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第18話 ~錬成術の師匠と再び戻った性格~

 はい、この話で佐夜の性格が元に戻ります。

 例えば外見で言うなら『僕っ子』の場合だと眼が垂れ目気味になり、『俺口調』だと若干ツリ目になる感じで想像すれば分かりやすいかと。またいつか『僕っ子』になるのかねぇ?


「──夜よ……」

「ううん……、もう食べられないでf……ZZZzzz………」

 時刻は午前6時前。早い人はそろそろ起きるこの時間帯。食べ物の夢を見ているのであろう佐夜の枕横に誰かが佐夜を起こそうとしている。だが当の佐夜はむにゃむにゃしていて実に可愛……ごほん、全然起きる気配すらない。


「……(溜息)。これ、起きんかっ」


 ポカッ!


「あたっ!?」

 佐夜の横に立っていた初老の爺さん。アルガド爺さんが杖で横向きで眠る佐夜の側頭部を叩く。夢現ゆめうつつ状態だった佐夜はその衝撃ですぐに目が覚める。


「………(周りをキョロキョロ)。………(アルガド爺さんと目が合う)。……っ、じ、爺さん!? 何でここにいんだっ!?」

 しばらくボーっと呆けていた佐夜だったが、アルガド爺さんが視界に入るや否や凄い驚いた。夢の中ではなく現実に現れればそれはもう驚くのは当然だろう。その証拠に、

「ってアレ? 何か…気分がおかしい……?」

 といって自分の身体を弄る佐夜。特に異常は無い。しかし、


「ふむ、どうやら治った様じゃのぅ」

「治った? 何が?」

「その『一人称』と『言葉使い(せいかく)』が、じゃ」

「は? 『俺』の一人称と『言葉使い(せいかく)』? ………あ、ホントだ。戻ってる?」

 自分に取り巻いてた甘い雰囲気(かんじ)が払拭され、レニアナで天罰を受けた後、元に戻った様な感じになっていた。


「元に戻してくれたのは感謝するがさ、何でここにいんの? あんたあの世界の管理者……つか神様なんだろ?」

 以前夢の中で再会した時は『神だから他の世界に干渉できない』みたいな事を言ってた()な気がするけど、今は普通に現実に現れている。


「ここ一月ひとつきは有給でお休みじゃ」

「なんだそりゃ!?」

 つか有給って……神様業界(?)にもそんなのあるのか!?


「それで? 休みなのは分かったけど何で俺の所に?」

 もしかして爺さん、友達がいないとか?


「何故って、お主な……。あれほど気を付けよと言ったのに早速再会しとるではないか」

「再会ってもしかしてニケの事か?」

「そうじゃ。幸いあやつの場合、天罰前にレニアナから居なくなった故、その影響を受けとらんから何の問題も無いんじゃが……」

「じゃが?」

 眉を顰める爺さんに首を傾げる佐夜。うむ、性格が直ったとはいえ、相変わらずの可愛さ。少し注意をしようとした爺さんだったが、佐夜のその孫娘っぽい感じ(?)に少しだけあった怒りですら霧散して溜息が出る。


「……その亜人ニケを連れた状態で万が一、エルフ達(小僧共)と出会ったら小僧共の記憶が戻る確率が格段に上がってまうぞ」

「あ~。今はニケだけが唯一両方を知っているからな……」

 佐夜は勿論イング達を知っているが、逆にイング達は佐夜を知らない、いや、覚えていない筈だ。


「おまけに昨日までのお主を遠巻きで見ておったが、ニケだけにあらず、昨日までのお主の(僕っ子)性格だと、小僧共と再会した時、更に記憶が戻る危険が高い」

「……だから俺の性格を直した、と?」

「そうじゃ、この杖でポカッとな」

「まさかの物理っ!?」

 神様なんだからこう、神通力とか使えよ!


「んあ~っ、ふぅ、ここに来た理由は分かった。んで爺さん、これからどうすんだ? 朝食でも食べていくか?」

「そうじゃの───うっ!?」

 ベットの上で欠伸をしつつ、爺さんに問いながら佐夜はパジャマを脱ぎ始めると、佐夜を見た爺さんの動きが硬直し、目がむいた。


「お、お主……遂にそのいきにまで達しておったのか………」

「その域?」

 佐夜を見た爺さんが鼻血を垂らし、佐夜を指差す。正確には佐夜の胸元、つまりパジャマの下の『ネグリジェ』を指す。


「………。……っ(赤面)! み、見るなこのクソ爺!」

「そしゃげっ!?」

 急に男の性格に戻った為、すっかり(ネグリジェを)着ていた事を忘れていた佐夜は顔を真っ赤にしながら目覚まし時計を爺さんに投げつけて爺さんを部屋から追い出す。


「んんんn~~~?」

 ユフィが来た為、部屋割りを変更して同じ部屋になったルイが「何があったの~?」っと寝ぼけた状態で佐夜を見つめていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「「「誰?」」っすか?」

 それを言った勇治郎とやすし、グラスの3人が指すのは初対面のアルガド爺さん───ではなく、朝食を作っていた佐夜にだった。


 この3人は例のごとく、夜に暴れる怪人や魔物、それに対抗すべく出てくるヒーロー&ヒロインへの対応に追われて先ほど帰って来た。

 で、いつもならエプロン姿で出迎えて来てくれる佐夜がいず、仕方なくキッチンへ向かったところ、朝食を作っていた佐夜は男性用のエプロンを着用し、尚且つ髪型もポニテではなく、ただ一本に纏めただけの簡単な髪型になっていた。

 そして極め付きがこれ、

「おう、おかえり。朝食は今作ってる最中だから先に風呂入るなり、着替えるなりしててくれー」

「「「………。………?」」」

「ん? 『俺』の顔に何か付いてる?」

「「「っ!?」」」

 そして3人は佐夜の『俺』発言に衝撃を受けて後退り、最初の「誰?」に戻る。


「?? 何で3人共そんな衝撃を受けた顔してんだ?」

「いやいやいや……」

「それはむしろこっちが聞きたい……」

「っすね。色々と……」

「???」

 三者三様の悩みに佐夜が首を傾げた。

 

「と、いうわけじゃ」

「なるへそ。こっちが本来の性格だったって訳か」

 知らない老人が何故か家に上がり込んでいる事も含め、勇治郎達とアルガド爺さんが色々と情報交換をして佐夜が朝食を作り終える頃には丁度話も終わっていた。


「……でもなぁ」

「……っすねぇ」

 納得した勇治郎に反し、佐夜の振る舞いに違和感を感じまくりの2人は苦い顔で佐夜を見る。出会ってからずっと毎日の様に『乙女系・佐夜』を見ているだけあって違和感しかない。


「ふぁあああ~」

「「「おはようございます」」」

「なのじゃ……(半寝)」

「zzz……(寝)」

 すると、7時になって女の子達が部屋から出て来た。きちんと起きているユフィや陽菜々、リアは流石に着替えも済んでいるが、欠伸をかいている愛沙はともかく、半寝状態の真桜やゾンビみたいに寝ながら歩いてくるルイは結構だらしない。


「にゃふぁあああ………んにゃ!? 何でここにセクハラ爺さんがいんのさ!?」

「ああ、お主かネコ娘。久しいのう」

「何だい、またわざわざサヤにセクハラをしに来たのかい?」

「んなわけあるまいに。わざわざそれだけの為にここに来るわけ無かろう」

「それだけ(・・)って、セクハラ()しに来ている事を自分で言っちゃってるじゃないのさ」

「「「「「っ!?」」」」」

「zzz……」←ゾンビルイ(笑)

 ニケのセクハラと言う単語に反応した他の女子(愛沙、真桜、陽菜々、ユフィ、リア)が自分の身を庇う。ルイは両手を前に出しながら前を見ずに歩く。


 ゴンッ!


「あたっ!?」

 あ、柱にぶつかってようやく目が覚めた。



「そうですか、貴方があの佐夜さんに錬成術を……」

「あのって何?」

 二度手間になった説明を佐夜とアルガド爺さんで女子達に言うとユフィが何やら意味深な事を言い出して佐夜がツッコむ。


「にしても爺さん。よくアタシらの居場所が分かったね。…サヤ、おかわり!」

「ふふん。ワシは神じゃからの。調べるだけなら朝飯前じゃ。ワシもおかわり!」

「朝飯前どころかおかわりまでしてんじゃん。はい!×2」

 ドヤ顔で言う食欲旺盛な爺さんと食いしん坊のニケにおかわりを渡す。


「むぅ~」

「さっきからどうしたのよ真桜? そんな頬を膨らませて」

 そんな佐夜達を余所に、この中では最年少の真桜が頬を膨らませて憤っている。


「そこのジジイが妾と喋り方が被っとるのじゃ!」

「む?」

「ああ、そゆこと……」

 何を嘆いているかと思ったら老人と喋り方が被っているかららしい。アルガドの場合は普通に年老いているからであるが、真桜の場合、アルフィーニでの魔王として威厳を保つために佐夜と作ったキャラであるが、今ではそれが素になっている為、口調を戻すのが無理らしい上、その方がキャラが立っている。

 けど実際の老人と比べると違和感が出てくるものらしい(本人談)。


「あーほら陽菜ちゃん。頬っぺたにご飯粒付いてますよ。ご飯は逃げません」

「みゅ?」

「……陽菜々さん、膝にもご飯粒やオカズが落ちてますよ。もっと落ち着いて食べて下さい」

「みゅみゅ?」

 一方、おいしいごはんに夢中の陽菜々がポロポロとご飯粒やオカズの破片を散らかし、ユフィとリアにお世話される。


「それにしてもお主、随分と他の者の世話するのが染みついとるのぅ」

「そうか?」

「そうじゃ。レニアナに居た時はそれほど他の者の世話はしておらんかったじゃろうに」

「まぁ、確かに……」

 佐夜が他人の世話を積極的(?)にする様になったのは、アルフィーニでの真桜の世話と、僕っ子に再びなった時の影響が強く出ているみたい(本人談)


「そういえばこの世界に大きな穴が開いている様じゃが。アレは直さぬのかえ?」

「ああ、あれか……」

 この世界に来た時に気付いた穴の事を聞いた爺さんに応えたのは勇治郎。


 佐夜達がこの世界に最初に来た時以前から開いていた大穴。最初は『提供者エンターテイナー』を完全に駆逐して、提供者の親玉との連携を絶ってから塞ぐ予定だったのだが、今はこの世界に『魔界』が接近しているとの情報が入っている為、安易に塞ぐ事が出来ない。

 今、塞いだ場合、この世界に到達した魔界がぶつかって融合、または接続して悪魔達が侵入する時に穴が無いと、また別の穴が開けられる恐れがあるからだ。その場合、何処に開けられるか全く予想が出来ない為、あえて今ある穴を放置しているのだ。正直その他の予定外事案が起きる危険極まりない状態ではあるが。


「ふ、例え悪魔達が千匹、一万匹来ようがルイの銃でハチの巣にし(キュベっ)てやるんだから!」

「きゅ、きゅべ?」

「いや、その装備だけじゃ無理だろ」

「大丈夫、問題ないよ!」 

「……ルイ。そのセリフはマミるから止めとけ」

「ま、マミ?」

 ルイと勇治郎が何を言っているのか分からない。


「それより爺さん。この後どうすんだ?」

「そうじゃの……」

 ルイと勇治郎は置いておいて、爺さんにこの後の予定を聞くと、少し悩んでこう言った。


「しばらくは有給で休みじゃからの。久しぶりに佐夜、お主を鍛える事にするわい」

「うわ、藪突いた!」

「お気の毒だねサヤ」

 こう見えて佐夜の錬成術の師匠であるアルガド爺さん。普段はセクハラ爺ではあるが、修業自体は結構きつい事を佐夜は思い出すが、時すでに遅い。


 こうして佐夜の午後は久しぶりに錬成術の修業をさせられる事になるのだが、その途中にやって来た楓にも「誰だこの佐夜の偽物めっ!」と言われてややこしい事になった一日だった。


 リオ達が乗る『ベルガイア』が到着するまで後3日(迂回の為、予定日が伸びた)。

 そして『魔界』が到着するまで後5日前後。


 ヴァン達はそれまでに間に合うのだろうか?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ~SSショートショート


イオン「おーい。理事長、今帰ったでー」

ゼクター「………」

 イニシエ本部に戻って来たゼクター達。


ティーナ「あ、お帰りなさいお父さん。イオンさんも」

ゼクター「ああ」

イオン「おお、ただいまや。……にしてもティーナやん、相変わらず礼儀正しいなぁー」

ティーナ「そ、そうですか?」

イオン「そうや。この組織、言葉使いはともかく、礼儀っちゅうもんが足りん奴が多いねん」

ティーナ「そうなんですか?」

イオン「そや。特に中途半端に能力ちからを持った奴とか、後、「自分は頭脳派だから」ってからにタメの奴が多いねん。態度も悪いしなっ」

ティーナ「……それはイオンさんにも言えるのでは?」

イオン「っ!? それは盲点やった……。ゼクターはん、わいの態度って………もうおらんし!」

ティーナ「あ、あはは……。では私も失礼しますね」

イオン「おう。これ土産な。理事長と一緒に食ってや!」

ティーナ「はい、ありがとうございます」

 中途半端に関西弁を喋るイオンから土産を貰い、ティーナはマロンの元に行った。

 


 次回はようやくリオ達が佐夜達と合流します(多分後半くらいには)

 後、もうしばらくすれば本業の方にも余裕が出てくる予定なので、そうすれば執筆のスピードも上がると思います。

 ではまた。

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