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875話 迫りくる恐怖。









「ガルシアっ!!!!!遅いぞ!!!!

一体どれだけ待たせたと思ってる!!!!!」


ガチャンと投げつけたコップが

床に落ちて割れる


ガルシアの頭からはポタリと酒の雫が落ちた。



「申し訳ありません。

ボス

…………薬が遅くなった事の言い訳はしません。

処罰でもなんでもお好きにどうぞ」


そう言ってガルシアは薬を自らのボス

朱音銅盤へと差し出した。



「……っ…………すまん。

ガルシア。

…………いや、理由はわかっている

………すまん

眠りが浅くてな………

お前に八つ当たりをした

許せ」


朱音はぐっと歯を食いしばり

左目を押さえた。


「いいえボス。

………………あんなカスに仕事を任せたのは自分の判断ミス。

失態です

そのせいでボスの苦しむ時間を増やしてしまった」

ガルシアはペコリと頭を下げる



「…………………いい。

やめろ

お前は悪くない。

……………………玉木だったか?

奴はまた金を持って来たそうだな?

…………取り立てに時間が掛かったんだろう?

お前のミスでも何でもない。

………………寧ろ良くやってくれている

ガルシアお前はな」


朱音は震える手で薬を口に運びながら

ニコリと笑みをガルシアに向けた。



「………………薬の量が増えましたね

………………他に良い薬が無いか

国外も調べておきます。

…………………………少しお休みください」


落ちた硝子を片付けて

それからガルシアは朱音の部屋を後にする





パタンと扉を閉めて

それからため息を吐く



(………………一回の薬の量ではない

…………あれでは薬で死んでしまうんじゃ無いのか?)

とガルシアは不安に襲われる


ここ最近のボスは薬の効きが悪い

あれでは殆ど眠れていないだろう。

目元の隈も手の震えも

酷かった。





(どうして、頼ってくださらない

俺を………

やはり金が何処へ消えているのかを

調べた方がいいのか?

だが勝手をしたら……………)


ガルシアは悩む


ボスの為にボスを裏切るなんて

聞こえは良いかも知れないが

信頼を失うかもしれない。


やはり暫くはよく効く薬を探す方が

先かもしれない。


ガルシアは舌打ちする


ほんの少し前までは

良い薬が手に入ったのだ。

しかしそれは

もう二度と手に入らない



ガルシアの失態がそれを招いた。


(………………屋敷の奴は

……………………死ぬまで薬師については口を割らなかった………

……………

クソ……またあの時のように失態を犯してたまるか………)


屋敷ゴード

薬の販売やその他多数の闇商売に手を出す男だ。


どうやってか質の良い薬を多数販売していた。

屋敷自体は小物でクソ野郎だなとガルシアは思ったがボスの為に

我慢して取引を続けていた。


しかしある時から薬を売れないと言って来た。

こちらは色々と良くしてやっていたのに


値段を吊り上げる気かと

高額を提示したがそれでも奴は

首を縦に振らなかった。


ならばと薬師について聞いたが

それも話さない。


カッとなり拷問の末に

殺してしまったのだ。



大失態だ。

何も聞き出せず

結局あの良く効く薬はその後どこを探しても無かった。



(…………屋敷の周りを洗ったが

特に何も出て来なかった……

……………ちっ……

国内に無いとなると国外か?)








〜〜〜〜







はあはあはあ




ソファーの上で自分を守るかのように

ぎゅっと丸まり

朱音は震える


薬を飲んでも痛みは消えない

せめて意識を飛ばして

恐怖から逃げたいのに

それすら出来ない。



必ず夢を見る


あの日の夢を………………














「あれ?

早かったね。

………………本当に君は優秀なんだ?

確かに愚かではない事が証明されたね。

……………頭はその中?

ミアリーそれ青児に持っていっておいて」

優佳里がさらりとそう言う。


差し出した。

スモーキーの首が入った袋を

ミアリーは受け取ると部屋を出て行った。



「では、もう枷は必要ないな?

…………コレをどうにかしてくれ」

と朱音は左目を指す


ビキビキと根の様な物はまた

広がっている


顔には出さないが

嫌悪感で吐きそうだ。


「…………どうしようかなー?

だって君が

優秀で愚かではないのは

わかったけど。

…………それと信頼出来るかどうかは別物だろ?」

と口の端を嫌な感じに上げて

優佳里は笑う



「……………話が違うぞ」

そう、静かに告げると

優佳里はニッコリと笑う




「それはこちらの台詞さ

…………君僕が子供だから何も知らないとでも思った?

……………………忍びは

裏切るってこっちの世界じゃ

常識なんだよね」 


その言葉に朱音はピクリとした


「…………言いがかりだ。

そんな事を言い出せば

何も出来んだろう」


そう告げても優佳里はニコニコと

笑うだけだ。


(ちっ……

やはり。生かしておくつもりは無かったのか?

……………馬鹿にしやがって

………これだから口約束はあてにならん)


左目周囲をうぞうぞと這う根。



背中がぞわりとする。

こんな物に殺されるくらいなら

左目など惜しくはない




「……………舐めるなよ小娘」


そう告げて朱音は

部屋を後にした。






〜〜〜〜








「っぐっ………!!!!!

んぐぅ!!!!!」


ズプリと指先に力を入れ

力任せに押し込んでいく


叫びだしそうな程の激痛に

朱音はタオルを噛んで耐える



朱音は乱暴な方法だが

左目事根を無理矢理除去する事に決めた。




この根の目的はわからないが

もし想像した通り

この体を操るものだとしたら

そんなのは御免だ。


死ぬのは嫌だ


だが死ぬ事も出来ず人に好き勝手に

この体を使われるのはもっと嫌だ。



(ぐっ!!!!!クソがぁ!!!あんの

小娘必ずいつか殺すぞ!!!!!)


優佳里への怒りを原動力に

朱音はぐちゅりと埋まった指先を

動かすとそのまま一気に引き抜いた


ブチブチと言う音と

死ぬ程の激痛


噛んだタオルも血だらけだ。

食いしばり過ぎて歯茎から血が出ている



皮膚がブチブチと裂ける



取り出したソレをべチャリと床に投げると

眼球だった物から大量のうねる

触手が蠢いていた

まるで一つの生き物だ。


残った右目でそれを確認して

朱音は吐いた。


体中汗がびっしょりだ。



(………………ぐぅ………くっ

は……やったぞ……)


抉った左目は痛むが

先程の様な痛みでは無い

純粋な傷の痛み。


皮膚の下を伸びた根を

引き抜いた時に顔にもあちこち

傷が出来たが

安い物だ。

それに朱音は男だ

そんな事は気にならない

寧ろ箔がついたくらいだ。



暗い部屋の中


自分の左目だったモノを

踏み潰して

朱音ははあと息を吐く



ホッとした


その時



「君良いね!!!

合格だよ!!!!」

場違いな子供の声がした



佐々木優佳里がそこに居た。


















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