第20話 ~正義とチャアの合流~
春ですねぇ。花粉症がキツイデス……
「覇導連撃!」
ガガガガガガガ、ガキィン!
「GOOOOOM!?」
「くっ、かってぇ~」
愛沙を襲っていたゴーレムを引き剥がす様に連撃を加える正義だが、ゴーレムを2、3歩引かせ、仰け反らすだけで傷一つ付いていない。
「正義の攻撃で傷すら付いて無いなんて……何て硬いゴーレムなのよ?」
これが鉄や銅程度なら難なく切り裂けるだけの力を持つ(一応勇者の)正義だけに傷一つすら付かないのを見て愛沙が驚愕する。
「ゴーレムは元々、特殊な石や金属などの鉱物を好んで食すって聞いた事あるからな。多分、この廃工場地帯周辺に転がっている色んな金属を取り込んだからこんなに硬いんだろうな。すっげぇ、手が痛い……」
一旦、両手剣を下ろして太ももで挟み、手をブンブンと振って痺れを和らげる正義。
「GOOOOOOM!!」
「ど、どうするの正義? 折角再会したのにこれじゃあ……」
全然ダメージが入っていない超合金ゴーレムが一歩ずつ近付いてくるのに対し、魔力切れの愛沙が焦る。
「大丈夫だ。俺もお前と生き別れた時の俺じゃない。ちゃんと手はある」
「へ?」
焦る愛沙とは反対にやけに落ち着く正義に愛沙が変な声を上げる。
「我が手に宿りて光の翼、折れぬ悪を切り裂く刃となれ───『光翼刃』!!」
ファアアアア─────
「剣が羽に? っていうか、光ってる!?」
初めて見る正義の技に驚く愛沙。
幻想界アルフィーニで愛沙が真桜と(佐夜も)共に自分の元から居なくなった後、『ベルガイア』の修練室を独り占めし、ひたすら地力を上げていたのだ。勿論新たに覚えた技はこれ一つだけではないけど。
「はぁあああああああああああああ!!」
カッ──────
正義が更に魔力を込めると、光の翼と化した剣は大きく、光も強く、更には周りに残滓の羽が舞うという、いかにも勇者らしい剣がそこにはあった。
「GO、GOOOOOOOOMMMッ!!!」
流石にその異様な光景を見て焦ったゴーレムが急加速して接近してくる。
「遅ぇ!」
スパッ───!
が、それよりも早く正義が逆袈裟でゴーレムをあっさりと切り裂く。
「GOッ!? GOOOOOOOMMM!!!?」
たったそれだけであれだけ硬かった超合金ゴーレムが斜めに切り裂かれた。
「半分に斬ったといっても、ゴーレムはそれでも動きやがるからなっ。ってことでオラオラオラ!」
スパパパパパ──────
「GOOOOOM──────………」
そしておまけに念の為、動けなくなるまで切り刻み、ゴーレムは断末魔(?)を上げながら機能を停止した。
「と、止まったの正義?」
「ああ、覚えたての技を試すのにも丁度よかったし、やれるだけやった」
どう見てもオーバーキル気味のバラバラゴーレムを見て頬が引き攣る愛沙にドヤ顔で正義は言った。
ガラガラガラ────
「あ、やべぇ……やりすぎた」
「え?」
すると突然正義の斬った方向から建物が崩れていく。よくよく考えてみればあれだけ硬いゴーレムをスパスパ斬れる剣でしつこく斬ったんだ。その余剰で建物を支える柱や床、骨組みなども全て切断されているのは、崩れる様子を見れば容易に想像が出来る。
「んじゃさっさと逃げるぜ!」
「え、きゃっ!? ちょっと正義!?」
魔力切れで走れなさそうな愛沙を(お姫様)抱っこし、そのまま崩れる建物から跳んで脱出する。
「って、あああっ、正義! まだあそこには小さな女の子が!」
「アレは放っておいても大丈夫だ!」
「大丈夫な訳無いじゃない! いやああああ!」
助けるはずの少女を置いてきぼりにして崩れる建物から脱出した事に、正義の腕の中にいる愛沙が悲鳴を上げる。
「おー。外にいた魔物達もきっちり掃除されているな」
別の廃物件の屋上で愛沙を下ろした正義が下を見下ろして言う。
先ほど愛沙が来た時にはちょこちょこいた魔物が皆、銃で撃たれて討伐されていたのだ。
「ちょっと正義! 何で、何であの子を見殺しにしたのよ!!」
「おおうっ!? あ、愛沙、落ち着け落ち着けって」
「こ、れ、が、落ち着いていられる訳無いでしょ!」
すると愛沙が激おこして正義の前襟を掴み、がっくんがっくん揺らして正義がピヨる。
「いいから俺の話聞けって。さっきお前と一緒にいた女の子の事なんだけどよ」
「……何よ?」
激おこ顔が詰め寄って来る愛沙の視線を崩れた建物へ誘導する。すると、
「ぬああああ! もう少しだったのにっ!」
ガラガラと、瓦礫の中から少女が出て来た。って、ええええええ!?
「え、ちょっと! 何で生きてるの!? ありえないでしょ、見殺しにしておいてなんだけどっ」
「混乱するのも無理ないけど、いい加減落ち着けってっ」
「あたっ!?」
混乱する愛沙の脳天にちょっとをかます。
「ぬう、こうなったらしょうがない。はぁ!」
そうこうしていると、少女の身体が黒く光り、それが収まるとそこにはコウモリの様な羽と角が生えた少女の姿があった。
「え、ええええっ!?」
「ま、そういうこった」
少女の正体が『悪魔』だったということに愛沙が驚愕する。それに対し冷静な正義は最初から少女の正体を分かっていた様子。
「つかよ愛沙、そもそも何であんな所に一人でいたんだよ?」
「それは……」
逆に正義に質問された愛沙は何でここに来たのかを説明する。
陽菜々が転移で連れて来た怪我人の一人が「廃工場区域で少女を見た」との情報を受け、仲間に知らせようとしたのだが、今は愛沙以外全員出張らっていて、仕方なく愛沙が保護しに来た事を。
「はぁ、お前な、いくら元の世界に似ているからって一人で敵陣の中に入るなんて無茶し過ぎだろ」
「ご、ごめん」
「ま、その結果、ここに直接転移してきた俺達と合流出来た訳だし、結果オーライ、か」
「ん? 『俺達』?」
正義のセリフが気になった愛沙がその真意を聞こうとした。その時、
「っ! 見つけたぞ。勇者諸共、このアラベラの糧にしてやるわ!」
「あ、こっち来た」
変身を解き、悪魔の姿になった少女『アラベラ』がこちらに気付き、真っ直ぐ飛んで来る。
「なぁ愛沙、さっき俺、『外にいた魔物達も掃除されている』って言っただろ?」
「こんな時に何言ってるの!? 敵が迫ってきてるのに!」
こちらに真っ直ぐ向かってくるアラベラに愛沙は焦るが、何故か正義は武器を構えようともしない。どうしたというのか?
「何、簡単な事だ。ここに来たのは俺だけじゃないって事、さ」
タァン────
「ギャッ!?」
「え?」
正義の最後の「──、さ」あたりで微かな銃声と共に飛んで来た悪魔少女アラベラに着弾し落下していく。愛沙も何が起きたのか分かっていない様子。
「この世界に来たのは俺とリオ、チャアと、そして長距離射撃が得意な義信だ」
ふふんっ、と意味も無くドヤ顔で正義は言った。
………きっとアラベラを撃ち落とした義信もドヤ顔している事だろう。
「って、お? まだ生きてるぜ」
「あ、ホント。でも何で人間の姿に?」
2人が見下ろすとそこには人間の少女の姿でモゾモゾと動く元悪魔っ子。
実はこれ、義信が使った弾の効果で、『封魔弾』という、撃たれた魔物、魔人、その他の人外なる者を強制的に無害なモノへ変身させるといった、撃たれる側としては実に悪魔的な代物である事を勿論2人は知らない。
「で、どうしようかアレ? そのまま放っておいたら確実に死ぬだろうけど……」
「い、一応保護……しようよ。あのまま野垂れ死にされると思うと目覚めが悪いわ」
魔力を封じられ、強制的に人間の姿にされたアラベラがこのまま放置された場合どうなるか、その様子が安易に想像できた2人は少し悩んだ結果。捕まえる事にした。
ちなみに何で最初アラベラが人間の姿で廃工場の中にいたのかというと、次元転移に巻き込まれ、この世界に来てからというもの、元の世界にはあった空気中の魔素がこの世界には無かったせいでどんどん衰弱していったのだ。で、唯一の手段として一緒に転移してきた従魔のゴーレムを護衛に、この世界の一般人達から僅かづつではあるが魔力を頂戴していたのだ。
しかし、ゴーレムの主食は石や金属などの鉱物類。色んな種類の金属を体内に取り込み過ぎた結果暴走し、主人であるアラベラにまで手を出された事で益々アラベラは少ない魔力を消耗していったのだ。故に魔力消費が抑えられる人間の姿で凌いでいたのだ。
だがそんな死を待つアラベラの元に幸運が舞い降る。
偶然にも一般人より魔力値が多い、回復師の愛沙がアラベラの救助に来た(らしい)からだ。愛沙がアラベラ少女の怪我を治すタイミングを見計らって、少しづつ魔力を頂戴していったのだ。勿論愛沙を殺す訳じゃないから十分な魔力だけを貰うつもりでいたアラベラだったのだが、そこにあの恐怖が訪れる。
それは元従魔であったゴーレムが更に謎の金属を取り込んで禍々しくなった姿。
救助に来ただけあって盾の能力も優れていた筈の愛沙だったが、アラベラの魔力吸収が予想以上に多く愛沙の魔力を吸い取ってしまった事によって愛沙は長時間盾を維持出来ず、最終的には愛沙とアラベラを一階部分からぶち破るといった強引な方法でふっ飛ばされた。
流石にふっ飛ばされる直前に得た魔力でシールドを張り、致命傷を免れたアラベラだったが、その衝撃で気絶。その後、ゴーレムを倒した正義は愛沙を連れて脱出。勿論正義はこの時点でアラベラの正体を知っていた為に放置したのであって、決してワザと『人間』を見殺しにしたわけじゃない。
この少女が人間であったらなら勿論正義は助けただろうが、『そもそも何でこんな魔物がウヨウヨいる所に少女がいるのか?』という疑問があったのもあって正義はアラベラを見た瞬間、すぐに気付いたのだ。
それに対し、建物が崩れる瞬間目が覚めたアラベラはこのままでは死ぬと思い、自分を置いてきぼりにして去って行った2人に「助けて!」と叫んだが、崩れる音によってかき消され、生き埋めとなった。
生き埋めになる瞬間、怒りで変身出来はしたが、長時間は保てない以上、魔力枯渇による死も目前に迫っている為、自分を見殺しにしようとした2人目掛けて飛び掛かったが、それは義信の『封魔弾』によって撃ち落とされる。
「がはっ!?」
血を吐き、地面に落ち、更には強制的に人間の姿に変えられ、怪我や、魔力枯渇による死が更に近付いてきたアラベラだったが、
「はぁ、はぁ………え?」
気付けばいつの間にか2人が自分の元に来て、回復や魔力譲渡(正義の新スキル)で回復させられていた。
「な、何……で?」
回復中ではあるがダメージの為に上手く口が回らないアラベラに対し、
「俺は放っておいても良かったんだけど愛沙がな」
頬をポリポリとかく正義に、
「例えどんな状況であっても死にそうな人(?)を放っておけないわよ。人としてね」
回復師として、そして悪魔というよりは魔王が妹にいる愛沙にとって、悪魔であろうと小さい子が死ぬのを見たくなかったのだ。ただそれだけなのだ。
「くっ………」
そんな裏表の無い愛沙を見たアラベラは自分が恥ずかしくなり、そっぽを向いて大人しく救助された。
・・・・・・・・・・・・・。
「おーい。愛沙さーん!」
「お姉ちゃーん!」
「どこですかー?」
人間の姿になったアラベラを救助し終えた2人の元にユフィ、陽菜々、真桜の3人が愛沙を探して捜索していた。
「あ、みんな! おーい、こっちよー!」
「あ」
「いた! あそこです」
声に反応した愛沙が陽菜々とユフィを見て手を振って知らせる。
「やっと見つかったかえ。全くお姉ちゃんはいつも無茶するんじゃ……か…ら?」
陽菜々とユフィの後ろを歩いていた真桜も建物の角を曲がって、愛沙を見る。その際、その隣にいる人物も目に入る訳で、
「え……。お、お兄…ちゃん?」
「ん?」
その人物を見て真桜が呟くと、その人物──正義も真桜を目視。すると、
「お、お兄ちゃ~~~~んっ!!!」
「っっっ!!?」
いきなり謎の魔族少女に『お兄ちゃん』呼ばわりされた正義が衝撃を受けるが、そんな事は真桜には関係なく、物凄い勢いで突っ込んで来る。勿論それは攻撃の類では無いというのは正義も気配で何となく分かっていたのだが、それでもあのスピードで突っ込まれたらただじゃすまないだろう。
故に、
「あらよっと」
ひょい
「ぬ? ぬああああああああああっ!?」
ドカーン!
感動の再会と思いきや、正義があっさりと真桜を避けた為、真桜は崩れた建物にダイブして凄い音が鳴った。
「ま、真桜ー!?」
「「真桜さん!?」」
いきなり正義の方に走って行ったかと思ったら瓦礫に突っ込んで行った真桜に3人がビックリする。
「えっ? 今のが真桜……だったん?」
今日一番ビックリしたのは恐らく真桜を避けた正義だろう。語尾が方言になっていた。
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一方こちら、リアとニケのコンビはとある西日本の大きな空港の滑走路にいて、そこで超大量(約2万程)に発生した影、所謂『ファントム』と呼ばれる化け物と戦っていた。
物理攻撃が可能という事で、最近暴れられないという事からこの2人がここを担当する事になったのだ。勿論滑走路がこんな状態なので空港は閉鎖している。
誰の目にも憚れず暴れられるので2人はリミットを解除し、可能な限り暴れまくった。それはもう、獣の如く。
ちなみにその際、当然の如く、例のヒーロー達(戦隊&仮面)がやって来るのだが、邪魔な為、適当に気絶させて空港の外に置いてきた。
「くっ、何なんだお前達はァ!?」
ファントム達を率いていたボス的な奴が叫び、リアとニケはそれを嘲笑うかの様にファントムを蹴散らしていく。
「クソがっ! こうなったら───」
と、半ばヤケクソになったボスが何かを取り出してそれを飲み込んだ。
するとあれ不思議、どんどん大きくなっていき、巨大化が収まった時には全長100メートルは超えていた。多分だけど。
普通ならこう形勢が逆転された事で怯んだり戦略的撤退をも視野に入れるのだが、ここにいるのは亜人の戦闘狂。普段相手に出来ない巨人をどう攻略しようかと考えながら巨人の攻撃を躱す。
そして2人が巨人をどう倒そうかと考え、その思考を元に行動を移そうとした。
その時、
「ちゃありゃあああああああっ!?」
「ゑっ!?」
と、2人の間から何かが通り過ぎていった。
「とう!」
そしてその何かは巨人目掛けて跳んだ。
「え? チャア?」
「茶?」
その走って跳んだ人物を見てリアは呟き、ニケは目をまん丸とさせて言った。
「アー、チャチャチャチャチャチャチャ、チャチャチャ─────」
ドドドドドドドドド──────
「うっわぁ……何か、凄いねあの子……まさか普通に百裂拳かますとか」
「それはまぁ、チャアですし……」
どこにそんなパワーがあるのかと言わんばかりに巨人を滅多打ちにするチャア。既に巨人は白目を向いていて、ライフはゼロどころかマイナスにいってるだろう。
「茶々茶々茶──────」
「『茶』言うてるし」
「あ、あははは……」
だというのにまだ巨人をボコるチャアに2人は半笑い。
「太陽まで、飛んでけぇぇっ!!!」
ドカッ─────
そして強烈な一撃が入ったと思ったら、一瞬時が止まったかの様に衝撃波が発生。そして、
「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ───────」
ファントムの巨人は太陽まで吹っ飛んで行った。
ちなみに太陽に激突した事で後にこの世界にある変化が訪れるのだが、それは協会と機関メンバーが去った後の話。
「あー、せっかくあまり出会えない獲物を取られちったかー……って、ぬおっ!? 何この子達? 何時の間にここに!?」
「……その子達は私の部下で剛様の配下ですよニケ」
「そ、そう……」
巨人に目を取られている間にチャアと共に転移してきた剛の配下達がファントムと戦っていて、もう生き残っている敵はほんの少しだけになっていた。
「せっかく久しぶりに暴れられると思ったのになぁ……」
「そうですね。少し不完全燃焼気味でしょうか……」
せっかく暴れられる現場を選ばせてもらったのに半分くらいしか戦えなかったので2人は溜息を付く。
「「ま、別にいい(です)けどね」」
戦える場所はここだけではないから、という事で無理矢理納得した2人だった。
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SS
リオが佐夜と合流した時に水を浴びた為、ついでと言わんばかりに佐夜が風呂に入っているシーン。
リオ「さやや! リオも(お風呂)入るー!」
佐夜「って何で裸なんだよリオっ!?」←つい目を逸らす。
リオ「あれあれぇ? さやや、リオに欲情してるの?(ニヤニヤ)」
佐夜「するかバカ! 慎みを持てと言ってんだ」
リオ「むぅ。さやや、真面目か!」
佐夜「お前がふざけすぎなんだよ。そんなんじゃヴァンに嫌われても知らんぞ」
リオ「リオ、隊長にはこんな事しないもんねー」
佐夜「ったく……」
リオ「さやや、改めて久しぶり!」
佐夜「ああ、そうだな」
湯船に漬かりながらリオは身体を洗う佐夜と再会を喜んだ。
へっきし!
ズズ……ではまた。




