プロローグ ~佐夜のモノローグ~
前回言っていた通り、この章で佐夜に転機が訪れます。
俺は自分の身体にコンプレックスを持っていた。
幼い頃から常に女の子っぽいと言われ、中学、高校に上がってもちっとも男らしくならない自分の身体が嫌いだった。
といっても別にイジメられている訳でもなく、友達関係も良好───たまに同性から告白される嫌な事もあったが、イジメが無い、それが唯一の救いだった。
しかし高校に上がり、短期バイトの帰りにそれ《・・》を拾った事で俺の生活──いや、人生が一変した。
俺自身はバイトの疲れで寝ていた為、次元災害時に聞こえる『終末現象音』が聞こえなかったが、朝、肌寒くて起きた時、俺の世界は真っ白に染まっていて、人も家族も、物や家も、挙句の果てには空までも。
俺自身や自分が着ている物、そしてポケットに入れっぱなしにしていたスマホと前日の夜に拾ったそれ以外の全てが真っ白になっている事が現実だと受け入れた時、更なる危機が俺に迫って来た。
全てが真っ白に染まっている世界で唯一真っ赤な色をしていたそれはウネウネと気持ち悪い動きをしつつ、街中を徘徊していた。
何とかあの巨大ミミズもどきに見つかる前に距離を取った時、地面に色の付いた『黒いファスナー』が落ちていてそのファスナーのお陰で何とかこの真っ白の世界から脱出する事に成功した俺だったが、脱出する直前に、ミミズに見つかってしまい、叩き潰される様に弾き出された為、死にはしなかったものの、気絶&全身打撲の重傷を(普通に地面に叩き潰されていたら確実に死んでいた程の衝撃)負いながら亜空間を彷徨っていた(らしい)。
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そして気が付いた時、俺は異世界にいた。
元の世界でのラノベ好きな友人が「異世界に行ってみたい!」なんてアホな事を言っていたが、まさか俺がその異世界に着くなんて考えもしなかった。
外国同様、その異世界【レニアナ】の言葉も日本語ではない為、起きた時エルフの少年『イング』が何か言っていったが、何を言っているのか分からなかった為、枕をぶつけた。そして大怪我から回復した俺はイングの母親『アイナ』から翻訳機能(魔法)の付いたネックレスを借り、この世界の人との交友が可能になった。
その後、俺を女の子と勘違いして気まずくなったイングと仲直りしたり、アルケシスのみんなと色々な経験をしたけどここでは割愛する。
選抜試験の時には色々と苦戦しつつも何とか決勝まで行き、懸念していたイングの魔力枯渇対策として、本来しなくてもよかった口移しを大衆の前でやらかした為、エミリアとの決勝が没収試合みたいな感じで終わり、俺とイングが出来てるみたいな事が噂された(何とか誤解は解いたけど)。
選抜後、このモヤモヤを解消する為、一人称と口調を変えた所、ストンと自分の中で何かが変わった様な気がし、気が付けばそれが素の状態になっていた。
そしてその後、何故か学園祭で歌わされて『歌姫』の称号を与えられたり、マナとの魔法実験にて本格的に『ストック魔法』が使えるようになったり(それまでは試作段階状態)、式典パーティに出席した時は遂に女物のドレス(胸パット入り)まで着せられてひたすらナンパされたり、佐夜が元の世界で拾った腕時計を調べると『時短』の能力があると分かったり、そして、地下遺跡への『ダンジョン攻略』のメンバーにもアルケシスが選ばれた。
そしてこの地下遺跡へのダンジョン突入を機に、自分がこの世界から退出する事になるとは当然思いもしなかった。
地下に潜ると、そこにはこの世界に存在しない筈の『恐竜』が数体存在していて、このまま放っておいて地上まで上がって来られると大変な事になるという事で討伐する事になったのだが、恐竜のその攻撃力や耐久力が半端なく、リオが登場するまで数十人ほどの死者を出してしまった。
そしてリオと合流した直後、地下遺跡に眠っていた次元転移装置の『門』が戦いの最中に破損した事で暴走し、ニケを含む数名がレニアナから飛び出ししまった。
装置はその後、リオの手で使用不能にしたらしいのだが、後日それが修復されて使用される事になるとはリオ達も思わなかったらしい。
装置を破壊したその後、王国が異世界の者達により侵略されているとの事を聞き、2重転送にて一気に王城まで飛ばしてもらい、ヴァンと合流。
そして、
人質になっていた王族を救い出し、侵略者であるゼリア軍を倒したと思った直後、裏切者と倒したと思った者の凶弾でイングが側頭部を撃ち抜かれ──即死した。
焦った俺はヴァンの静止を振り切り、錬成術ではなく『蘇生術』を執行し、三途の川を渡ろうとしたイングの魂を呼び戻し蘇生に成功した。
しかし、資格保有者以外の者が勝手に蘇生術を使用した罰として俺は『天罰』を受ける事になった。それも天罰は俺自身にではなく、『この世界の住人で佐夜に関わった者達の全ての記憶を消去する』といったもので、エミリアは当然、アルケシス、そしてイングまでもが俺との記憶を消される事になった。
その為、もうこの世界に留まる必要性は無くなるのと同時に、何故か俺の意識も『俺』に戻った。聞くところによると、俺の場合イングが関係しているらしいので、そのイングとの関係が切れた今、それが元に戻ったという事らしい。
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本当に色々あった幻想界【レニアナ】を後にし、ヴァン達が乗って来た『エルシオン』で次の現場に向かいながら、俺が元いた世界がどこにあるのかを探してもらう。その間に協会のトップである如月マロンからメンバーの紹介と『世界管理協会』の業務内容を軽く聞き、今現在亜空間で起こっている現象の報告を聞きながら次の世界【アルフィーニ】に着く。
そこでは色んな物質界から召喚された勇者とその他の人間が大勢存在していて、リオ達の仕事はそれらの召喚された人達を元の世界へ送還する事で、ここでリオ達の仲間である『ゼロ』『ユフィ』『陽菜々』と合流した。
詳しい事情を知っていそうなゼロに話を聞くと、この世界の神が殺されていて、世界を覆っている外殻がボツボツと結構な数の穴が開いているが故に、そこから大量の人間が召喚されているとの事らしい(ゼロが来た時点で外殻は修復済み)。
小説&漫画を見て、夢見た異世界での無双プレイに酔っている勇者達からの反撃もあったが、何とか殆どの召喚された人達を帰す事に成功した。ただし例外として、この世界で結婚し子供がいる場合や、死んでしまった者、その他特殊な事情を抱えている者は帰す事が出来ず、この世界で永住&成仏する事になった。
そして魔王将軍ベリアルと正義達がぶつかってその横やりを入れたゼロ&ユフィが正義達を助け、話を聞くと『妹が魔王軍に攫われたから帰れない』という愛沙の願いもあって、一行は魔王領に目を向ける。
そこには勇者達人間ではなく、神獣や怪生物などが召喚されていて魔族達はそれらを捕縛し調教&改造を行っていたらしい。そして愛沙の妹『真桜』もこの魔王領にいたのだが報告によると、真桜は『先代魔王の魂と融合した』らしく、安易に連れ戻す事が出来なくなっているらしい上に、当の真桜の精神状況も危ういという事で白羽の矢が立ったのは家事スキルの高い佐夜───つまり俺だった。
自分でも怖いくらいに慣れてしまった女物の服──メイド服に身を通した俺は面接をあっけなく通過し、簡単に真桜という少女と対談して愛沙と正義の事を話し、精神的に落ち着かせた後、メイドとして約半月ほど真桜と過ごした。
そして真桜を連れ戻し、神獣たちを送還させる日が来た時、イレギュラーな出来事が起きる。
世界破壊者───四月朔日剛という人が部下を引き連れて魔王領へ攻め入って来たのだ。
世界破壊者一行が乱入してきた事で混戦状態に入り、最初は敵対しつつも、最後は協力して魔王将軍の撃破に成功した。後日、正義の話によると何故かベリアルさんも味方になっていたらしいけど何でだ?
けど最後の最後で敵の最後の攻撃によって俺の胸に穴が開き一瞬意識が途切れ、その倒れる俺を見て真桜が魔力暴走を起こし、空間がヤバい事になり、陽菜々の転移を強化して次元転移し、何とか事を逃れた。
後日、正義の話によると、何故か俺の身を超心配したベリアルさんが既に次元転移して俺達のいない魔力暴走した空間に突っ込んで(四肢や臓器色々)吹っ飛んだらしい。
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そして今、俺達は【物質界A-348-00196W】、略称『ミシバ・イクロ』に次元転移してきて、何故か服屋でファッションモデルをさせられたり、ホテルにて【レニアナ】でロストしたニケとの再会と機関の人達と出会い、そしてリオが慕う楓さんと合流。
そして何故かこの国の首相が協会と機関メンバーを呼んだと思ったら総理が「佐夜たん!」と分けわからん愛称で俺を呼ぶし、提供者という輩が暗躍しているらしく、その被害に遭った舞華が闇落ちし、イングの時に使った蘇生術の応用『魂中侵入』で舞華の魂に生気を取り戻させ、アルフィーニで転移別れしたリオ達と合流し現在に至り、
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「いくら直接戦いに参加したらダメとはいえ……」
とあるカッコ可愛い衣装に身を包んだ佐夜が某有名な武道館の控室で一人愚痴る。
「佐夜、そろそろ出番よ」
「あ、ああ……分かったよぉ。もうっ!」
舞華に呼ばれて遂に佐夜の出番になった。
きっかけはリオ達が合流後、愛沙とリオ達女性陣(?)の願いでカラオケに行った時の話で、その時佐夜が歌っている所を何気にリオが撮影し『ヤーチューブ』にUPした所、再生回数が僅か1日でなんと、リオも想定外の3千万回をオーバーし、某『ピ○太郎(この世界にも存在した)』をも超える勢いでこの世界の人達に知られてしまった佐夜。
それがきっかけで急遽、魔界との間で次元戦争が起きるかもしれないという事で中止になる筈だった生中継の大型ライブを観客抜きでライブが行われる事になった。(総理とリオによる策略により)佐夜の飛び入り参加含めて。
勿論その目的はこの世界に住む人々の不安を和らげたり、今も戦っている兵やヒーロー達に勇気と力を与える為に歌う。といっても安全第一なので予定をキャンセルして開いた時間の穴をまとめて佐夜の持ち時間にするらしいが、流石に一時間も歌えないって!
そうリオに言うと、
≪大丈夫×2.歌姫であるさややならレニアナの歌も持ってるでしょ?≫
「確かにあるけどさ……」
≪この際歌はマイナーじゃなければ何でもいいと思うよ? あ、出来れば皆が元気になる様な歌が良いな!≫
「お前は他人事だと思って……」
電話の先で呑気なリオに対して溜息が出る佐夜。
「佐夜ー? 早くしないと司会の人が待ってるわよ」
「分かったー。はぁ、リオ、後で覚えとけよ?」
≪えー? 痛くしちゃダメだよ≫
「………」
舞華に再び呼ばれ、Mっ気なリオとの電話を切り、佐夜が諦めて覚悟を決めて舞台へと出た。
「おい、あれ見ろよ!」
「あの子が今、ヤーチューブで噂の……」
「マジで? 全然男には見えねぇ……」
「はぁ、はぁ、はぁ(興奮)」
「………(鼻血ポタポタ)」
ライブをキャンセルせずに出番を終えた出演者たち(男達)が興奮して佐夜を見ている。おそらく疲れから来るやつだろう。むしろそうあって欲しい。
「うっわぁ。あの子すっごい綺麗ね……」
「一体どこの事務所の子なの?」
「お、お持ち帰りにしてメイドさんにしたいっ」
「ヘンタイかっ。まぁ、気持ちは分からなくはないけど!」
「………(鼻血出まくり)」
おおう。女性歌手達からも熱視線を感じる……。
「ええっと、佐夜さんは実は『男の娘』だそうですが本当なのですか?」
「………はい」
男の司会者がそんな事を言うが、佐夜はここで男らしく『俺は男だ!』なんて言ったら話が進まないので、仕方なく妥協した。
「本当は女の子じゃないの~?」
「むしろそうだったらこんなに苦労はしてないですね」
女の司会者がそう言うと苦笑して言う。実際、本当に最初から自分が女の子だったのならこんな感情にはならなかっただろうに。
そしてそんな2人の司会者たちと佐夜がこの舞台に立つきっかけとなった事を端折って話し、時間が迫って来て男の司会の人が歌のタイトルを言う。
「それではお聞きいたしましょう。まずは1曲目と2曲目【戦いの戦歌】と【護り人】です。どうぞ」
そしてここから佐夜の単独ライブが始まった────
※:ちなみに作者の都合で歌詞までは思いつきませんでした。すみません(_ _)
※:後、この放送は佐夜が歌う部分だけ世界中継される設定です。
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~SS~
ティーナ「わぁー。この歌、良いですね」
マロン「そうね。何だかこれ聞いてると眠くなってくるわ……」
ティーナ「マロンさんのそれはただの疲れから来るやつですっ」
マロン「そ? まぁいいわ。音楽はそのままにしていいから私はちょっと寝るわね……」
ティーナ「あ、はい。お疲れ様です」
そう言ってマロンは理事室に備え付けのベットで寝入った。
ティーナ「これを歌っているのが男の人だなんて未だに信じられないよリオ」
ティーナが聞いていたのはリオとゼロが作曲・編集し、佐夜に歌わせた物だった。そしてこの後、イニシエ中に佐夜の歌をうっかり流してしまった事で佐夜が後日、大変な目に逢うのだが、それはまた今度。
本分にも書いてある通り、流石に作詞までは思いつきませんでした。
自分の才能の無さが恨めしい……。
次回は4/22予定です。




