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転生した大家族長女の私、今世は天使なちびっこと幸せになります!  作者: 沙夜


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命の眠る、宝の山 8

「ねえ、おねぇちゃん。しょうにんさんにおねがいしたネックレス、いつできるかなぁ?」


「ひと月もあればって言ってたわね。お屋敷に帰って、また使用人棟でお手伝いをがんばっていたら、きっとすぐよ」


 私の答えに満足したクラリスは、上機嫌でそっかぁと笑った。自分で決めたものだもの、そりゃ待ち遠しいよね。


 最後の街を後にして商人さんとは別れ、そんな会話をしながら馬車で揺られていると、同乗しているアドルフ様が窓の外を見て険しい顔をしているのに気付いた。


「あの……どうかしました?」


「あ、いや、すまない」


 恐る恐る声をかけると、アドルフ様ははっとして表情を緩めた。


「この少し先にある村が気がかりで……。顔に出ていたか?」


「おかお、こわかったです……」


 クラリスにそう言われてしまい、アドルフ様も苦笑いだ。


「こら、クラリス。怖いなんて言っちゃだめよ。アドルフ様は、領内の村を心配してさっきみたいな顔をしていたんだから。ところで、どのようなことで気がかりなのですか?」


 私が聞いたところでかもしれないが、前世の知識などで力になれることがあるかもしれない。それに、こういうことは意外な人から解決のヒントが出てきたりするものだ。


「……そうだな、君になら聞いてもらってもいいかもしれない。この先にあるコーパルという村だが、実は――」


 そうしてアドルフ様は、この先にある村の事情を話してくれた。


「そうだったんですね、災害で……」


「ああ、土砂崩れが起きてな。採掘場が埋まってしまった」


 私たちがこの国に来る前のことになる、約十カ月ほど前、セルヴェ公爵領を大きな嵐が襲った。そこかしこの街や村が被害にあったが、一番ひどかったのがコーパル村だった。


 なぜなら、先ほどアドルフ様が言ったように、村の財源だった採掘場が埋ってしまい、完全に収益が止まってしまったからだ。


「食料を送ったり、家や道の復興に人を派遣したりはできるのだが……。採掘場は、何年、何十年もかけて安全に宝石の採掘ができるように祖先が整えてきた場所だ。そう一朝一夕に復旧できるものではない。私にできるのは支援だけで、村を再び盛り立てられるなにかなど、思いつかなかった。領主としてまだまだ未熟とはいえ、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」


 アドルフ様が目を伏せた。


 村の貴重な財源がなくなるということは、存続が危ういということだ。支援を受けながらまだなんとかやってはきているが、いつまでもそれが続くわけではない。そして領主であるアドルフ様は、いつかその支援を断ち切らなくてはいけない。


「大昔は巨大な森が広がっていた土地なのだそうだ。村は地盤を固めてあるが、その近くの採掘場は斜面に土を盛った土地のため、地盤が緩いのだと聞いたことがある。そんな危険な場所を、もう一度採掘場として整備するわけにもいかないと思っているのだが、なかなかな。ああ、見えてきたぞ。あの向こうにあるのが、コーパル村だ」


 地盤の緩い土地は、土砂崩れが起きやすい。持ちこたえてきれなくなって、今回崩れてしまったのだろう。


「村の方たちのご心労はいかばかりかと……。なにか、解決法が見つかるといいのですが……」


 解決してみせるなんて烏滸がましいことを思っていたわけではないが、私になんとかできるレベルのものではない。なんの力にもなれないのだろうかと思うと、胸が苦しい。


「こうしゃくさま、あそこが、えっと、どしゃくずれ?があったところ?」


 その時、なにを思ったのかクラリスが窓の外を指さして声を上げた。コーパル村の近く、元採掘場であったであろう場所。土砂崩れの後、そのままにされている様子だ。


「ああ、そうだ。土魔法が得意な者に頼めば、ある程度は土砂を綺麗にすることができるだろうが……。それはまだ先の話だな。もし村の存続が難しくなれば、しばらくそのままになってしまうかもしれない」


 すぐに以前の採掘場のように宝石が見つかればいいが、必ず見つかるという保証もなければ可能性が高いとも言えない。やってみてもいいが、そう簡単なことではないだろう。


「……おねぇちゃん」


 思わず俯きそうになっていると、クラリスがくいっと私の袖をくいっと引いた。そして耳打ちをし、囁いた。


「あのね、あのどしゃくずれがあったところ、ふしぎなかんじがする」


「不思議な感じ?」


 どういうことだろう? もしかしてクラリスには宝石の在りかがわかるレーダーみたいなものがついてるとか? ……いや、そんなわけないわよね。金属探知機じゃあるまいし。


「あのね、おはかににてる。でも、にんげんじゃない、もっとちいさいやつ。むしとか、どうぶつ? ちっさいやつ」


 お墓に似てる? 人間じゃなくて、小さい虫や動物の反応があるってこと?


あ……クラリスの持つ、光魔法の魔力の影響?


 そう思い付くと、ひとつの考えが頭に浮かび、はっとする。


 ちょっと待って、〝コーパル〟村? 大昔は森だった、そしてお墓に似ている、小さい虫や動物の反応、って。

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