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転生した大家族長女の私、今世は天使なちびっこと幸せになります!  作者: 沙夜


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命の眠る、宝の山 9

「あの! アドルフ様、コーパル村に寄ってみたいのですが、いけませんか⁉」


 ただの想像だ。でも、なんとなくその考えは間違っていない気がする。


 もし、もしも私の考えが正しければ――。


「あ、ああ。構わない。どんな様子か少し確認できればと思っていたので、私としてはありがたい話だが……」


 アドルフ様の許可を得た私たちは、コーパル村へと馬車の方向を変え、なんとかしてあげたいという気持ちで到着を待つ。


「それにしても、急にどうしたんだ?」


「お話を聞いていて、ちょっと気になることがありまして」


 詳しくはまだ話せない。そうと決まったわけではないのに、変に期待を持たせるわけにはいかないから。


「おねぇちゃん、やっぱり、かんじる」


「そう。教えてくれてありがとう、クラリス」


 はやる気持ちを落ち着かせようと、クラリスの手をぎゅっと握る。


 もしもそうだったら、村が再興するきっかけになるかもしれない。


 そのままにしておいても、いずれ発見される日は来るだろう。けれど、その時にはもう、移住せざるをえない人が増えて、村がなくなっているかもしれない。それに、気付かれずに片付けられてしまう可能性だってある。


 だったら今、それを確かめてみる価値はある。


「到着いたしました。足元に気を付けて降りてください」


 馬車が止まり、御者の方から声をかけられ、私たちは下車した。コーパル村。思っていたよりも復旧は進んでいる様子だが、村の人々の活気はあまりない。


「公爵様……? あの、本日はどのようなご用事で……?」


 急な訪問で、村の人たちが動揺している。そりゃそうよね、なんの先触れもなく領主様が現れたら、何事かあったのかと思うよね。


「驚かせてしまってすまない。近くにきたので、様子を見にきただけだ。なにも構わなくてよい」


 表情こそ無に近いが、気遣いを見せるアドルフ様の言葉に、村の人たちは戸惑いつつもお礼をしている。


「すみません、少しだけお邪魔させてください。あの、お聞きしたいことがあるのですが!」


 ずいっと前に出て声をかけると、先ほどからアドルフ様とお話ししていた村の男性は、驚きながらちらりとアドルフ様を見た。こくんと頷くアドルフ様に、男性は私の方に向き直った。


「ありがとうございます。あの、この少し先にある土砂が流れたままになっているところって、近くまで行くことは可能ですか? あと、村に土魔法が堪能な方はいますか?」


 早口でそう質問すると、男性は変な子だなという表情をしつつも答えてくれた。


「ええ、発生してからずいぶん経ちましたが、ここ数カ月は特になんの変化も見られませんし、今日は晴れていて土砂がどうこうなることはないでしょうから、危険はないと思います。あと、土魔法については、たしかに村人の中にも少しばかり優れている者もおりますが、私たちなどよりも、その、公爵様の方がよほど……」


 男性がちらりとアドルフ様に視線を送る。すると、アドルフ様がまぁなと答えた。


「たしかに私は、人より魔力量が多いし、四属性の中でも土魔法は得意な方だ。君がなにを考えているのかよくわからないが、それなりに助けにはなると思うぞ」


「そ、そうだったんですね! ではアドルフ様、大変申し訳ありませんが、私と一緒に来てください! あとクラリスも。いい? 手を放しちゃだめよ?」


「うん!」


 クラリスと手をしっかり繋ぐ。案内してくれると申し出てくれた男性とともに、私たちは土砂崩れの現場へと急いだ。


 ほんの十分ほど歩いた先にあった事故現場。採掘場の跡は見られるが、たしかにここを整備し直そうと思うと、魔法が使えるとはいえ、かなりの年月とお金と労働力が必要になりそうだ。


「……ひどいでしょう。これでもこの村は、けっこう上質な宝石が採れるって評判だったんですよ。公爵様が手配してくださった支援のおかげで、今はなんとか不便も少なく暮らせていますが……。採掘ができない以上、村として自立した生活ができるようになるのは、やはりなかなか簡単なことでは……」


 男性が肩を落とした。なんとか日々の暮らしを守ってきているけれど、先が見えないのは不安でしかない。その気持ちは、よくわかる。私だって、転生して記憶を取り戻したばかりの頃は、これからどうしたらいいのだろうって、不安になることがよくあった。


 ありきたりな言葉を並べて、励ますつもりはない。それよりも、先への希望が見える現実を見せる方が、よほど効果的だ。


「クラリス、さっき言っていた虫の反応って、どのあたりから感じる?」


 しゃがんでクラリスと目線を合わせ、穏やかな口調で聞く。男性の姿から、子どもながらにただ事ではないと緊張している様子だったから。


「えっと、こっち。おねぇちゃん、きて」


 クラリスに手を引かれ、土砂に近付いていく。服や靴が汚れないように、水魔法で薄い膜を張った。


「まず、ここ。ちょっとふかいところにある。あと、そっちとか、あっちにも。いっぱいかんじる」


 うわ、クラリスってかなり優秀なのでは? それに、それだけ多くのものが眠っているということかしら。


「ありがとう。ではアドルフ様、土魔法をお願いしてもよろしいでしょうか?」


「ああ」


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