第8話 ~VSピックル 後編~
ドンドン進む佐夜の精神女性化。
血だらけのやすし。
満身創痍の舞華。
そして後2人───
米(←誤字):佐夜が取った悪手により、勝手に窮地に陥った所にやすしが助けに入る。詳しくは前話を見よ!
「ぐああああああああああああああああっ!?」
自ら佐夜の身代わりに大量の金錆や腐木などの破片凶器にぶっ刺されるやすし。
「い、いやあああああああああああああっ!?」
そしてそのやすしに助けられ、自分の所為で致命傷を負うやすしを見て悲鳴を上げながら落下していく佐夜。
「佐夜……っっ!」
「~~~っ!」
そしてやすしから佐夜を託された舞華が上空から落ちて来る佐夜をお姫様抱っこの要領で抱き抱えて落下の衝撃を押さえた。
「ま、舞華、やす……やすしさんが……っ!」
「分かってる……分かってるから泣かないで」
最早己の性別や性格を忘れているのか、女の子の様に取り乱す佐夜に舞華が抱きしめてなだめる。
「あー、わざわざ自分を犠牲にしてまで女の子(←勘違い)を助けたのかぁ。流石というか何と言うか……でも、これで邪魔をする奴は居なくなったかなー」
と、この場で唯一自分の能力に耐性のあるやすしが戦闘不能になった事でケラケラ笑うピックル。
しかし、
「────っ、オラオラオラオラオラオラァッ!」
「っ!?」
シュ、シュシュシュシュシュシュシュシュ──────
全身に凶器が刺さりまくり(一応首や頭部、心臓や肺だけは直撃を避けた)、落下までのラグの間にやすしは全身に力を入れ、己に刺さっている凶器の数本を抜き、お返しと言わんばかりにピックルに投擲する。
「よっ、はっ、ふふん、こんなの、当たる訳、ないよー、っと」
しかし機動力&体積の小さいピックルには当たらず、ひょうひょいっと避けられ、小さい岩の上に着地するピックル。
「ちっ……クソが………っ」
ドシャ───────
「やすしさんっ!」
そして力尽きたやすしが地面に落下し、舞華に抱き抱えられていた佐夜(&舞華)が慌てて駆け付ける。
「うわ、何これ酷い怪我………」
「やすしさん、やすしさんしっかりっ!」
やすしの怪我を見て思わず吐きそうになる舞華と、急いで溢れ出る出血を錬成術で止血しながらやすしの名を呼ぶ佐夜。
……佐夜は言わずもがな自分の性別分か以下ry───
「かはぁっ! ………はぁ、はぁ……けふっ」
「や、やすしさん、動いちゃダメだよっ」
「そうよ。無理したら死んじゃうわよっ」
吐血しながら身体を起こそうとするやすしを佐夜と舞華が慌てて抑える。
「バカ……やろうっ。おま………前…向け、攻撃g……来るぞっ」
「「っ!?」」
急いで身体を起こそうとしたやすしが警告し、2人がピックルの方を向くと、再び金錆や腐木などの凶器が真っ直ぐ3人に迫っていた。
「だったらこれで────」
と佐夜が少し前に出て厚めの防護壁を生成し、凶器の飛来を阻止しようとした。
が、
「甘いよ。そんなんじゃ防げないって」
クイッ─────
「え?」
「曲がっ……た?」
直進してくると読んで防護壁を出現させた佐夜だったが、ピックルがそれを見て目を光らせるとそれらがカーブを描くように軌道を変え、
「佐夜、危ないっ」
「っ」
その軌道で向かう先は佐夜の方向で舞華が咄嗟に庇う。
そしてその凶弾(?)が佐夜と舞華に迫る─────
その時、
「冥王華斬っ!」
サ───サササササンッ───────
「………へ?」
「「?」」
佐夜と佐夜を庇った舞華は何が起きたのか分かっていないが、ピックルは何が起きたのかをしっかり見ていた。
誰かが何かを叫んだと思ったら謎の斬撃が飛んできて、佐夜が生成した防護壁諸共ピックルの放った凶弾(金錆&腐木)を全て消し飛ばしてしまったのだ。
「ふぅ……間一髪って所か。佐夜、舞華、大丈夫か!?」
「この声……正義!?」
「おうよ」
剣を肩に担いで二カッと笑う正義。うーん、無駄にイケメン。
「……あんたがここに来たって事はつまり向こうの連中は───」
「ああ、全部片が付いた。途中乱入してきた魔物も含めてな。あ、一応闇落ちヒーロー達の何人かは殺さずに拘束してあるぜ。残りの奴は身体の負荷が限界を超えたのか消滅したり、自我が戻った途端、発狂した故に殺さざるをえなかったりしたけどな……」
そう言いながら自分の掌を見つめ、己がやった事を歯痒む正義。
「それでもよくタイミング良く来たね。ありがとう正義」
「どうも……つか佐夜、お前この短期間で何があった? 何気なく雰囲気の乙女っぽさに磨きが掛かってる様な気がするぞ?」
「え? そ、そう……かな?」
正義がそう言うと、何故か佐夜は頬を引き攣らせながら視線を逸らす。つか指摘されて嫌がっていないのはどういう事なのだろうか?
「そうね。さっきヤンキーの人が佐夜を庇って全身を滅多刺しにされた時、この娘「いやあああああ」って叫んでたわよ」
「ああっ、舞華、それ言わないでよっ」
「oh………」
舞華のカミングアウトに正義は顔に手を当て天を仰いだ。佐夜はもうおしまいかもしれないと思っているのかもしれない。
「君達、この状況でよく戯れれるね……」
「まあ、俺等が来た時点で戦いはもう終わってr───って、やすしの奴大丈夫か? 今にも死にそうな感じがするけど」
「あ、あああっ、そうだったやすしさんっ」
ピックルが呆れた様子で言い、正義が返答しながらチラリとやすしを見て少しビックリし、佐夜が慌ててやすしに駆け寄る。
「終わってる、だって? 何をバカな事を言っt───」
ぷらんぷら~ん─────
「───え?」
先ほどまで命のやり取りをしていた相手に妙な事を言われたピックルが再び能力を発動させようとした時、ふと誰かに頭を掴まれ宙に浮いている様な感覚に陥る。
「貴様か、我が嫁佐夜を泣かせた輩というのは………」
ピックルを背後から掴んだのは正義と共に闇落ちヒーロー達を鎮圧させていたベリアルだった。
というのも実はこれ、やすしがやられて地面に落下する前に反撃で放った金錆(腐木だと軽すぎてNG)をピックルが軽く避けた様に見えたのだが実はこれ、やすしが密かに気配を消して近付いて来ているベリアルの所にピックルを誘導していたのだ。なので先ほどの攻撃は最初から当てるつもりはなかったのだ。
「なるほど君かー。この魔界の魔物達を一掃したのは。いや、強いねぇ」
「そんなのはどうでもいい。肝心なのは貴様が佐夜を泣かせた事だ。それは万死に値する!」
「あはは、そんな大げさなー」
「………(怒)」
佐夜が泣く光景を見てしまいブチ切れ寸前のベリアルに対し、そんなベリアルが怖くないのかケラケラと嗤うピックルの態度に額に青筋が入るパンツ一丁の男ベリアル。つかいい加減、服着ろよ!
フォン────
額に青筋が浮かぶベリアルに対し、ピックルは嗤いながらゆっくりとベリアルの背後から結構大きめの金錆の槍(元々三又槍だった物)を浮かせ、ベリアル目掛けて放つ。
「っと、ベリアルさん危ないっ」
「早くそいつを離して避けなさい!」
そして視野的にそれが見えていた佐夜と舞華が声を上げる。
が、
「大丈夫だ佐夜、舞華。あいつへの心配は必要無いって」
「「え?」」
正義が何故か剣をバットの様に振り回しながら言い、佐夜と舞華が首を傾げる。
すると、
「あ、あへ……?」
突如ピックルが文字通りのアヘ声(勿論エロい意味ではない)を出したと思ったら、ベリアルに迫っていた金錆の槍はその手前で揚力を失い、落下する。
「あいつ……ベリアルには『触れた相手のエネルギーを奪い自分の魔力にする能力』があるから奴に捕まった時点でもう決着は着いているってわけ、さっ」
ブンブンとバットを振り回しながら説明する正義。つかなんで振り回してんだコイツ。暇なのだろうか?
ちなみにベリアルの『エネルギー強奪』の能力はその他に、ある特定の条件に限り相手の身体ではなく、相手の放った魔法やエネルギー弾も吸収できるのだ。第2章参照。
「……あれ? 何でボクを振りかぶられているのかなー?」
そうこうしていると、ピックルの観念動力用のエネルギーを吸い取ったベリアルが大きく振りかぶり、
「さあベリアル選手、渾身の一球を────」
すると先ほどから謎の奇行をしていた正義がバッターの様に構えながら実況する。
……なるほどね。さっきのはスイングの練習だったのか。
「ふんっぬぅあぁっ!!」
「投ーげたー!」
大きく振りかぶったベリアルはそのまま正義の方に思いっきり球をぶん投げた。
ブォン────────
「うおおおおおあああああああああああっ!?」
物凄い速度で投げられたピックルの表情がヤバい。
「そして行くぜ俺の新技ー、無拍子覇導十字切り──からの光瞬、『ヴォルト・ファン・シ・ファルバ』!!」
待ってましたとばかりに正義が修業の成果である新必殺技を披露する。
無拍子で覇導剣(斬)を十字に繰り出し、それが相手に着弾する直前で己も光の槍と化して相手を光の剣で貫く物凄い荒業だ。
実際ベルガイアでこれをやった際、魔術&その他色々な方法とやらで強化されていた筈の壁が崩壊し、今でもベルガイアの装甲の一部が破損している。
そして正義の放った必殺の一撃がピックルに着弾し、
ズバァァァァァァァァァァァァァンッ!!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああっっ!?」
断末魔を上げながら(オリジナル)ピックルは消滅した。
ちなみにこのピックルが提供者が持つ、最後の一体かつオリジナルである事は次回明らかになる。
提供者の持つオリジナルピックルが破壊され、次回は佐夜とやすしの意外な関係性に迫ります。
所謂やすしの過去話って事です。はい。
では。




