――


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