第1話 ~オン・ステージ~
すみません。昼間には出来ていたのですが、投稿直前にPCの電源───といいますか、家中の電気が消えた為、一から書き直しました。こまめに保存していたのに何故か消えていたのは謎……。
『ミシバ・イクロ』に住む軍やヒーロー達が魔界侵攻を食い止め、佐夜が3曲目の『Sunrise』、4曲目の『fortissimo』5曲目の『安息の闇』を歌い上げている間、最近機関に所属したニケもその類稀なる亜人としての身体能力と異界を旅してきて手に入れた力を駆使して魔物達を駆逐していた。
「NYAーっはっハっはァーっ! どUしタどうシた、手応エが無さ過ぎルZOー!!」
……若干ハイになって目がグルグルになっているし。
「……頭、あの猫さん、放って置いて大丈夫ですかね?」
「顔赤いし、目グルグルしてるし……ヤバイ薬でもやってんのか?」
「いや寧ろ下手に手を出したら文字通り噛みつかれるからあのテリトリーに入るのは止めときなさい」
「了解」
「はい、みんなにもそう伝えてきます」
偶然近くにいた楓とその部下がにゃーにゃー言いながら無双しているニケを遠巻きで見ながら距離を取りつつ、任務に当たっていた。
「ウー! アタシノ獲物横取りSUる気かー!?」
ガブッ!
「ぎゃあああ!?」
「あ、カイドウが噛まれた」
「……無茶しやがって」
不運にも注意事項を伝える前にニケのテリトリーに入ってしまった部下のカイドウがニケに噛まれた。
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「……誰だ、ニケに木天寥与えたのは……」
『飛翔』スキルで空を飛びながら空中戦をしていた勇治郎が地上で変なテンションになっているニケを見て少し頭が痛くなる。
※:ちなみに犯人は佐夜です(お昼ご飯にマタタビの成分に似た物をニケが食べてしまったが為)。
「ギャーギャギャギャ!」
「おおっと、余所見してる場合じゃねぇか」
ひょい
隙ありとみた魔物が突っ込んでくるが勇治郎はそれをあっさりと避ける。
「う~ん。予想より敵の数が少なすぎるのはやはり気の所為じゃない、か」
「ぎゃぴっ!?」
スカ振りした魔物を見ずに斬り捨てながらまた思考が別の方に向く。
魔界がぶつかってきて最初は空から地上から海から地下からと、わんさか魔物が沸いてきて流石に軍だけでは対応できないと各地のヒーロー達もここぞとばかりに活躍の機会が出来、派手に暴れている。
………一部どこかで見た事のある様な連中が混じっていた事は見なかった事にしよう。関わるとあちらの物語に巻き込まれる可能性があるからな。
「後、佐夜の歌の影響も相まって、残りの魔物の数もそんなに残っていないし」
昨日急遽、種ヶ島総理と協会のリオが突貫作業で『佐夜に生放送で歌(詩)わせる』企画を立案し、収録中止になる番組を撤回させた上、生放送で全国──いや、世界中に配信するという、かなりぶっとんだ事をやらかした。
で、当たり前の話だが、一般人に知られていない筈の佐夜が普通にテレビに出ても視聴率どころか皆『誰よこいつ?』っとなるのは当然の事で、絶対上手くいかないと勇治郎はそう思っていた。
しかし佐夜はファッションブランド『リ・アンフィル』でモデルをやって(本人の承諾を得ぬまま)雑誌に載り、一般女性達からかなりの人気が出た。
おまけに勇治郎達(男性陣)が居ない間、いつの間にか女性陣(佐夜&リオ&ルイも含む)でカラオケに行っていたらしく、そこでリオがいつの間にか撮っていた佐夜の動画を勝手にヤーチューブに投稿し、それを見た閲覧者達は佐夜のその容姿と歌声に魅了され『女神キター!(゜∀゜)───☆彡!』状態になり、ネット上でちょっとしたお祭りになったらしい。
そして今、佐夜が6曲目『絆』、7曲目の『世界を動かす力』を歌い終わっているのだが、ふと勇治郎が気になってこの世界のネットを開こうとしても重すぎてサーバーがダウンしまくっているらしく中々ネットに繋がらない。おそらく勇治郎が空にいる事とは関係無しに回線が混線しているからなのだろう。
故に仕方なく協会と機関が使かえる回線で開くと、世界中、佐夜の話題で溢れていて、何処の国のネット(SMS)でも『女神』だの『歌姫』だの『天使だ!』なんて言われている。まぁ、天使は本来性別が無い(この世界ではそう言われている)って言われているのだから妙に腑に落ちる。
「というかこれ、がっつり規則に違反してるだろー……」
回線を閉じて勇治郎は大きく溜息を付いた。
そもそもこの世界の住人ではない者達(勇治郎達)が派手に動いて世界を混乱させるのは規則によりイケない事なのだ。今回は魔界がぶつかってくるという文字通りの緊急事態なのだから大目に見てもらえるから大丈夫だろうけど……。
そう溜息を付いている間にも、佐夜は8曲目『ユメみる瞳』に入り、またもやこの世界の回線がダウンしまくっていた。
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[亜空間1980.0004.9935]───の地点にある、とある『存在遮断』を施したボックス型の飛行船。
「おかしい……」
そのボックス内の空間にて一人の男が宙に浮きながらそう呟く。
「あの『魔界』には別の『魔界』から(派遣で)連れてき個体も含めて戦力はギリギリ物質界と拮抗する感じで(ザコとはいえ)一千万匹くらいあった筈だ」
男はデバイスを操作しながら現場である物質界から魔界にモニターを移す。
すると、
「んなっ……全滅…だってっ!?」
そこに映し出されたのは辺り一面、血みどろ肉片バラバラになっている生物と、同じくバラバラにされて起動不能になっているゴーレムなどの無機物。レイスやゾンビなどのアンデッド達も何故か魔力で力ずくで消滅(成仏)され、動ける個体は殆どいない。
多分その生き残った個体だけで物質界へ向かった為、戦力が拮抗するどころかあちら側の被害が軽く、その為、男が求める『悲惨な光景』映像は取れず、寧ろモニターに映っている美人歌手のお陰か、物質界の人間達に悲壮感は全く見られず妙に活気付いていた。
「あー……これはもうダメかなー」
最早これ以上この世界に何をやっても無駄だと思った男『ノーン』はこのまま放置して次の企画に移ろうとした。
「………ん?」
しかし、美人歌手(というか佐夜の事)が映るモニターの脇に見た事のある少女がいた。
「……そうか。ふむ……ならアレを魔界に出動させておびき寄せるか」
ノーンはそう言ってこの企画の中止を撤回し、再びデバイスを操作し、人が入ったカプセルを数十個開け、中に入っていた者達を操り魔界に転送した。
「ふふふ……まさかここに舞華がいるなんてね。あの時協会に邪魔されて収録できなかった惨劇を演じて貰おうか。勿論今度は邪魔が入らない様、多めに『コードブレイカー』をおびき寄せて───」
そして提供者ノーンはここで最悪の切り札を投入する。
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「はー。やっぱり佐夜は唯者じゃないわねー」
「うむ……正直少し引いてしまうわい。あの人気っぷりには」
「あれでホント男とか詐欺よ、詐欺!」
「ですね。寧ろ私はもう佐夜さんは同性だと思ってます」
「マジでか!?」
客のいない観客席で佐夜を見ていた愛沙、真桜、チャア、リア、そして警護している正義がそれぞれ勝手な事を言っている。特にリア。
「いやあんた等ね、呑気に佐夜を見ていないで周囲の警護に戻りなさいよ」
そんな中、舞華が眉を顰めて言う。
佐夜が歌い始めてかれこれもう40分が経過し、侵攻してきた魔物達の数も世界中を合わせても残りは百も無いだろう。が、一匹一匹が一般人にとって脅威的な為に油断は出来ないだろうけど。
「いやそうなんだけど、せっかく佐夜の晴れ舞台なんだしさ。舞華もちょっと落ち着いて観たら?」
「もう散々見たわよ。歌は佐夜本人を見なくても聞こえるし」
「そうなんじゃがの。でもほれ見てみ? 佐夜のあの顔が真っ赤になってる所とか可愛いじゃろ?」
「……それ、本人に言ったら確実に羞恥心で引き籠るわよ」
「ははは……」
生真面目な舞華を誘う愛沙と真桜。実際舞台で歌っている佐夜の表情は晴れやかなのだが、時より乙女チックな歌詞が出てくる辺りで顔が真っ赤になったりする所が見ていて超可愛い。なので男と分かっている正義も苦笑しか出来ない。
「っ!」
「皆さん、来ます!」
「「え?」」
「なぬ?」
「は?」
すると突然一緒に佐夜を生暖かく見ていた筈のチャアとリアが何かを警戒し皆に伝える。
突然の事で変な声が出た4人だったが、チャアとリアが見つめる先を見て何が来るのかがすぐに分かる。
キィィィィィ─────ン
「お、おい……何だアレはっ」
「う、うわあああああ!?」
「化け物だー!」
「きゃああああああ!?」
「っ!?」
舞台の上には佐夜がいるが、その手前に他の出演者がいて、その後ろにスタッフ、そしてその後ろが観客用のスペースがあり、愛沙達6人はその一番最後方の扉前にいたのだが、その間のスペースに明らかに数体魔界の魔物ではない化け物が出現し、スタッフや他の出演者達がパニックに陥る。当然ステージ上の佐夜も気付く。
唯一の救いは佐夜の歌が丁度9曲目の『ダ・カーポ』を歌い終わっていた所だという事だ。歌の最中に襲われたら文字通りの放送事故になりかねないからだ。
「アレって……もしかしてゴブリン? あ、リザードマンもいる」
「コカトリス(小)にコボルト、オーガスパイダーかー」
「ハーピーにスライムまでいるという事は恐らく幻想界のモンスターなんじゃろうなぁ」
「って呑気に話してる場合か! 愛沙、リアさん、一般人の人達の避難誘導をお願いします」
「ええ」
「分かりました」
幻想界のモンスターを初めて見た舞華はともかく、チャアや真桜が呑気に話しているので正義が真面な2人(愛沙とリア)に声を掛けてお願いした。
「後は……佐夜! こっちは俺達に任せてお前は歌えー!」
「正義……みんなっ!」
愛沙とリアを一般人の保護に向かわせ、正義はチャアと真桜、舞華と共にモンスター達に突っ込みながら佐夜に向かって叫ぶ。
「……じゃあラスト3曲続けていくよー!」
本当はみんなと共に戦いたい所なのだが、今の佐夜は(不本意ではあるが)歌手としてこの世界中のみんなに歌を聞かせて恐怖心などを和らげないといけない(らしい)。何故ならこれを撮っているであろう提供者は一般人が怯え、恐怖し、悲壮感や絶望する顔などが撮りたいっぽいからだ。故に佐夜の歌を世界中に届け、一般人には安心を、戦っている軍人やヒーロー達には勇気と力を与えるのが今の佐夜の役割なのだ。
そして佐夜が10曲目『右手には剣を、左手には盾を』を歌いだす頃には武道館どころか世界中に幻想界のモンスターが出現しだす。
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「『赤き流星弾』! 『連撃手榴弾』!」
タァン×7!!(同時発射)
ドドドドドドドドド────ン!
リボルバーのシリンダー内の特殊弾を同時に全部射撃する攻撃と、敵を連続で爆破できる爆弾で魔物や敵モンスターを蹴散らしていくのはガンナースタイルのルイだ。特注で作ってもらったという大きめのハットが良く似合う。
「何か敵の数が少ないと思ってたらこんな不意打ちをしてくるとかムカつく! こんな時は佐夜の歌を聞いて元気を貰おう!」
そう言ってルイはビルの屋上でスマホを開き、佐夜が出演している生放送の番組を見る。
「良かったー。いきなり幻想界のモンスターが出て来たから流石に放送中断してると思ったけど、何とか続行してるねっ」
そしてルイは音楽をスピーカーからイヤホンに替え、佐夜の歌を聞きながら敵の討伐の続きを行った。
そしてそのルイと同様に各地の軍兵達も佐夜が歌を歌い続けている事に安堵し、ある者はイヤホンで、ある者はスピーカーで音楽を流しながら新たに出現した敵と戦っている。
「L・O・V・E、佐・夜たん!」
逆に危険などで自宅で待機しているであろう一般人達(特に男性)は佐夜の歌う姿に興奮しまくり、テンションが変な方向になっている(特に危険はない)。
そして佐夜のオンステージは11曲目『OK』に入る。
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「だー! もう、何なんすか! せっかくオイラが(錬成術で)破壊された建物を直したのにその所から壊すとか、何のイジワルっすか!(怒)」
一方、佐夜と同じ錬成術であるグラスはというと、魔物達が破壊した(普通は修復不可能な場所限定)建物の修復に大忙しし、ようやく魔物の数が残り少なくなり、余裕が出て来たと思ったら今度は幻想界のモンスターが出現し、魔物よりは強くは無いが、それでも建物を壊すほどの力はある為、直した所からガンガン壊されるといった全く意味の無い行為を繰り返していた。
「うー、ストレスが半端ないっす……。こんな時はさっき癒されたサヤの歌でも聞いて気分転換するっす……」
そう言ってグラスはスマホではなく、偶然近くにあった街頭テレビに映る佐夜を見て、
「あぁ~~っ………スッキリしたっす(キリッ)」
まるでナニかをした後の様にスッキリし、失った魔力も回復した所で再び建物の修復(普段直せない様な所を中心に)に取り掛かった。
ちなみに、このグラスと同様な癒され方をした男性が結構多数いた事を後日佐夜は知り、寒気を感じたという。
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~SS~
リオ「むああああ!」
ティーナ「キャッ!? 何、いきなりどうしたのリオ?」
リオ「また出番なかったー!(嘆)」
ティーナ「無かったって、別に良いじゃない、たまには出番無くったって」
リオ「良くない! だってリオはこの物語のヒロインなんだから!」
ティーナ「ヒロインて、アンタ男でしょ……」
リオ「男の娘!」
ティーナ「どうでもええー。……それにどちらというと佐夜さんって人の方がヒロインっぽい」
リオ「ぬああああ! 主人公の座だけじゃなくヒロインの座までさややに取られたー!」
ティーナ「いや、だからー……はぁ、もういいわ疲れたから帰る……」
リオ「ってティーナ、リオを置いてかないで、構って~」←後ろから抱き着く。
ティーナ「構ってちゃんかアンタは……ひゃんっ!? 耳たぶ噛むな!」
リオ「ふふふー。良いではないか良いではないか~!」
ティーナ「………(殺)」
リオ「お? おこ? おこなの?」
ティーナ「ええ、激おこよ……」
リオ「ふっふー。ティーナなんかにやられるリオちゃんではないわー!」
怒ったティーナから瞬時に離れて距離を取るリオ。
ティーナ「こらー! 待ちなさーい!」
リオ「あはははははは~~」
マロン「……2人共元気ねぇ~」
マロンが生暖かい目で2人を見守っていた(特に危険はないけど)。
次回は『魔界』に突入します。




