第16話 ~ヤンキーと提供者と動く世界~
おああああ、間に合ったー(?)
な、何とか仕上げました。
誤字や表現違いがあったらすみません。
佐夜の性別を知り、絶叫する舞華のシーンはさておいて、ここは海岸から2、3キロ程離れたオフィスビルが並ぶ都会の一角……の路地裏。
「「「「「ギー、ギギィー!!」」」」」
「アクアスプライツ!」
「ブルーライドフレア!」
「ホワ○トスパイク!」
「クリア・クロー!」
ドォーン、ドォーン──────
「「「「「ギィーッ!?」」」」」
「はぁ、はぁ……」
「何なのこのバケモノ……」
「災魔……じゃないよね。新種……?」
「あなたなら何か知らないメルモ?」
「ルモも知らないメモ」
楓達からフィードアウトに成功し、更に攫われたメルモの奪還も出来た4人の魔法少女達がビルの入り組んだ路地裏で出くわしたのは、今まで見た事も無いバケモノだった。一応こちらの攻撃は効いているので倒せない事も無いが、数が多い上に通路も狭い。
おまけにここはビルの路地裏。大技を出してビルに当たろうものならそのビルが崩れて自分達に被害が出るので迂闊に技が出せない。
そして少女達は信じない。その腕に抱いている小動物がこのバケモノ達(妖魔)を呼び、あえて危機を呼んで臨場感を出し、提供者としての仕事をしている事に。
ドォーン!!
「「「「「ギィーッ!?」」」」」
「「「「っ!?」」」」
そして少女達と提供者メルモに近付く2人組がすぐそこまで来ていた事に。
「よう、そこのガキんちょ共。大人しくその抱えている物を渡して貰おうかぁ?」
「いや、やっさん……。そのセリフは悪党っぽいよ?」
「お前もやっさんは止めろ……」
魔法少女達の背後に居た大勢の妖魔を吹き飛ばしてそこに居たのはヤンキーとガンマンの恰好をした少女(?)。その2人を見て4人は一瞬ポカンとしたが、2人の狙いが『メルモ』だという事に気付き、警戒する。
「雑魚を吹き飛ばす直前に連絡があったが、お前等も一応聞いてるだろ。一般的にその外見が愛くるしい様に出来ているその生き物が諸悪の根源だという事によ」
雑魚妖魔を金属バットで殴り飛ばしたやすしがバットを肩でトントンしながら聞いてきた。が、
「そ、そんなの信じられる訳ないでしょ!」
「そうよっ。ずっと一緒にいたメルモがそんな事する訳無いじゃない!」
「「だってこんなに可愛いんだもん!」」
「だよね~。普通は、そうなるよねー(溜息)」←ルイ
やすしの怪しさ抜群と可愛いメルモ、どっちを信じるかというと普通は勿論可愛い方だろう。真実はどうであれ。
「ん、なら別に素直に渡さなてもいいぞ?」
「「「「え?」」」」
てっきりまた説得されるのかと思いきや、やけに素直に食い下がったやすしにちょっと拍子抜けする4人。
しかし、
「──無理矢理奪って(そいつを)殺すからよ」
「「「「───っ!?」」」」
やすしの爆弾発言に魔法少女の4人に緊張が走る。
「「「「「ギギー!!」」」」」
その緊張感に触発されてか、周りに残っていた妖魔が一斉にやすしに飛び掛かる。
「「っ!」」
「チャンス!」
「逃げるわよみんな!」
「「「うん!」」」
偶然湧いたチャンスに4人の魔法少女達は一斉に跳んで逃げようと踵を返す。
「おっと、それはさせないよっ」
逃げようとした4人を逃がすまいとルイが特殊な弾を使用し、愛用のリボルバーでビルのパイプを狙い、跳弾で魔法少女達を狙う。
パパパンッ!
パキィン×3
「「「え───?」」」
逃げようとした4人中、メルモを持っていない3人の鎖骨辺りに何かが横から掠め、変身アイテムが砕けて3人の変身が解けてしまった。
それは言わずもがなルイが放った特殊な弾で、その弾は変身(武装)、の契約を強制解除させる術式を組み込んだ弾『武装転衣解約弾』。これにちょっとでも傷を付けられた変身アイテムは効力を失い、そのアイテムでは二度と変身が出来なくなる仕組みだ。
まあ、ちょっと掠るどころか普通に変身アイテムに直撃して破壊したので弾の効果はあまり意味ないしちょっともったいない事したけど。
「後はお前だけだな」
「っ!?」
仲間達が一瞬で元の姿に戻される所を見てる一瞬の間に、狭い場所であれだけいた筈の妖魔が全てヤンキーに撲殺され、そのバットが血に濡れているのを見て凍り付く残った最後の魔法少女。
「……。どうせ大人しく渡さないんだろ? さっきは奪うとか言ったが、それだとお前等が怪我する恐れがあるな。なら、こうするかっ」
ヒュッ────
「え……?」
ヤンキーが近付いてきたので、メルモを絶対に離すもんかとばかりにぎゅっと強くメルモを抱きしめた魔法少女だったが、やすしのスキル『引力』によってあっさりとメルモはやすしの手に捕まった。
「か、返してっ。メルモを返しt───」
パァン! パリン────
「ぁ………」
バタッ────
大事な物を奪われて取り返そうとした魔法少女だったが、その手は届く事無く、ルイの弾丸で変身アイテムを破壊され、4人の魔法少女達は気を失った。
ちなみに弾は本人に当たってはいない筈で、本来ルイ達は別の方法で気絶させる予定だったのだが、どうやら変身強制解除の影響で気絶したらしい。手間が省けた。
「さて、今回の元凶であるテメェの親玉についての情報を喋って貰うぜ」
「……何の事だい?」
メルモの顔をアイアンクローしながら言うやすしに当のメルモはしらを切っているのか平淡と言う。
「隠さなくてもこの世界、及び他の世界においてお前等提供者が各世界を引っ掻き回しているという事は全部知ってんだ。お前の知ってる事を話せ。でないとこいつでお前の頭をぶち抜く」
掴んでいる手とは反対側のてに持っているのはバットではなく銃。それをメルモの頭に押し付けて脅すやすし。傍から見たら明らかにやすしの方が悪党だ。
「………。ふぅ、仕方ないね。じゃあ一つだけ良い事教えてあげるよ」
「あん?」
アンアンクローされたまま抵抗する気の無いメルモがにやけた声で言い、やすしの顔がメンチ切った顔になる。動物相手(?)に睨んでどうする……
「近々この世界で大きなイベント《・・・・》が行われる予定なんだ」
「大きなイベント?」
メルモのセリフにルイが首を傾げる。
「内容はまだ秘密だけど、まぁその内分かるよ」
「今言え。すぐ言え。ぶっ飛ばすぞ、コイツで」
メルモのニヤケ声にイラついたやすしがゴリゴリと銃口を押し付ける。
「その時の主役は君達『機関』と『協会』の人達だよ」
「え、ルイ達?」
「どういう事だ、きちんと説明しやがれっ」
提供者と契約した者達ではなく、自分達が提供者を操っている世界の娯楽の役者に選ばれている事にルイはともかく、やすしの表情がヤバい。
「あははは、それまで楽しみに待っているといいよ───」
ザァァァァ────
「あ、コラ待てっ!」
聞きたい事を終えたら殺す予定ではあったものの、それを裏切るかの様にメルモは自ら自決し、砂と化して消えていった。
「……こんな消滅の仕方もあるんだ」
こんな消え方を見たのが初めてなルイは落ちていた棒でメルモの残骸と化した砂を突いていた。
「『大きなイベント』に主役が『俺達』か。また厄介な事になりそうだ……」
「そしたらそしたで楽しそうだよね。『協会』と協力するの滅多にないし、それにあの子がここに来るのなら、今度こそ決着付けたいし!」
「何ワクワクしてんだボケ。提供者が言う『楽しい事』はかなり厄介な案件だぞ」
「え、そうなの?」
「かなりな」
何故かワクワクするルイを睨みつけ、やすしは自分の頭を掻く。
これはやすしが体験した話ではあるが、過去に提供者が起こした『楽しい出来事』は、
『2つの世界の人類のみを全部入れ替える』
『2つ以上の世界を合体、もしくは融合させる』
『人類以外の哺乳類に知性を与え、某『猿の○星』みたいな事をさせる』
『天界(神界)・魔界を引き寄せ、新魔戦争を引き起こす(人間界で)』
『学生(未成年)を異世界へ送り、世界破壊者を誕生させる(確率は低め)』
『意味も無くその世界のエネルギー(電気か魔力)を使用不能にし、その世界の文明を初期化させてその過程を見て楽しむ』
『その他色々(18禁的な内容も含む)』
とまあ、やすしの場合、これだけの出来事を実際に目の当たりにし、何とか事態を収める事は出来たが、これらは全て『協会』との連携があったからに過ぎない。
「今回はどんな事が起きるかは知らんが絶対碌な事にはならん。例え過去と同じ事例が起きたとしても状況や環境が違う」
「はー。あのやっさんがこんな事言うなんてよっぽどだね」
「ああ、場合によってはうちのボスと協会の会長『如月マロン』が出張る可能性もあるな」
「そこまで!?」
やすしの発言にルイが驚く。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「うう……見られたぁ。男の子に裸、見られちゃったよぅ(泣)」
「いや、何もそこまで泣かなくても……」
そして再び千葉県東部の海岸。心の中で現れた佐夜に真っ裸を見られた舞華が砂浜で大泣きして佐夜が狼狽える。
「だ、大丈夫デスヨ舞華さん。佐夜さんは『男の娘』ですからっ」
「ちょっ、何言ってるの陽菜々!?」
「そうじゃ。こやつにとって今更女性の裸なぞ興味はないわっ」
「真桜まで!?」
「そうね。この世界に来た初日なんて普通に女子風呂に入っていた訳だし」
「あ、あれは旅館の人が間違えて僕を女子の方に案内したからでしょ愛沙!」
「そもそも佐夜さんがそんな容姿をしているからではないでしょうか?」
「身体付きついては今更どうしようもないでしょリアさん!」
「むしろ男らしいサヤなんてもう考えられないニャ(モグモグ)」
「いやいや、ニケには最初の頃の僕を見てるじゃん!」
「そうですね。佐夜さんには俺口調より、そのボクっ子口調の方が似合いますね」
「ユフィさんまでそんな事言う!?」
「………『俺口調』の佐夜…か。全く想像ができないわ」
「「うんうん」っす」
「3人まで………もういいよ………」
最早誰からも『男』として見られていない佐夜が虚ろ眼の表情で舞華の横で体育座りする。泣いているロリと虚ろ眼の男の娘が海がある方角で座っている光景は何だかある意味シュールだ。
♪~♪♪♪~♪~♪♪~♪────
「あ、すまん。俺の携帯だ。(ピッ)おう、そっちは終わったかー? ん? ああ……マジか、提供者がそんな事を………」
死んでる2人(笑)を余所に勇治郎が携帯の電話を取って会話をしていると、
♪♪♪♪♪~♪♪~♪♪~♪~♪♪~
「ん、今度は私のだ。誰からだ? リオ?」
「りっちゃん?」
「何の様でしょうか?」
続いて楓の方には『ベルガイア』から直接緊急回線で通信が入ってそれに出るとリオの顔があった。
ちなみに愛沙と真桜、ニケとリアは海の家(修理後)で軽食を食べに行った。
≪あ、楓姉、久しぶり!≫
「ああ、一か月ぶりリオ。元気にしてたか? んでヴァンとの関係は進んだ?」
≪隊長? 隊長は相変わらずボクネンジンだよ~≫
「そう……まぁ、頑張れ。で、どうした? 緊急回線で連絡したからには何かあるんだろ?」
リオが使用している緊急用通信は文字通り緊急を要する為に使うもので、それを使ったという事は勿論何かあるって事なのだ。逆に世間話程度で使ったとバレたら大目玉ものだ。
≪そうそう! 楓姉とさやや達が居る場所って『物質界A-348-00196W』だよね? 合ってる?≫
「ん? そうだけどそれがどうかしたの?」
≪んああっ! やっぱりだよ!≫
「何がだ?」
≪え、えっとね。リオ達今、亜空間内をそっちに向けて航行中なんだけど、その途中で偶然、何か動いている世界を見つけたんだよっ≫
「は? 世界が動く? はは、何馬鹿な事言ってるのリオ。そんな筈ないでしょうに」
リオが何か途轍もなく馬鹿な事を言い出した。
≪リオ達だって最初は目を疑ったよ! でも実際動いていて、それをマロンに伝えたら「それは多分他の世界が呼んでいるのよ」って!≫
「え、マロンがそう言ったのか?」
≪そうだよ! んで、その動いている世界、多分『魔界』だけど、その進路を調べていたらその世界、楓姉達が居る世界に向かってるの!≫
「………マジか?」
≪大マジだよっ! 動いている世界を止められるのは神じゃないと無理だけど、今亜空間は所々に世界破壊者がいるから迂闊に出れないらしいし≫
「って事は、その動いている世界はそのままこちらの世界に激突するって事なのか!?」
≪いぇあ(正解)!≫
「おどけてる場合じゃないだろリオ。ちゃんとやれ」
≪あ、ごめんなさい。……それで楓姉、一応マロンが今回それに対応するらしいけど楓姉達はどうするの?≫
「私達か? ………私達は────」
世界そのものが動くほどの災害だとマロンクラスじゃないと無理らしい。なのでこれ以上はこの世界にいてもあまり意味はないだろう。後はマロンに任せればいい………んだけど、
「私達はマロンがここに来るまでここで待機しながら提供者の排除に務めるさ」
そう、亜空間で世界が動こうが、楓達が居るこの世界ではまだ提供者に騙されている人がいるかもしれないのだ。それらを全部排除しない事には後々面倒な事になりかねない。
≪おk。じゃあリオ達も迂回しつつ、そっち向かうねっ≫
「いや、別にこっち来なくても────」
ブツッ! プ──、プ──、プ──、
「切れたし……」
「別に来なくてもいいぞ」と言おうとしたのだが、その前に通話を切られた。多分ワザとだろう。実際、掛け直しても出ないし。
「リオは相変わらずですね」
「天真爛漫?」
「その言葉はあいつにはもったいないよ」
横で待機していたユフィと陽菜々が自由過ぎるリオに対して苦笑しながら言う。
「よ、そっちも通話終わったか?」
「ん? ええ、そっちも?」
先に電話を終えていた勇治郎が楓の元に来た。
「今さっき君らが取り逃した魔法少女達を武装転衣解約して提供者をとっちめたやすし達に聞いたんだが、どうやらこの先に『お愉しみなイベント』があるらしいぞ?」
「楽しい……」
「イベント、ですか?」
勇治郎がやすしからそう聞き、伝えるとユフィと陽菜々が首を傾げる。
「……まさか、な?」
「? 何か心当たりあるのか?」
そのワードにピンときた楓の頬が引き攣る。
「実はさっきこっちの電話にも不穏な事を言われてね………」
そう言いながら楓も勇治郎達にリオが言った事を伝える。本来こういうのは企業秘密なので言ったらダメなのだが、事が事なので仕方なく言う。
「おいおいおい。マジかよー」
「うわあっす……」
『世界が動いている』というありえない事を伝えられ、思わず蹲った2人。
「って事は提供者が世界を動かし、この世界にぶつけようとしているって事か……。とんでもないな」
「ええ、世界がぶつかるという事はすなわち相対消滅か融合するかだけど、提供者が消滅を選ぶ訳無いからおそらく『融合』ね」
スケールが大きくなる案件に頭を悩ます楓と勇治郎。
「と、とりあえず私達は私達で出来る事をしましょうか?」
「そうですね。それだけ大きい事になると陽菜達じゃ無理です」
「っすね」
悩む2人を置いておいて、ユフィと陽菜々、グラスが苦笑しながら自分達の出来る事を示した。
「うええええええん(泣)」
「空が蒼いなぁ……」
砂浜では未だに佐夜と舞華が黄昏ていた。
ではまた次回に。
次回は超人が登場予定です。あのデカいヒーローの事です




