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第13話 ~金(禁)の誓約~

すみません。土曜までに間に合わなかったヨー。

それで今回は話が長すぎるので2つに分けました。

なので決着は次回に持ち越します。ご了承ください。

 バットエンドの制作が大好きな提供者ノーンを遂に追い詰めた一同。舞華の希望もあって協会機関ではなく、被害者の暫定的代表の舞華が直接断罪すべくノーンを追い詰め拳を振り上げる。


「死に晒せぇ!!」

「うわあああ!?」

 ……どっちが悪者か分かんない。つかとても女の子が言うセリフじゃない。


 パシッ!


「「え?」」

 すると舞華の拳がノーンに直撃する直前に誰かに止められた。

「待て待て。そう急ぐんじゃない」

 舞華の拳を止めたのは先ほど舞華の希望を受け入れてノーンを連れてきたヴァン。


「……アンタ、どういうつもりよ?」

「だから待てっての」

 舞華が握られた手を振り解こうとするも百戦錬磨のヴァン相手ではビクともしない。


「本来ならこの場合、わざわざ協会や機関が介入する必要は無く、当事者同士で解決するのがベストだろう」

「だったら───っ」

「だから聞けって。俺がこうやって止めたのにはきちんと理由がある」

「理由?」

 興奮して冷静じゃない舞華に代わって近くにいた佐夜(女の子バージョン)が首を傾げる。


「普通ならこのままお前を放置してこいつを撲殺しても構わないが「ええぇぇ……」、この状況を別の『提供者エンターテイナー』に収録かんしされている可能性がある以上、このまま一方的(・・・)な攻撃はダメだ。最悪それが編集されて別の世界で放送された場合、確実にお前が悪者ヒールになる」

「じゃあヴァン、どうするのさ?」

 撲殺を許容された事を嘆くノーンは放置し、一方的な攻撃は許容できないと言うヴァンに舞華を後ろから抱き抱えて静止させている佐夜が聞き返す。佐夜に抱きしめられている所為か舞華は少し落ち着いてきた。佐夜には何かヒーリング効果があるのだろうか?


「何、一方的じゃなければいいのさ。つまり決闘すればいい」

「ああ、そうすればたとえ収録されていたとしても舞華が一方的な悪者ヒールではなくなるってわけか」

「そういう事だ」

 そう言ってようやく舞華の手を放すヴァン。


「ふ……あはははは」

「っ、何がおかしいの!?」

 すると突然ノーンが笑いだし、舞華の逆鱗に触れる。


「もう少しで僕を殴り殺せたのに残念だ。でもさ、この状況下で死刑がほぼ確定されている僕が何のメリットも無いのに決闘そんなの受けると思うかな?」

「あ………」

 ノーンの嗤いに佐夜が固まる。

 そりゃそうだ、今までの悪行もそうだが、魔界や物質界ミシバイクロでの事件を起こした本人からしたら死刑は免れない。おまけに今は立体映像リアルヴィジョンではなく本体な上、ノーンの周りには佐夜、舞華、正義、ベリアル、剛、そしてヴァンがいる以上、次元転移でも逃げる事は不可能。

 ならば抵抗しても無駄な上、死が確定しているのに決闘なぞ誰が受けるのだろうか。その事に一同が気付く。


「……ならしょうがない。特別にお前が勝ったら今回は見逃してやる」

「何だって?」

「え、ちょっ、ヴァン!?」

「ちょっとアンタ何言ってんのよ!?」

 するとヴァンがとんでもない事を言い出し、ノーンはビックリし、舞華と佐夜はギョッとしてヴァンに詰めよる。


「だって仕方ないだろ。こうでもしなければこいつは決闘なんて受け入れないだろ。かといって普通に殺すわけにもいかんし、ここに連れてきた以上、場所バレして収録されている可能性がある為、今更俺が連行してもそいつ等もついてくるだろうからその選択肢は無い」

「普通に殺すとか……物騒すぎるだろ」

「だからって見逃すのはダメよ!」

 殺すという単語が普通にヴァンの口から出た事で佐夜が頬が引き攣り、舞華は舞華で喚く。


「なるほどね。決闘で勝ったら見逃してくれる……か。誰が戦うんだい?」

「それは勿論、舞華こいつと……佐夜だ」

「「なんだと!?」」

「「いや何でお前等が驚く?」」

 喚く舞華を軽くスルーし、ヴァンがノーンと戦う相手に指名したのは舞華と佐夜だった。愛する佐夜(美里)が強制的に戦わされて怪我をさせられる可能性を心配したやすしとベリアルが衝撃を受け、ヴァンに詰め寄ろうとする前に正義と剛に止められる。恋は盲目なり。


「舞華とこの子か……なら後『金(禁)の誓約せいやく』を掛けるなら受けてもいいよ」

「分かった。それで受けるなら掛けよう。それで勝敗の条件は『相手を戦闘不能(生死は問わない)』でいいか?」

「おK」

 ヴァンとの交渉の結果『金の誓約』を掛ける事で同意した。これでたとえ他の提供者がいたとしても正式な決闘という事で舞華が悪者にはならない。


「なぁヴァン、金の誓約って何だ?」

「ああ、それか。それはな────」

 簡単に言うと、『金(禁)の誓約』は掛けて後、それを如何なる状況下であっても破った場合、破った者は天罰を受け、全身を金に変えられてしまうのだ。それは文字通りの死を意味するのと同時に、天罰なので復活も出来なくなるのだ。

 今回の場合は『ノーンVS舞華&佐夜との決闘に割り込まない事』と『ノーンが勝った場合、今回は見逃す』事だ。つまりノーンが勝った場合、舞華と佐夜の生死に関わらずノーンはここから逃げる事が出来、いつの日か再びバッドエンドを作り続けるだろう。ここは舞華にとって負けられない戦いになる。


「あー、ちなみに分かっているだろうがやすし、そしてベリアル。手は出すなよ? 今回は俺達が手を出した瞬間、全員(・・)『金』になっちなうからな」

「「う……」」

 ヴァンの忠告に唸った2人。どうやら隙を見てノーンに攻撃を仕掛けるつもりだったのだろう。しかし手を出した瞬間、自分はおろか、愛する佐夜までも死に至らしめる事になるっていうなら話は別。2人は苦虫を噛んで引き下がる。


「ああ、勿論ノーン、お前も故意に俺達へ攻撃をした場合もお前に天罰が来るから気を付けろよ」

「へ?」

 どうやらノーンの方も反則しようとしたらしい。


「じゃあ3人共。準備はいいか?」

「ちょっっ早!?」

「あ、あわわわわ……」

「い、いきなり!?」

 そしていきなり心の準備も無いままヴァンがスタートしようとして3人が慌てて距離を取る。


「じゃあ────始め!」

「「っ!」」

 ヴァンの合図と共に構える佐夜と舞華。


「ふ、ふはははははははっ」

「?」

「何だ、突然笑い出したぞ?」

 すると開始と同時に構えを取る2人に対し、突然笑い出すノーン。いきなり笑い出すノーンの不気味さに、思わず2人の顔に緊張感が走る。


「はー、はーっ。いやいや、これで自分がバッドエンドを迎えると思っていたのにさ。まさかの展開で生き延びるとは思わなかったわけだよ」

「ほんの少し寿命が延びただけでしょ」

「いやいや、だから僕は生き延びるんだってば」

「どうやってだよ。さっき舞華に殺られる寸前だったじゃないか」

「だからさっき協会の奴が言ったじゃないか『他の提供者エンターテイナーが収録している可能性がある』と」

「……だから何なの?」

 他の提供者が来ているかもしれないからなんだというのだろうかと舞華が怪訝な顔をする。


「何、簡単だよ。君(達)を倒すだけで逃げられるなら容易い事だって事さ。でも『金(禁)の誓約』をやる前に君らを倒してもその後ろに世界破壊者がいるからね。抵抗しても無駄なんだよ。だからどうせ死ぬのならこの場に来ているかもしれない他の奴に僕のデッドエンドを撮らそうかと思っていたんだ」

「……つまりさっきのは半分演技ってわけか」

「そういうことさ。でも『金(禁)の誓約』を契った後なら相手をするのは君らだけ。なら僕でも勝てるのさ! はぁっ!!」


 ズボズボズボッ!


「アレって……『秘孔』を付いてるの?」

「北○の拳かっ!?」

 己の首の両サイド、両脇、腰、両足の付け根に指をめり込ませる所謂『秘孔』を付くノーンに佐夜がツッコむ。

 そんな事を言っている間にガリガリだったノーンの身体はムキムキとまでは行かないが、細マッチョで筋肉が引き締まったまさに『ケン○ロウ』みたいな身体になっていた。


「次はこれだ!」

 といってノーンが次に取り出したのは瓶一杯に詰まったカプセルと怪しい液体が入った注射器が2本。それをノーンは一気にカプセルを飲み、注射器を腕に刺して液体を注入する。するとノーンの身体が熱を帯び筋肉が脈を打ち始めた。

「ドー…ピング……?」

「ってヴァン。あれは許してもいいのかよ!?」

「良いも何も俺達は決闘が終わるまで介入出来ないって。アレの行為を止めるのもお前達の戦いだろ?」

「っ、そうよ、早く止めないと!」

「これ以上パワーアップされたらヤバいって!」

 ヴァンの言葉にはっと気付き、早くノーンを止めようと佐夜は舞華と共にノーンに迫る。


「もう遅い!」


 ドッ────


「かはっ!?」

「佐夜!?」

 詰め寄ってきた佐夜を一瞬で腹パンし、佐夜がふっ飛ばされ、舞華の動きも止まる。


 ドゴッ!


「がっ!?」

 舞華のその一瞬の隙を見逃さなかったノーンが舞華の横腹を殴り、横回転で舞華は吹っ飛ぶ。


「「「佐夜!」」舞華!」

 悪手をかいてふっ飛ばされた2人の安否を心配する正義とやすしとベリアル。

「助けに行ったら誓約に引っかかるから行くなよ?」

「「っ!?」」

 正義は最初から冷静だったが、愛する佐夜があんな目に逢ったのを見て居ても立ってもいられなくなったやすしとベリアルだがヴァンの言葉で動きが止まる。


「更に!」

 パワーアップを邪魔する2人をふっ飛ばし更にノーンが行ったのは魔術の行使。ノーンの足元に魔法陣が広がったと思ったらそれが弾け、ノーンから凄まじい魔力が発生した(剛ほどではないけど)。


「そして更に更にサラにィ!」

 ノーンは更に『超能力』や『霊能力』、『数秘術カバラ』に『導現力サルサ』その他色々な『異能』の力を自身に集め、ノーンから溢れるごちゃ混ぜの異様なオーラに見守るしかない正義達も息を飲む。剛も警戒は怠らないが念の為に高級魔石を食す。


「つかもう決着は着いただろ!? ヴァン、早くあの2人を手当てしないと───」

「いや、まだだ」

「何?」

 倒れ込んで動かなくなった佐夜を心配し過ぎてパニクるやすしとベリアルに対し、「戦闘不能になったのだから決着は着いただろと」言い、ヴァンに詰め寄るがヴァンは舞華の方を見て言った。


 そこには吐血や吐瀉物を吐きながらもゆっくりと立ち上がろうとする舞華の姿が。


「あれじゃもう戦えないだろ! 金(禁)の誓約だか何だか知らないけどよ、ここまでやる必要あったのかよ!」

 さっきまで提供者を追い詰めていた筈なのに謎の誓約を交わされて、今は舞華と佐夜以外手出し出来ない状況に正義が憤る。


「ある。少なくともあの提供者ノーンと舞華との因縁はでかい。俺達が代わりにやっても舞華はともかく騙されて散って逝った連中は浮かばれないだろ。それに俺達の代わりに手助け出来るのは舞華を闇落ち状態から救った佐夜だけだからな。それで救ったからには最後まで面倒見てもらわないとな」

「鬼かお前!?」

 あの半暴走状態のノーンの相手に女の子2人だけで相手するのはどう見ても普通におかしい。


「はぁ、はぁ………」

 正義がヴァンに詰め寄っている間にも舞華はゆっくり立ちあがるがダメージが大きすぎてよろめいている。


「大丈夫だ正義。あいつの目を見てみろ」

「目?」

 舞華の状態は非常に危険な筈なのにヴァンが舞華の目を見て問題ないと言う。正義がそう言われて舞華の目を見る。


 身体は既にボロボロで魔力もさっきの咄嗟の防御で使い果たした上すっからかん。しかし舞華の目はまだ死んではいなかった。


 いや寧ろその瞳には燃え盛る炎の様に熱を帯びていた。


 そして対する提供者ノーンも出せる力を全部解放して落ち着き、視界に舞華が映ったと思った瞬間、


 ノーンが瞬動で舞華に詰め寄って舞華とノーンの両者が再び激突した。


 


前書き通り決着は次回になります。

倒れ込んだ佐夜の安否が心配だ……。

次回は早く出来そうです。

では。

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