第3話 ~やすしの追跡と無常なる銃殺~
すみません、大分遅れました。
本当は前回のあとがき通り『対・闇落ち英雄』の描写を入れる予定でしたが、予想以上に長くなった為、思いっきり削除しますた。
なので今回は短めです。はい。
「「「御ああああアあああ亜ああああっ!!」」」
「あーあー、あーあーとゾンビかお前等は、やかましいわ!!」
ズガーンッ!!
地上で突如次元転移して襲ってきた闇落ち英雄を苛々した様子で斥力を用いてふっ飛ばしたり、引力で闇ヒーロー同士をぶつけて沈黙させるやすし。普段戦っている時に咥えているチュッパチャップス(棒の飴玉)の飴玉は既に砕かれて棒だけになっている。
≪やすし、そっちは大丈夫か?≫
「ん? ああ、ロストヒーローっつっても元はただの一般人だろ。どうすれば止まるのか簡単だろ?」
今襲ってきた闇ヒーロー達を沈黙させ、少し余裕が出てきた所に丁度勇治郎から電話が掛かる。
≪そんなわきゃないだろう……。ったく───ってアレは……≫
「どうしたユージ?」
相手の勇治郎が電話の向こうで呆れていると何か見つけたらしい。
≪いや、先日佐夜達が自我を取り戻させた筈の舞華が物凄い穢れを纏って魔界へ通じる穴に飛び込んで行ったんだが≫
「は? 何て?」
勇治郎が意味の分からない事を一気に言う為、余計何を言っているのか分からない。
≪舞華が変身して魔界に行ったって言ったんだ≫
「『行った』と『言った』が重なってダジャレになってるぞ……」
≪ダジャレ言うな───って、は?≫
「……今度はどうした?」
勇治郎のダジャレもどきを指摘しているとまた勇治郎が変な声を出す。
≪上手く説明が出来そうに無いから見た事をそのまま言うぞ。佐夜と正義が仲良く手を繋いで空飛んでる。ピー○ーパンみたいに≫
「……疲れているのかお前?」
≪見たままの状況をそのまま言ってんだ。……多分さっき魔界に飛んでった舞華を追いかけるつもりだろうな≫
「何?」
佐夜と正義が舞華を追いかけて魔界に行ったと聞いてやすしの顔色が変わる。
≪協会と機関の誰かが佐夜達の保護の為に魔界に行かないといけないんだが───≫
「俺が行く」
≪ゑ?≫
保護対象者だけが魔界に行った為、連絡用に誰かが付いて行かないといけないという状況に誰を向かわすか勇治郎が考えようとした瞬間、間髪入れずにやすしが立候補し自分が行くと言った。
「とりあえずこの場にいる連中(闇ヒーローの事)は特殊ワイヤーで縛っておいたから回収を頼んだ」
≪それは別にいいが……何かお前、今回やけに積極的だな? いつもなら面倒くさがるのによ≫
「まあ……たまにはな。それにもう………」
≪もう?≫
「……何でもない。じゃあ追いかけるから後は宜しく」
≪……無理・無茶はするなよ≫
「さぁな」
ドヒュン──────
明言は避け、やすしは引力を用いて対象を『自分→正義』にして、己の身体を正義の方へ引っ張らせる方法で3人を追いかけていった。
「……あのやすしが自ら積極的に面倒事に首突っ込むとか…変な事にならなきゃいいけどな……」
と、電話を切りつつ、向かってきた闇ヒーロー共を軽くいなす勇治郎。これでも一応この班のリーダーなのだ。故に並みの使い手ではないが、逆に本気で相手に出来る相手はヴァンやそれこそ世界破壊者だけである。
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佐夜と正義が舞華を追いかけて空を飛んでいる最中───
「……まさか僕……俺がこんな感じで空を飛ぶ事になるなんて思わなかった」
うっかり僕口調になりかけているのを修正し、佐夜は正義に手を引かれながら空を飛ぶ。
気分はまるでピーター○ンに出てくるウェンディだ。
「うっわ、佐夜、下を見てみろよ。闇落ちしたヒーロー達が暴れまくってるぜ」
「何々……ってうわっ、あの人達、舞華ほどじゃないけど穢れが半端ないよ!?」
正義に促され、下を見るとヒーロー達が闇落ちしたヒーローと戦っている。……のだが、相手は穢れが酷い上に正気を完全に失っている。これじゃあ説得は無理なので、気絶させるしかないのだが如何せん、闇落ちしたヒーロー達が強すぎる為、闇ヒーロー1人に対し4~5人で相手しないと全く相手にならない。
その為、殺さずに倒すには人手不足なので、
パァン、パァン、パパパパパパパァン!!
「「っ!?」」
少し地上を見ていた2人が耳にしたのは重い銃撃音。この音がしたという事は政府が闇落ちしたヒーロー達を正気に戻す事を諦めて先ほどまでいた魔物やモンスターと同様に始末する事にしたらしい。無常すぎる。
「……佐夜、分かっていると思うけど、寄り道している暇は無いぞ」
「分かってる……分かってるけど……っ」
地上で暴れていた闇落ちヒーロー達が自我を取り戻す事無く銃で撃たれ、命を散らす事に佐夜は複雑な感情を抱いていた。
あのまま闇落ちヒーロー達が戦い、普通のヒーローや軍達がやられた場合、次に狙われるのは確実に一般市民だ。政府はそれを恐れての行動なのだろうが、人間としてそれは正しいのかどうかは誰にも分からない。
そして後ろ髪を引かれつつも気を取り直した2人は、再び舞華を追いかけて魔界へ繋がる入り口に飛び込んだ。
やすしが2人の後を追って来るのはこの10分後の事(飛行能力で追っている訳じゃないので速度が遅い)。
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「きゅああああああ!?」
「カカカカカカッ!」
ちなみにその頃、奈良で有名な寺にいる鹿が何故か暴走し、陽菜々を追いかけていた。寸前で転移で逃げたけど。
「『カウンターオーシャン』!」
鹿達が陽菜々を追いかけて行ったのを見届けて、ユフィはそっと寺の敷地中央に降り立つ。
予定では鹿煎餅で鹿達を誘導させるつもりだったのだが、穴からの影響を受けた鹿達が暴走し、陽菜々を追いかけて行ったのだ。
まあ、おかげでその隙に寺の敷地中央に開いた次元の穴を何の障害も無く塞ぐことが出来るのだが。
「はぁ、はぁ、はぁ………」
「お、お疲れ様、陽菜ちゃん」
「た、ただいま………です。きゅう………(ぱたり)」
最終的に転移で戻って来た陽菜々はグロッキでへたり込んだ。
「あらあら、陽菜ちゃんったr───あら、メールですか?」
目を回して地面に平伏している陽菜々をあやそうとした時、ユフィのスマホが鳴る。
メールだ(←分かる人には分かるネタ)。
「え? 佐夜さんと正義さんが舞華さんを追いかけて魔界に?」
頭上にハテナマークを浮かべながら首を傾げる。どうやらやすし同様意味が分かっていない様だ。ちなみに差出人は勇治郎で当の本人は機関は勿論協会のメンツ全員にこれと同様のメールを送っている。が、これだけを見て状況を百パー理解出来た奴は亜空間にいるゼロだけだ。後のメンツは「何故魔界に?」という疑問でいっぱいだろう。
そりゃそうだ、何故なら勇治郎本人もその訳を知らないからだ。ちなみにやすしを保護の為に追跡させている事も伝えているので、リオから「自分が行く!」と言い出す事は無い。
「一体、佐夜さん達に何が起きているというの……?」
「きゅ?」
スマホを握りしめ、ユフィが少し混乱した様子で空を見つめ、回復した陽菜々が首を傾げた。
ついでに言うと佐夜が正義と仲良く手を繋いで空を飛んでいる所もバッチリ撮られているので、これを見た協会機関メンツは余計に何コレ状態になったそうだ。
次回はようやく魔界に着き、ベリアルと合流します。




