第7話 ~VSピックル 前編~
Oh……日曜までに間に合わなかったよ。ゴメンナサイ(_ _)
でも何とか仕上げる事が出来たので急いであげました。
ゆ、許してたもう………
「~~~~~~っ(涙)」
自らの手で元仲間達を葬った舞華が残された5人の宝石(変身アイテムの残骸)を胸に抱き、大泣きするのを堪えている。ちなみに聖花以外の4人の宝石の分は、聖花が舞華と激突する前に残った自我を総動員して回収した物らしい。やるなぁ。
「舞華……」
そんな舞華に何と声を掛けたらいいのか分からず、手を出したり引っ込めたりする佐夜。
「ん~。まさかここまでやるなんてね。流石舞華だよ。拍手喝采だね♪」
「「っ!?」」
すると少し離れた所にいるピックルが岩に腰かけて拍手しながら声を掛けてきて、佐夜と舞華の2人が我に返り、「そういやまだこいつがいたんだった……」と苦虫を噛む。
「あの5人はボクが弄ったおもちゃの中では結構お気に入りの傑作だったんだけどなー」
「……その弄り過ぎた所為であの娘達の身体がボロボロになって消滅した事については何も思わないわけ?」
「確かに勿体無いとは思うけどまた作ればいいし、気にしてないよー」
「またって……」
「アンタ……」
また作ると聞いて佐夜は唖然とし、舞華の額に青筋が入る。
「もう舞華達の様な悲劇に遭う人達を作らす訳にはいかねぇからよ」
「だからここで───」
「ここで本体である貴方をぶっ叩く!」
聖花達5人の魔法少女達、及び他のヒーロー達の様な闇落ち英雄を作らす訳にはいかないと佐夜と舞華、そして周囲を警戒していたやすしもピックルと対峙する。
「おーおー。勢い付いちゃって怖い怖い。でもさよくよく考えてみてよ? 何でボクが今まで手を出さなかったんだと思う?」
「「え?」」
ケラケラ笑いながら言うピックルに佐夜と舞華が固まる。
「ちっ、そういう事か」
「え、え? どういう事?」
「佐夜、ぼさっとしてないで周囲を警戒!」
「ええっ!?」
その様子のピックルに何かを察したやすしと舞華。状況が分かっていない佐夜が説明を求めようとするが2人は佐夜に周囲を警戒する様に言う。
何故自分の手駒である魔法少女がやられているのにも関わらず提供者が一向に手を出してこないのか、それは、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴg─────
「な、何……何っ!?」
ニヤリと笑うピックルの目が怪しく光るのと同時に地面がカタカタ動く。その異常さに佐夜が少しパニくる。……ちょっと萌ゆる。
ヒュン────
「佐夜、危ねぇ!」
「え?」
ガキィン!
地面がカタカタ動くのにパニくり、警戒を怠った佐夜の背後から何か飛んできた所をやすしがバットで弾く。
「あ、ありがと、やすしさん」
「お礼は後だ。今は周りに気を付けろ」
「あ、うん」
ボケっとしていた所を助けられた佐夜がお礼を言うが、今はそれどころではない。
「あれは……金属の…破片?」
「それも相当錆びているやつだな」
「そんなのが飛んできたんだ……」
錆びた金属が身体を直撃、もしくは掠っただけで後々身体にどんな影響が出るのか分からない。破傷風や敗血症の危険があるからだ。
「飛んできた、じゃねえ。まだまだ来るぞ!」
「えええっ!?」
バットを構えたやすしが超警戒して佐夜が慌てる。
ヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ──────
「うわ、うわわわわわwwっ!?」
「佐夜、『w』を付けたら笑ってるように思われるわよ───ととおっ!?」
「くそっ、飛来物が錆び物ってのがまた面倒くせぇ!」
錬成術を駆使して回避する佐夜と、戦乙女としての身体能力(魔力は枯渇中)で避けたり、手甲で弾いて直撃を回避する舞華。やすしの場合、バットで錆びた金属を破壊すると錆びた破片が顔や体に直撃する恐れがある為、迂闊に当てる事が出来ない上、ピックルが使っている能力とやすしの『引力&斥力』では相性が悪い。
「あははははww。何でボクが戦う場所をここ『魔界』に指定したのかようやく分かったようだね」
自身の周りに大量の金錆や腐木を浮かしながら嗤うピックル。
そう、普通に舞華を狙って戦うだけなら別に魔界じゃなく、直接武道館を襲えばよかっただけの話なのだが、何でわざわざここに誘き寄せたのか舞華はようやく気が付いた。
ここは某・魔○村によく似た環境で、周りには撤去されずにいる金錆や腐木が大量に転がっており、それらが全てピックルの武器と化しているのだ。
そして次に厄介なのがそのピックルの持つ能力───
「『観念動力』がこんな厄介な能力だったとはな……っ」
そう、やすしの言う通り、この提供者のアバター、ピックルが持つ『観念動力』がこの場所において一番厄介な能力であろう。これがもし物質界で戦っても普通に飛んできた飛来物を叩き落されて終了だからだ。しかしここ魔界なら話は別。金錆や腐木、その他のゴミが撤去されずに放置されている為、『観念動力』を持つ能力者にとってはまさに無双状態なのだ。
それに先ほども説明したが直撃は勿論掠っただけで身体にどんな影響が出るか予想が付かない。破傷風や敗血症は勿論、魔界という環境も考えればその他に変な菌やウイルスなどの感染症も視野に入れないといけないのだ。
ちなみにやすしの『引力&斥力』では『観念動力』の下位互換に当たるので、やすしは自分の身体に当たる(掠る)のを防ぐのに精いっぱい。
「それそれ、もっと踊れ~」
「っ」
「はぁ、はぁ……」
「くそ……っ」
ヒュンヒュンと色んな物を飛ばすピックルに疲れ気味の舞華と佐夜。やすしは飛来物を避けながら接近し攻撃を仕掛けるも、相手が身軽な上にすばしっこく、観念動力で空中移動するので中々当たらない。
「こう……なったら身体の周りを囲うしかないっ」
すると、回避するのに疲れた佐夜が錬成術で自分の身体を土で覆った。ちなみにこれは【レニアナ】でサラ戦った時にサラが見せた全身防御を土で真似した物である。
しかし、佐夜のこの手段はこの場において悪手となる。
「っ!? ば、馬鹿野郎、早くその状態を解け佐夜っ!」
「へ?」
数々の場数を踏んでいるやすしが佐夜の取った危険行動に気付き、早くその状態を解くように言い、佐夜と舞華がキョトンとする。
そしてそのキョトンとした間が佐夜にとって命取りになる。
「チャンス!(キラン)」
ズズズズズズz─────
佐夜を覆った球状の土球を見たピックルがそれ幸いとばかりに佐夜の球(仮)を操作して宙に浮かす。
そう、それがやすしの危惧していた事だったのだ。
ピックルが観念動力で操作していたのは全て金錆や腐木などの無機物で、やすしが(うっかり)殺してしまった闇落ち英雄達などの生物(生死は問わない)は操作していなかった。いや出来ないんだろうとやすしはそう踏んでいた。だから自分達はこの状況下でも動く事が出来た。
しかし、佐夜が取った『己を土で覆う』行動は自分を護る行動ではなく、敵に操られる危険があったからやすしは解くように言ったのだが、時すでに遅し。ピックルは生物は操作できないが、それを覆う土球なら操作出来るのだ。
「え、えええ!? 浮いてる!?」
「佐夜、早く解け!」
「う、うんっ。………あれ、解けない?」
「マジか!?」
そして宙に浮かされた佐夜球(仮)にやすしが解くように促すが、佐夜がいくら錬成術を操作しても土球が解ける気配が無い。恐らくピックルが外から圧力をかけているのだろう。
「え、ちょっと待って。アレ!」
「っ、マズイ!」
「え、何? 外どうなってるの?」
舞華とやすしの少し上空で佐夜球(仮)の周りに大量の金錆や腐木が集まってきており、その光景は某漫画のジ○ジョで見た『大量ナイフ&時止め』を彷彿させる………てか呑気に語っている場合じゃない!
「まさかこんなアホをする娘がいたとはね。でもこれで確実に一人を屠れるよ♪」
「っ、佐夜を解放しなさい!」
自分から危機に陥った佐夜を嗤うピックルに舞華が佐夜を助けようとするが飛んで来る金錆が邪魔で迂闊に跳べない。
「うわ、どうしよう……このままじゃ…やられる………っ」
土球の中で佐夜は焦るが、どうやっても土が解ける気配はない。その間にもどんどん凶器が集まる。
そして────
「さぁ、舞華。バッドエンドを迎えようか!」
と、ピックルは観念動力で拘束していた佐夜の土球の圧力を解除し、その瞬間、佐夜の土球も解かれて佐夜が空中に投げ出される。
360度全てに凶器がある状況下で──────
「さ、佐夜────っ!!」
佐夜を助けに行けない舞華が叫ぶ。
そして動き出す凶器に佐夜は『刻詠の腕輪』で周りを『遅動』にするがスローにしても自分を護る為の錬成術の材料は手元に無く、佐夜を覆っていた土も佐夜が解放されたと同時に地面に落下しているので、佐夜は成すすべもなくそのままスローが解かれ、佐夜に凶器が迫る────
「くそったれがぁぁぁぁ─────!!!」
その時、やすしが動き出す。
己と地面との間に斥力を全開にし、自分の身体を思いっきり上空に上げ、佐夜の所へ向かった。
当然その通りにある凶器がやすしの身体を傷付けながら─────
「佐夜!」
「や、やすしさんっ!?」
そして佐夜のすぐ下までやすしが到着し、佐夜が驚く。
驚く佐夜だったが、その後に取ったやすしの行動に佐夜は勿論、舞華やピックルも驚愕する。
ガシッ!
「え?」
驚く佐夜の足をやすしは掴み、
「舞華、受け取れ!」
「へ?」
すると突然やすしは舞華を呼び、舞華は首を傾げる。
ビュン─────
「う、うわあああああ!?」
そしてやすしは思いっきり佐夜を地面に投げた。
「って、あれ……?」
周りに凶器がある&地面に投げられた事で叫ぶ佐夜だったが、ここである事に気付く。
自分の落下しているルートに凶器が一つも無い事に─────
実はこれ、やすしが感染症などのリスクを恐れず佐夜を助ける為に突っ込んだ時、自分の通って来た道に対して再び斥力を駆使し、佐夜を無事に通過させる為の空間を開けたのだ。
「え、そ、そんな……まさか、やすしさん……?」
落下中、自分と入れ替わりで凶器の中に取り残されたやすしを見る佐夜。
そのやすしも…落下している佐夜と目が合い、疲れながらも優しく微笑んだ。
そう、やすしは最初から自分を犠牲にしてでも佐夜を助ける為に自ら魔界に行く事を決意し今、こうやって自分の身を挺して文字通り佐夜を護ったのだ。
そしてその時は来る─────
ズシュッ、
「ぐふっ!?」
ズシュ、ズシュズシュズシュズシュズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズzzzzzz───────
「~~~っ、ぐわああああああああああああああっっ!!?」
「い、いやああああああああああああああああああっ!!?」
やすしの全身にありとあらゆる腐食した凶器が突き刺さり、堪え切れず絶叫を上げるやすしと、自分の所為で身代わりで犠牲になったやすしを見て佐夜が悲鳴を上げた………。
う~ん……。最早佐夜、ヒロインで良いんじゃないかな?
自分で書いておいて言うのもなんですが、「いやあああああ」って、完全に女の子じゃん…………
次回は正義とベリアルが合流します。
では。




