第11話 ~決戦前・それぞれの思惑~
ああ……。お盆休みが終わりました(色んな意味で)
「よーいしょっと!」
「んしょ!」
幻想界【アルフィーニ】の魔王領───の、とある大部屋のユフィと陽菜々が窓から入って来た。
「グルルルルルルルル………」
その2人の視線の先には鎖や結界などで拘束されている白龍がいた。2人に気付いた白龍も唸り声を上げて警戒する。
何故ユフィと陽菜々がここにいるかと言うと、この白龍を元の世界へ送還する為だ。
人間達が異世界から勇者を召喚したのと同様に、魔王軍も異世界からこの白龍や、前に戦ったキングアルベなどの大型生物を召喚していたのだ。
で、送還といえばユフィの出番なのだが、行きをわざわざ人力で行っている。
え? 陽菜々のテレポートすればいいんじゃないかって?
そんな事をしたら魔力を使用して侵入した事がバレるじゃないか。全部送還した後なら帰りはテレポートでいいけどね。
≪人間よ。何しに来た?≫
「わあ!? 何か脳みそに直接声が聞こえるよ!?」
「ひなちゃん。それはテレパシーだから……。えーっと貴方は神界から召喚された白龍……ですね?」
脳に語り掛けられた陽菜々がプチパニくる間にユフィが白龍に対応する。
≪そうだ。いきなり異世界に転移したと思ったら結界や鎖などで動きを封じられてな……。貴様らはここの連中ではないのか?≫
「はい。どちらかというと召喚された貴方がたを元の世界に送還する為にこことはまた違う世界からやって参りました」
と言ってユフィは自分達の身分とここに至る経緯を話した。
≪そうか……。面倒をかけるな……≫
「いえいえ。これもお仕事ですので」
そう言葉を交わしつつユフィは陽菜々と送還に邪魔な魔法陣や、鎖を断ち切っていき、そのまま白龍を元の世界へ還した。
「ふ~。これで後3体ですね」
「何時バレるかヒヤヒヤするよ~~」
ここに来る前に既に3体送還している故、流石に疲れが見え始めているユフィ、そして何時魔王軍にバレるか冷や冷やしている陽菜々がブルルと震えた。
「さ、ひなちゃん。ゼロが到着する前に仕事を終わらせますよ」
「うう……。どうかバレません様に………なむなむ」
南無南無言っている陽菜々だが、手は合わせている(合掌の形)のでは無く神に祈る様に組んでいた。……何か混ざってるような?
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「お嬢様……おじょうさま! 朝(?)……というかもうお昼(?)ですよ!」
「う…うう~~?」
作戦開始日のお昼。まだ寝ていた魔王少女の真桜をメイド服に身を包んだ佐夜が起こすがなかなか起きてくれない。
ちなみに佐夜達がいるこの魔王領は位置的に陽がまともに当たらず、夕日と夜の状態を繰り返すので、朝も昼も外はオレンジ色なのだ。
「……というか、もうメイド服着なくてもよかったじゃん……」
作戦決行日なのでむしろメイド服だと目立つのだが、ここ一週間ずっとメイド服⇔パジャマ(女物)で過ごしてきた為、すっかり慣れてしまった佐夜だった。
バァン!
「っ!?」
「ふぁっ!?」
すると突然、部屋のドアが開き、佐夜は「まさかバレた!?」と息を飲んだ。真桜はビックリして鼻提灯が割れて起きた。
「我が嫁、佐夜よ! き、今日も実にい、良い天気(?)だな! い、一緒にぴ、ピクニックでもどうだ?」
部屋のドアが開いてズカズカと魔王の部屋に入って来たのは先日正義に片腕を斬り落とされたベリアルだった。そしていきなりメイドである佐夜を口説き始めた。ていうかオレンジ色の空は良い天気なのだろうか?
このセリフを聞いてもうお分かりであると思うがこのベリアル、佐夜と初めて会った時から佐夜にゾッコン(死語)なのだ。
時は佐夜が真桜のメイドを始めて2日目の事、佐夜と真桜の関係はこの時既に出来上がっているのだが、佐夜の魔王軍内での評判は当然の事ながらまだ低く、真桜の部屋以外の事を殆ど知らない佐夜が城の中にいる人達に話しかけても、そのほとんどがまともに相手をしてくれず途方に暮れていた。
そんな佐夜に見かねた魔王軍の大臣(実質魔王軍のトップ)が先日勇者に敗走したという失態を犯したベリアルに佐夜のエスコートを命じ、ベリアルが佐夜に魔王領内を案内したのが出会いのきっかけ。
初めは「何でこの俺が……」といった感じで他の魔族同様そっけない態度で接していたベリアルだったが、領内の街中を案内するうちに、佐夜の人当たりが良くて優しく、(本来する必要のない街中で)喧嘩をしていた連中の仲裁に、(他人なら見捨てる程の)迷子の親の捜索などといった気遣いをする佐夜に心を打たれたベリアルは、その日の内に佐夜に惚れてしまっていたのだ。
※:2人共男ですがベリアルは佐夜を『女の子』だと思っています。はい。
で、その次の日くらいからベリアルの『佐夜攻略作戦(笑)』が実行された。
具体的にはさり気なく訪ねて佐夜にアプローチするだけの内容なのだが、当然両者とも男だと分かっている佐夜にとっては迷惑の何物でもなく、かといって相手は将軍なので佐夜はやんわりと流すといったスルーっぷりで、周りの魔族達から笑い者にされるベリアル。
それでもめげないベリアルはこうしてほぼ毎日一週間、何かしらのタイミングで佐夜にアプローチしてくるのだ。
※:もう一度言うが2人共男だけど、ベリアルは佐夜を『女の子』以下略。
「……ベリアルさん。心臓に悪いので、いきなりドアを開けるのは止めてくださいって何度言ったら分かるんですか?」
「お、おお……すまん。佐夜に逢いたいがために思わず失念してしまった」
「はぁ……」
うっかりしてたべリアルに佐夜は溜息と安堵が混じった息を吐いた。どうやらこちらの作戦はバレてはいない様だ。
ちなみにベリアルは佐夜が自分を切った勇者(正義)の仲間である事は知らず、佐夜も桜井や正義からその事は知らされてはいない。偶然って怖いわー。
「な、何じゃ? またお主か。また妾の佐夜にちょっかい掛けようとしておるのではないじゃろうな?」
ビックリして周りをきょろきょろした魔王が視線がベリアルに映るのと同時にジト目で言う。
佐夜は魔王のお気に入りでもあるので、その佐夜にちょっかい掛けまくるベリアルは正直ウザく、迷惑な存在なのだ。
「それよりベリアルさん。今日は将軍同士の大事な会議があった筈では?」
今日、この日に行われる会議に合わせて脱出計画を練っていた佐夜と魔王……もとい真桜は何故ベリアルがここにいるのかが不可解だった。まさか本当に計画がバレているんじゃないかと冷汗をかきながら佐夜は言う。
「ん? ああ、本当は俺も出るはずだったのだがな。先日の失態(勇者に敗けた事)を踏まえて謹慎をくらったのだ。なぁに、代理で部下が2、3人出席してるから後で報告は受けるさ」
「そ、そうですか……。それでここに一体何の御用ですか?」
やれやれといった感じで苦笑するベリアルに佐夜も頬を引き攣らせながら言う。
「なに、せっかく天気(?)が良いんだ。一緒に散歩でもどうかと思ってな。……と、当然魔王様も御一緒にどうですか?」
明らかに後付けで真桜も誘うベリアル。どう見ても本命は佐夜に決まっているのは佐夜本人も分かっているので、
「すみませんベリアルさん。今日は会議という事もあってお嬢様にもご予定があります(というか、何が野郎とピクニックに行かなきゃならんのだ?)」
ニッコリと営業スマイルで答えた。
「だ、だったら佐夜。お前だけでも……」
「僕はお嬢様のメイド&補佐ですので僕も今日は行けません(にっこり)」
「そ、そうか………」
だったらといった感じで佐夜だけを誘おうとしたベリアルだったがそれすら先手を打って佐夜は拒否した。何気に酷い気もするがそこはほら、男同士なので。
トボトボと帰って行ったベリアルに手を振って見送った佐夜。
「……………」
「な、何ですかお嬢様?」
すると佐夜の背後で佐夜を真桜がジト目で見ていた。
「……佐夜は将来、良いお嫁さんになりそうじゃのぅ」
「何でそうなるんですか!?」
どうやら真桜の目には佐夜とベリアルがイチャついている様に見えたらしい。解ぜぬ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「………連中が来るとしたらこの辺りか」
魔王領と人間の領域を繋ぐルートの谷道で男なのにピング髪が特徴の桜井ゼロが腕を組んで待機していた。
♪♪~♪♪♪~~♪~♪♪♪~~
「……リオか。どうだ? それらしい連中は見つかったか?」
すると電話が掛かって来てゼロはスマホの通話ボタンを押す。ちなみにその着信音は佐夜の歌をリオが録音し、勝手にゼロのスマホに設定したものだ。元に戻そうと最初は思ったゼロだったが、意外にも良い曲だったので現在もしている。
≪う~~ん。結構遠くまで見てるけどいるのは唯の一般人(人間・魔族含む)だけっぽいね。まだ≫
「そうか……。何時現れるか分からないから警戒は怠るなよ?」
≪はいは~い………って、あれ?≫
「どうしたリオ────って、なぁ!?」
通話先のリオの変化に何気なく視線を上空に向けたゼロが見たのは────
ゴオオオオオオオオオオオオ───────!!
────数十個の隕石と世界破壊者達が魔王領へ振ってくる光景だった。
「─────っ! くそっ、しくじった!」
その光景を見た瞬間にゼロは空飛ぶ板を取り出して急いで魔王領へ向かった。
ゼロは失念していた。
相手が世界破壊者なのは知っていたが、てっきり地上から来るもんだと勝手に思い込んでいたのだ。
それが実際には空から攻撃しながらやって来た。
基本的にそれぞれの世界にあまり干渉してはならないからと、領の外で待っていたのが逆に仇になってしまったのだ。
チュドン、チュドン、チュドドドドド───────
「『緊急事態! 全員プランCに移行! 特に佐夜、すぐに魔王を連れて脱出しろ!』」
協会専用のスマホ(ゲストに持たせている物も含む)の全回線を開き、全員に撤退の指示を出す。正義と愛沙はリオに就かせているし、ユフィは陽菜々の転移で脱出できる。
ただ、佐夜だけはそうはいかない。なんせ魔王城の中枢に入り込んでいるからだ。迂闊な事が出来ないので脱出の際は本来、リオか陽菜々もしくはゼロ本人が迎えに行く予定だったのだが、ゼロはこの騒動の中心に向かっているので迎えに行くのはほぼ無理。
その為、ゼロが追加で出した指示は─────
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ふぅ、これで後1体ですね」
「うう~~、何時バレるか分からないから心臓に悪いよ~」
額の汗をハンカチで拭くユフィに対し、心臓を押さえながら青ざめる陽菜々。対照的すぎる。
「さ、ひなちゃん。もうちょっとで終わりますから頑張って!」
「バレませんように、バレませんように………(なむなむ)」
またもや南無南無言ってる陽菜々だが、また手は合わせている(合掌の形)のでは無く神に祈る様に組んでいた。つかユフィも指摘しろよ……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──────
「っ!?」
「? ひなちゃん? どうしましたの?」
南無南無していた陽菜々が謎の異音に気付き、耳をピクピクさせたと思ったら顔を強張らせた。
「ユフィさん、危ない!」
「え……?」
危険を察知した陽菜々がユフィに抱き着き、そのまま転移で脱出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何、あれ………?」
魔王領から少し離れた場所でリオと一緒に待機していた愛沙が呆けながら言う。
チュドン、チュドドドドド───────
「お、おいリオ。先行しているみんな大丈夫なのか!?」
「い、いきなりあんな流星攻撃されて、リオに聞かれても………」
正義に問い詰められるリオ。流石のリオもこの状況は初めてらしく、珍しくオロオロしていた。
≪緊急事態! 全員プランCに移行! 特に佐夜、すぐに魔王を連れて脱出しろ!≫
その時リオのスマホから勝手に通話回線が開き、ゼロの声が聞こえた。
「プランC……かぁ」
ゼロの『プランC』のセリフを聞いてリオは「どうしようかな~?」と思考する。
ちなみに『プランA』は最初の計画通りに進ませる事で、『プランB』は全員で最重要人物の保護──つまり魔王(真桜)の回収に当たる事。
そして『プランC』は、各々(おのおの)各自で考えて行動せよ、だ。
ついでに言うと、『プランD』は全員撤退にあたる。滅多にない事だが。
今回、ゼロが出したのは『プランC』、つまり『自分で考えて最善を尽くせ』という事になるが────
「あの状況下での『プランC』、ホント、どうしたらいいんだろうねー」
困った顔でいまだ流星が降り続いている魔王領を見るリオ。ぶっちゃけ今、佐夜達を助けに行くのは危険すぎる。
「……あれ? 正義? 正義はどこに────」
するとリオと同じく思考に入っていた愛沙が周りを見て、正義がいない事に気付く。
「……アレじゃないかな?」
愛沙の言葉にリオは遠くを指差して言った。
「うおおおおおおおおお! 真桜────! 今助けに行くぞー!!」
「って正義───!?」
リオと愛沙が思考していた隙に勝手に走り出していた正義。『プランA』だったら大人しくしてなければいけない所だが、『プランC』に変更した途端、すぐに真桜を助けに行ってしまった。
「ああもう! 本当に猪なんだから!」
それを見た愛沙も正義の後を追いかけて行った。
「………何でイノシシ?」
そして愛沙の後にリオも2人の後を追った。
ちなみに愛沙が言いたかったのはおそらく『猪突猛進』って事だと思う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──────
「ひゃあああ!?」「な、何じゃ!?」
ベリアルを追い出して脱出の準備を終え、先にちょっと早い昼食(現在10時半)を摂っていた時、突如城内が揺れ、佐夜は(男とは思えない)悲鳴を上げながら尻餅をついた。
一応、城に関しては対衝撃魔法が掛けられていて壊される事は無いが、揺れるという事はそれだけ強い攻撃だったのだろう。
「佐夜よ、大丈夫かえ?」
「う、うん。何とか。それよりこれって……」
「うむ、佐夜が言っておった世界破壊者という輩がやったのじゃろ?」
真桜が佐夜の手を取って起こす。魔王なのに。
「多分ね。でもまさかいきなり城が揺れる程の攻撃を受けるなんて思わなかったよ」
「思わなかったって……世界破壊者の事、お主は知らぬのか?」
「そうだね。僕も説明しか受けていないからその人が何を考えているのかは分からないよ。リオなら何か知っているのかもだけど」
初めての事に少し動揺する佐夜に真桜が聞く。ああ、ちなみにもう真桜に対してメイド的敬語は止めている。これから逃げるからね。
「さ、おじょ……こほん。真桜、攻撃されたって事は何時、ここに攻め入られてもおかしくないから早く逃げるよ!」
「う、うむ。よろしく頼むぞい」
拉致されて初めて外に出る真桜は少し緊張してる様だ。あ、それと、真桜のその口調に関しては単に『慣れてしまった』ので口調を元に戻すのは難しそうだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時は少し巻き戻って世界破壊者達のターン(笑)。
「剛様。それでどうやって攻め入るのですか?」
魔王領から一番近い町の近くの崖でリアが主の剛に疑問を問いかける。西から町から入って南から出れば魔王領へ続く道に入るのだが、何故か剛は北にある崖の方へ部下を集めた。なのである意味リアの疑問は正しい。
「ん? ああ、その前にお前等、その崖から少し離れてろ。切り崩すから危ないぞ」
剛がそう言うと、崖の近くにいた部下達は「わ~~」っと散った。わ~~って何だ、わ~~って……
「はぁっ!!」
ズババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!
────キンッ!
そして剛は崖に向かって高速居合切りで大体2メートル間隔で岩を切り崩した。
ドドドドドドドドドドドォ───────ン…………
「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」
いきなりそんな事をした自分達の主人に言葉を失う部下達。
「………剛様、せめて事前に説明してくださいとあれほど言ってますのに」
「マスターはいつもこうだよね~。あはは☆」
割と初期の頃から一緒に居た2人がそれぞれ言う。
「うしっ! こんなもんだろ」
言葉を失っている部下達を余所に剛は約百個くらいの岩を削り出し、みんなの方へ向く。
「えっと……剛様? これを一体どうするのですか?」
「それを今から説明する!」
「は、はぁ……」
何となく嫌な予感がしていたリアが変な汗をかきながら言う。
「俺が今、突貫で削り取った岩で魔王領に直接攻撃を仕掛ける!」
「へ?」
剛の言葉に真っ先に反応したのはチャアだ。ポカーンとした顔で呆ける。
「まあ、具体的にこうやって……」
ヴォン─────
「おお!」
剛が己の魔力で直接岩に干渉して浮かせる。それを見たチャアの反応が凄い。子供みたいに目をキラキラさせている。
「更に─────!」
ヴォン、ヴォン、ヴォン、ヴォン、ヴォン───────
「おおおおおおおっ!」
更にいっぺんに全ての岩を浮かせる剛にチャアの興奮は止まらない。
「そしてっ!」
剛は全ての岩を上空に上げ、手を万歳の形で一旦止める。
「これをっ、投げるっ!」
「まさかの物理!」
そしてそのまま手を振り下ろす形で全ての岩は魔王領へ向けて飛んで行った。そんな予感がしていたリアのツッコミがおかしい。
ヒュン、ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ───────
「おお! まるで流れ星みたいだねマスター!」
鼻息をふんふんとさせて興奮していたチャアが剛に駆け寄る。
「そうだな、ちょっとやり方が違うがこれも『流星』と言ってもいいだろ」
腕を組んでうんうんと頷く剛。かなり強引なやり方じゃね?
「それはそうと剛様? 我々はどうやって行くのです?」
「ん? ああ、それは勿論……(にやり)」
「なっ!? ま、まさか剛様……?」
「はえ? どしたのリア、マスター?」
リアの質問に剛はニヤリと笑う。その嫌な笑顔に聡いリアはすぐに気付いた。チャアは気付いていないが。
「そしてお前等も直接飛んで行ってもらうぞ。勿論、着地に関しては責任を持って対処するから安心しろ!」
そう言って剛は皆の混乱を余所に自分を含めた全員を上空に上げ、
「さあ! 飛んでいけーー!!」
「「「「「「「「「「ぎゃああああああああああああ!!?」」」」」」」」」」
自分より先に仲間を魔王領へ飛ばした剛。中々の鬼畜だ。
仲間達の悲鳴も相まって、進路の下に居た行商人達は岩と人が飛んで行く光景に腰を抜かし、この話がある意味都市伝説となったのは後の話である。
「さて、俺も行きますか!」
世界破壊者、四月朔日・剛が今、魔王領へ向けて飛んで行った。仲間達を連れて。
そして時は今に戻る。
(次回に続くよ?)
次回、衝突。デス。
ねむい……。




