第12話 ~石を食べる男とヴァン合流~
今回は短めです。そしてヴァンが合流します。
提供者のノーンが舞華達の前に現れて次の相手と言い、召喚術(?)で大量の自我を無くし者達を召喚する。しかし呼び出した傀儡達は既に事切れており、何故かそこに居たのは世界破壊者の四月朔日剛。既に剛とベルガイアで知り合っている正義が目を見開いてビックリ仰天。
今まで余裕の表情を見せていたノーンもこれには流石に少し焦る。
≪も……もしかしてこれ、君がやったのかな?≫
「もしかしなくても見りゃ分かるだろ。お前の目ん玉はビー玉か」
「「~~~っ!」」
≪………≫
ノーンが剛の足元に転がっている傀儡達の残骸を見て言うと、剛が凄い事を言い、佐夜(現在女の子)と舞華が噴き出すのを堪えていた。
「提供者って奴が密かに集めていた闇落ちコレクションとやらを片っ端から全部潰してたんだが……次元転移ってやつに巻き込まれたってわけか、俺は」
頭をガシガシと掻きながら自分に起きた状況を冷静に分析する剛。
「剛、何でお前がそんな事やってるんだ? そういうのって協会の人───この場合お前と一緒に別れたヴァンがやる事だと思うけど?」
「あー、ヴァンは今、別の所に居てな、協会も今人手不足らしいからその場に居合わせた俺がこうして協力してやっている訳だ(ガリガリボリボリ)」
と、正義の問いに何かを食べながら言う剛。
「ねぇ佐夜、私の見間違いじゃなければあの人『石』食べてない?」
「あ、ああ、俺の目にもそう見えるから見間違いじゃないと思、う? ……つか何でそんな物食べてるんだろうな?」
「歯応えのある固い物が好きなのかしらね?」
「いやいや、だからって石は無いだろ……」
その後ろでは女の子2人が剛を見てコソコソ話している。言わずもがな片方は先ほど見事に女性化に至ってしまった佐夜である。性別は女なのに男口調とかヤンキー臭い。
「っと忘れてた、紹介するぜ。こいつは四月朔日剛。協会機関の連中が言っていた例の『世界破壊者』だ。で、アホみたいに強い」
「アホ言うなボケ」
「うわ、お前が殴ったらシャレならんから止めろっ」
アホ呼ばわりされた剛が(本人としては)正義を軽く殴ろうとしたので、正義は咄嗟に手で庇った。何故ならベルガイアでの手合わせの後、剛が正義に軽く肩パンしただけで骨にヒビが入ったからだ。なので軽くといっても剛が殴ろうとしただけで正義は死にかける。物理的に。それほど世界破壊者の攻撃力は高いのだ。
「はぁー。初めて世界破壊者を見るけど…見た目は普通なのに威圧感が半端無いな」
「そうね。それで剛…さん? 何で石食べてるの?」
「……ああ、これか。これは石じゃないぞ。『魔石』だ」
「「いや、同じ同じ」」
魔石と言われてもそこら辺に落ちている石と変わらんて。何で石を食しているのか聞いているんだけど……。
≪くっ、一体どうなっているんだ? 僕が今まで集めたコレクションの殆どが全滅してるなんて……っ≫
一方、剛にディスられてから放置されているノーンは何やらデバイスの様な物を操作している模様で苦痛の表情をしていた。それほどノーンにとって想定外で予想外な事態なのだろう。
「……だから言ったろ。お前のコレクションとやらは全部ぶっ壊した……いや、後一つ残ってたな。……その前にこっち来ちまったけど」
「うぉい!? それ言うなよ!?」
どうせなら全部壊すか、それ言わないでくれよ。まだ敵が残っている事を言ってしまったら……。
≪……(ニヤリ)。どうやら本当に一つを除いて全滅されちゃっている様だね。けど最後に残っているこいつが一番厄介なんじゃないかなぁ? って事でポチっとな!≫
「あああっ!」
ほら言わんこっちゃない。
ノーンがニヤリと嗤い、残っていた最後の一体を遠隔で操作し呼び出す。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・。
≪………んんん?≫
「「「「「「???」」」」」」
だが何も起こらない。ノーンは勿論、身構えていた佐夜達6人も目を点にして首を傾げる。
すると、
〔神々しいー、その名はー、その名はー、その名はー(タラタタタタタ、タタタタタタタ……)〕
どこからか音楽が流れてきて皆の視線がやすしに集まる。おそらくスマホの着信音だろう。それよりも『その名は~』の後が気になる。
「すまん、俺だ(ガチャ)。こんなタイミングで電話してくるとかどうしたんだ界?」
頬を引き攣らせながら周りを警戒しつつ電話に出る。
≪やすし、俺達がいる物質界に突然説明不要の巨人が5体現れたんだがそっちは大丈夫か?≫
「………こっちは大丈夫…つかそっちに行ったんかい」
≪???≫
「何でもねぇよ。とりあえずこっちは問題ないからそっちに集中しろ」
≪お、おおう。分かったまた後でな≫
何だか釈然としてない勇治郎との電話を切りやすしはノーンを見て言う。
「お前、転送場所間違えただろ?」
≪………、あ……≫
やすしに指摘されて確認するノーン。どうやら本当に転送場所を間違えたらしい。
というのもこの魔界に闇落ち英雄を放った後にミシバイクロに色々転送したので、転送先がミシバイクロのままになっていたのだ。って敵なのにどんなうっかり屋さんだよ……。
ちなみに余談ではあるが戦闘の終わった筈のミシバイクロに現れた5体の(進○の巨人に出てきそうな)巨人達は、2体は勇治郎達協会機関が協力して難なく倒し、1体はウル○ラマンに変身したヒーローが、1体は戦隊ロボ×2が戦って辛勝し、最後の1体は仮面達と魔法少女達がワラワラ集まってフルボッコで倒した。フルボッコされた最後の1体の無残な姿はとても人には見せられない……。
≪……あ、あはははは。きょ、今日はこの辺にしておいてあげるよ≫
傀儡達のストックが切れ、現時点でのアバターもさっきのピックルで最後な故、これ以上誰かを操って戦わす事が不可能となったノーンがガチャガチャとデバイスを操作している。恐らく立体映像での通信を切って追跡されるのを防ぐのだろう。
しかし、それは時すでに遅し。
≪しかし、それは時すでに遅ーいってな≫
≪っ!?≫
立体映像越しにガチャガチャやっていたノーンの背後からこれまた立体映像のヴァンが背後からノーンの肩をテンプレ台詞を吐きながら叩いていた。いや、補足文と被ってるがな。
「え、ヴァン? 何でそこにいるんだ?」
「……ようやく足を捉えたか(ガリガリボリボリ)」
「? どゆこと?」
何故かノーンの背後から現れたヴァンに正義と佐夜がビックリするが、剛はヤレヤレと言いながら再び魔石を食す。腹壊さないのかな?
「なに、簡単な事さ。俺達はな────」
そう言って剛は話し出す。
亜空間で不自然な特異点を放つ世界を見つけたヴァン達はその後、似た様な特異点を放つ世界を長距離センサーで探し出し、そこに居た自我を破壊された者達を剛に任せ、ヴァンはこの状況を作った提供者がいる地点をあらゆるアプローチを用いて捜索していたのだ。
ちなみに発見された傀儡達は皆、剛の手によって天に召されている。一応ヴァンからも『救える奴がいたら出来るだけ救ってくれ』と言われてはいたが、傀儡達を救い、自我を取り戻させた所で後に待つのは苦しみだけなのは目に見えていたので剛はあえてそれを無視し、一思いに殺してやったのだ。実際事切れる前に殆どの奴が「……ありがとう……」と言ってたのでそれだけが救いだろう。
ついでに言うと剛はあくまで協会機関の者ではなく『協力者』なのでヴァンも強くは言えないのだ。相手は世界破壊者なので。
話が逸れたが、先ほど剛は一ヵ所だけ殲滅し損ねたと言っていたが、実はこれワザとなのだ。
ヴァンは一応ノーンが潜んでいる場所の特定を割り出す事に成功したが、ここまで来るのに色々と迂回したりダミーに嵌ったりしたのでこの場所もダミーの可能性があったのだ。下手に踏み込んで自分の場所を探られているとバレたら逃げられる危険があった故、ヴァンは身動きが取れなかったのだ。
しかし剛がワザとうっかり情報を漏らし、ノーンがデバイスを操作して巨人達を転送してくれたおかげでヴァンはノーンのいる場所が確定でき、今こうして踏み込む事に成功したのだ。
まぁ、ワザとだろうがうっかりだろうが、巨人と戦わせられている人達にとっては迷惑極まりないだろうけども。
「はぁ、俺達と別れてからそんな事が……」
「つかこの事がミシバイクロの人達にバレたら怒られるな。絶対」
ヴァンと剛の説明を聞き正義と佐夜がそれぞれの反応を見せる。
≪さてと、やっとのこさで元凶を追い詰める事が出来た訳だが……あ、ちなみにこの場所にある電子機器及び特殊波動を帯びている物は『限定封鎖』によって使用出来ないから逃げるのは無理だぞ≫
≪っ!? くそ……っ≫
立体映像越しにヴァンがノーンを追い詰める。その場にいないのは分かってはいるんだが何だか緊張する。
≪で、本来ならこのまま拘束してもいいんだが……この件、そちらに任せた方がいいのかもな≫
「こちらに任せるって何でだ?」
≪だってそっちにはこいつに騙されたが末に闇落ちしたが佐夜、お前に救われた奴がいるだろ? 舞華っつったっけ。ユフィやリオ達から事情は聞いている≫
「わ、私?」
ヴァンにいきなり話しかけられてビクッとなる舞華。
≪そうだ。こいつの処罰を俺達に任せるか、それとも君が闇落ち英雄達の代表としてこいつの落とし前着けるか。好きな方を選んでくれ≫
「そんなの………自分で決着着けるに決まってるじゃない!」
このまま協会機関にノーンの処罰を任せるか自分でやるかを聞かれ、舞華は溜めた後、即決して言った。
≪だってよ。さ、行こうか♪≫
≪い、嫌だ、行きたくない! 嫌────≫
嫌な笑みを浮かべながらノーンの肩に手を置き、嫌がるノーンと共にヴァンの立体映像が消える。
「───だーっ! ────はっ!?」
「はい到着っと」
そして佐夜達の背後にヴァンとノーンが転送してきた。
「あ、あわわ、あわわわわわ………」
自分が直接転送された事を悟ったノーンは慌てて逃げようとする。
「逃がすか!」
「ひっ!?」
だが舞華に回り込まれてしまった。ノーンは尻餅を着く。
「よくも……よくも今まで私を……私達を弄んでくれたわね」
ポキポキポキ──────
ふっふっふ、と今まで溜まった恨みを晴らさんと言わんばかりに指をポキポキと鳴らし、
「そんなアンタが楽に死ねると……思わない事ね!」
手に込めた魔力パンチでノーンに振りかぶった。
次回に続く。
次回、遂に決着。




