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876話 本当の枷。

少しだけ残酷な描写有ります。

ご注意ください。







「は?」

と朱音は唖然とした




「ぷっ!!!

あはは

良いねその顔!!!!そんな顔も出来るんだね君!!」

と優佳里は笑う

それだけを見たものならば

可憐に笑う無邪気な少女に見えるだろう



しかし今の朱音には

何かドス黒い邪悪なモノにしか見えない




「ふ…………ふは。

あはは…………そんなに驚くかなぁ?」

と笑いすぎて出た涙をぐいっと拭うと

優佳里は一歩一歩近付いて来る。



「っ…………どうやって入った?」

と朱音は震える声で言う



あり得ないからだ。


今朱音が居るのは

本当に最悪の時の為に用意した

シェルター


恐ろしい程の大金を払い

あらゆる手を使い非合法なルートで

買った結界の中だ。



朱音以外が入る事なんて出来るはずが無い


なのに優佳里は平然と

たった一人でそこに居る



結界が壊された訳でもない






その事に気づいて朱音はブルリと震えた


まるで目の前の少女が

生きた人間では無いのではないかと言う

恐怖


昔見たホラー映画の幽霊の様な

そんな現実感の無い少女に

朱音の体からは冷や汗が噴き出す。


あの屋敷の時よりも


こうして今二人きりの方が

恐ろしいと感じる


手を伸ばせばその細い首なんて

ポキリと折れそうなのに

そんな気も起きない程に

恐ろしい



「……………ソレ

自分でとっちゃったんだ?

……凄いなぁ

ソレ取ったの君が初めてだよ

……普通は泣いて取ってくださいって

命乞いするんだよ?

君って凄いなぁ

…………………それに自分の左目だったのに

足で潰しちゃったんだ?

…………良いね君

気に入った

本当の枷をつけてあげる

………合格だよ

……………………………お前の事は

ちゃんと使ってやるよ」

と優佳里は言う



「………………本当の枷?」

ポツリと朱音が呟いた

瞬間


あたりが光った


ハッとした。


この光は転移の…………




「ふふふ

ようこそ。

また歓迎するよ」

と言う優佳里


朱音の前に広がるのは

おぞましいあの

蟻の巣だ。







〜〜〜〜




今は怖いくらいに静かなそこで

朱音は唖然と立ち尽くす


蟻達の姿は無い。


「…………ねえ君。

………やっぱり君は

優秀だ

…………本能が気づいているんだね?

今騒ぐと死ぬより酷い目にあうって」

優佳里はにんまり笑うと歩き出した



朱音はフラリとそれについて行った。




(やばいやばいやばい

………………これは無理だ

甘く見ていた。

いや…………そんなつもりは無かった

筈だったが

それでも…………甘かった)


朱音は顔面蒼白で優佳里の背を眺める



優佳里の言う通りだ


何故だかわからないが

抵抗する気も怒りも何も湧いてこない


まるで無抵抗な自分に朱音自身も驚く


だが抵抗が無駄だと何故かわかる


それに

小さな不安感が

それが胸の内に降り積もっていく


(……………死ぬより酷い事?)


心臓が嫌な音を立てる。






〜〜〜〜





優佳里に連れられてそこで見たのは

悪夢よりも酷い

地獄だった。



三英が

蟻を産んでいた

意味不明の字面だが

そう表現するしか無かった


ソレを表す言葉を朱音は知らない。


人の腹から人が出てくるのなら

それは産んでいたと表現する他無い。


それも

意識がある中でだ。



言葉に表せないくらい

酷い光景だった。


何故死んでいない?

何故死ねない?

と思う



知り合いだったからと言うのも有るが

それを除いても

こんなに残酷な光景が

この世に有るのかと言う程に


それは酷かった。


殺してやりたいと心から願ってしまう程に

三英は哀れだった。


人に対する慈悲なんて無いと思っていた

自分が

優佳里に泣いて縋ったほどだ。

助けてやってくれ

許してやってくれ

殺してやってくれ

見ていられない!!!





そんな朱音に優佳里は笑いながら言った。




「アレになりたくないなら

君はどうするべきだと思う?」



その、瞬間に

きっと

本物の見えない枷がこの首にはめられたのだ。



ジョロジョロと温かい液体が股ぐらを濡らした



「……………君も漏らすの?

……………汚いなぁ」

と優佳里は眉を顰めた。






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