第11話 涙のWデート②
「じゃあ、先ず何にしようか?」
園内に入っても池谷が仕切る。
こういう仕切りを爽やかに出来るのがイケメンなんだろうな。
俺と麻衣は、本日の主役である留美に目を向ける。
「あ、じゃあ、空いてそうだしネズミーカップにしようよ」
留美がハッとしながら行き先を決めた。
留美の言う通り、ネズミーカップは空いていた。
「じゃあ、二人一組に分かれようか」
俺が気を利かせたつもりで言うと、
「いやいや、四人乗りだから四人で乗ろうよ」
池谷が俺の言葉を否定した。
俺は思わず麻衣の顔を見る。
すると、麻衣は躊躇うように留美の方を見る。
「留美、四人で良い?」
「うん……」
留美は少しシュンとしながら、池谷案に賛成した。
留美が承諾すると、俺も麻衣もそれ以上は何も言えない。
「じゃあ乗ろうか」――
四人乗りのカップに乗ると、何故か池谷は俺と麻衣の間に割って入ってきた。
池谷の隣に陣取れなかった留美は、ここでも表情が蔭る。
――♪♪♪
音楽が流れると、緩やかにカップが動き始めた。
「よーし、回すぞ!」
池谷はそう言うと中央にあるハンドルに手を掛ける。
「それ、それ、それ、それー!」
池谷は勢いよくハンドルを回す。
横Gが掛かる!
『キャッ!』
麻衣と留美が小さな悲鳴を上げた。
すると、池谷の肩に麻衣の肩が、俺の肩に留美の肩が当たる。
ぬおおおおー!
麻衣さんの肩が、池谷に密着してるー!!
おい、イケメン!
お前、反対回せよ!
「あはは、楽しいだろう!」
池谷はずっと一方向にしかハンドルを切らない。
もしかして、わざと、なのか……?
その時、俺は背筋がゾクッとした。
麻衣がキッと俺を睨んでいる。
その目は、留美の肩に触れている俺の肩に向いている。
手で小さく「離れろ」とサインを送ってくる。
違うんだ、麻衣さん!
これは不可抗力なんだ!
「ふー、楽しかったな!」
ネズミーカップから降りると、池谷が伸びをしながら、爽やかに呟いた。
そりゃ、お前は楽しかっただろうに。
俺は心の中で毒づいた。
その時、麻衣が俺に近づき、耳元で囁いた。
「今日の目的、分かってるわよね……?」
「うん……」
麻衣に釘を刺された俺は、挽回するために口火を切った。
「次はネズミーコースターに乗ろうぜ!」
俺達はネズミーコースターの列に並んでいた。
絶叫系なら確実に二人横並びだ。
これなら間違いは起きるまい。
そう思っていると、
「二人横並びだな。どう乗ろうか?」
また池谷がぶっこんで来た。
ここはこいつの好きにはさせられない。
「俺が麻衣さんの横に乗るよ!」
俺がそう言うと、池谷は大げさに驚いた顔を見せて、
「へえ……、二人はそういう関係なの?」
こう言い放った。
すると麻衣が顔を真っ赤にして、
「違うわ!」
真っ向から否定した。
そこまで強く否定されると、俺もつらいよ…麻衣さん。
「冗談だよ、冗談。なら、グーパーで別れようぜ」
こうしてまたしても池谷にペースを握られてしまった。
『グーパー……ジャス』
四人でグーパーすると、なんとその結果は……。
俺と留美がグーで、池谷と麻衣がパーで別れてしまった!
しかし、それを見るや否や、麻衣が後ろを向いた!
――ダッ!
――ピカッ!
こうして俺達は、正当なるグーパーの結果、池谷・留美ペア、俺・麻衣ペアに分かれることに成功した。
ナイス、タイムリープ…麻衣さん!――




