第7話 ~福音(ゴスペル)と鎮魂(レクレイム)~
最近忙しすぎて更新が大変な事に……
あ、後、桜井の0と言う表記がここから『ゼロ』に変わります。ややこしいので。
前までの話の奴は手が空いた時にでも改編します。
「お疲れ様です、ゼロ」
「ああ、ユフィもな」
ベリアルに止めを刺そうとした勇者(正義)を止め、ベリアルを見逃したゼロはユフィに渡された飲み物を飲みつつ、端末を操作していた。
「正義、無茶しちゃ駄目だよ。ほら、震える程立てなくなっているじゃない」
「う、うっせぇ……。それよりも愛沙、早く回復頼む……!」
「はいはい」
バツが悪そうにしつつ、幼馴染の回復師に回復してもらう正義。
「さて、後はお前達を元の世界に還すだけなのだが……異論は無いよな?」
「「「「「「「「へ(え)………?」」」」」」」」
ゼロの『元の世界に還す』と言う単語に一瞬フリーズする勇者一行。
「……無い様だな。ではユフィ、送還の準備を─────」
「「「「「「ちょっ……ちょちょちょちょっと待った!」」」」」」
っとここで『ちょっと待ったコール』が入る(死語)。
「お、俺達、元の世界に帰れるのか?」
「ああ」
「魔王、倒してないのに?」
「そうだ」
「でも召喚された時、王様達が言って………」
「お前達の召喚と、魔王は関係ない」
「マジで!?」
「マジだ」
「じゃ、じゃあ俺達………」
「「「「「………(コク)!」」」」」
「もう戦わなくて済むぞー!!」
「「「「「YEAR─────!!」」」」」
槍を持った男子が槍を放り投げて叫び、他の5人も歓喜の雄叫びを上げる。
「「……………」」
正義と愛沙以外は。
「あら? 何か言いたそうな顔をしていますがどうなされましたか?」
「え? ああ、いや………」
「えっと………」
「???」
沈黙している2人(正義と愛沙)に気付たユフィが2人に話しかけるが2人は何やら口ごもって再び沈黙し、ユフィの頭に?マークが浮かぶ。
「? ユフィ、何をしているんだ? 早くこいつ等を送還しろ」
「ええ、ですがゼロ、この人達にも何やら事情がある様でして」
「……どうせ私的な事情だろ。そんなのは無視だ無視」
これまでの経験からしてごねる輩は大抵『偉業を達成して名を遺す』だとか『モンスターを狩る感触が堪らない』とか『現代社会が嫌い!』だとか実にどうでもいい理由でその世界に残りたいと言うが、そういう理由では残留は認められない。
「お前、そんなバッサリ切り捨てる必要は無いだろ!」
ゼロの冷たい反応に正義が噛みつき、桜井に食って掛かる。だが、
「ふっ………!」
「んなっ!?」
ゼロのノーモーションからの崩しをまともに喰らい、正義は地面にうつ伏せで平伏した。
「んがっ!」
「ったく。威勢が良すぎるだろ(グリグリ)」
いきなり襲い掛かって来た正義に『崩し』を掛けて前方に倒し、正義の背中に足を乗せてグリグリする桜井はただの弱い者イジメにしか見えない。
「う、うぐぐ……。な、何だ? 力が出せない……?」
ゼロに踏まれている正義がそこから脱しようと勇者としての祝福を発動させようとしたが、何故か全く発動できず、それどころか身体も力が出せなく全然動けない。ジタバタするその姿は何となく黒光りする奴を連想させる。
「………。これ以上手を掛けさせるな………」
パァン!
「ぱルムっ!?」
「せ、正義!?」
ジタバタして鬱陶しくなった正義の頭部に麻酔銃で撃って大人しくさせた。
「どうやら色々と複雑な事情がありそうですねゼロ」
「何でどいつもこいつも大人しく送還させてくれないのか……(はぁー)」
「『人それぞれに物語がある』とマロンさんの格言通りですね」
正義と愛沙に複雑な事情があると感づいていたゼロは溜息を付き、ユフィは何故かニコニコしていた。
「これもまた色んな伏線を張って───────」
カッ──────
ドォ─────────────────────────ォ!!!!
「「「「「「「え、えええ!?」」」」」」」
ゼロが話を締めようとした時、アモカ王国を挟む反対側で一瞬光ったと思ったら、物凄い轟音が響き愛沙とその仲間達6人が驚いた。
「……あの方向って陽菜々ちゃんと佐夜ちゃんが待機している場所ではないですか?」
首を傾げながらユフィは言う。いや、のんびりしてる場合ではないだろ。
「……また何かやらかしたのか奴は………」
正義の背中の上で額を押さえて溜息を付くゼロ。
ホント、佐夜が来てからゼロの気苦労が絶えない。例えるならリオの上位版的なやつだ。
おそらく多分、ゼロと男の娘(佐夜とリオ)は相性が悪いのかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゼロとユフィが召喚対象者達と魔王軍とのいざこざを対処している時よりちょっと前に遡る。
佐夜と陽菜々はアモカ王国の北の門の外で待機していた。
何故2人が門の外で待機しているのかというと、魔王軍が北の方から来た時にすぐ知らせる為にここで見張りしているのだ。
ちなみに今、佐夜は女物ではなくアイナ作の戦闘服を着用している。
「というか見張りなら遠方からライフルを構えている義信だけでいいんじゃね?」
「ダメだよ。ちゃんとミハリしなきゃマスターに怒られるんだよ?」
「………仕方ないか。桜井に怒られるのはもう勘弁だしな」
早速愚痴る佐夜に陽菜々は頬っぺをプンプンしながら言い、散々ゼロにお仕置きを受けた佐夜は項垂れながら渋々見張りを続ける。
────────ドドドド…………
「んみゅ?」
微妙な振動と地鳴りに最初に気付いたのは陽菜々。狐耳がピクピク動く。
「ん? どうした陽菜々、そっちに何かあるのか?」
ピクピク動く陽菜々の耳に興味を示しながらも佐夜は陽菜々が向いている方を見る。が、その視界にはまだ何もない。
────────ドドドドドドドドドドドド…………
「……何か嫌な感じがするよ?」
「……確かに何か地震っぽい振動を感じるけど……」
謎の振動と地鳴りが大きくなるにつれて佐夜でもそれを感じる事が出来たが、これが何なのかは2人共、まだ分かっていない。
♪♪♪~♪♪~♪♪♪~♪♪───ピッ!
「義信? 何かy─────」
≪佐夜、陽菜々! 急いでその場から離れろ!≫
「ふぇっ!?」
突然義信からかかって来た電話に佐夜が出ると、いきなり逃げろと言われて変な声が出た。
「いや、いきなり逃げろと言われても何が起きてるのか分かってないぞ? そちらからは何か見えるのか?」
佐夜と陽菜々がいる場所は坂の頂上(北門付近)で、そこから割と見渡しが良い下りの坂道を見るが未だ何も無い。謎の地震と地鳴りが成っているが。
≪ああ、見えるさ。そちらの下り坂を越えて山の向こう側……。そこからヤバい奴が物凄い速度で突っ込んで来る!≫
「ヤバい奴?」
≪ああ、かなりな。つか何でこの世界に『アレ』が居るんだよ!?≫
「俺に聞かれても知らんわ。『アレ』って何だよ?」
電話の向こうでセルフツッコミしている義信にツッコむ佐夜。良く分からん!
ドドドドドドドドドドドドドドドド───────────
「な、なあ義信? 何か凄く地面が揺れるんだけど?」
≪だから言ってるだろ! 『アレ』が来てるってば!≫
「だから『アレ』って何!?」
2人してアレアレ言う。最早収集が付かない。
「さ、サヤさん………。何か凄い物が走って……ううん、突っ込んで来るよ?」
「は?」
下り坂道の方をじっと見ていた陽菜々が通話中の佐夜の袖をクイクイと引っ張り、坂の方を指す。すると遠くの方で砂煙の塊(?)が真っ直ぐこちらに向かって来ているそれも結構な速さで。それを目視できるようになった佐夜だが、砂煙に包まれているので『アレ』何なのかはまだ知らない。
ドドドドドドドドドドドドドドドド───────────
バァ────────────────ン!!
陽菜々と義信(通話中)に構っていると、坂道の向こう側にある国境の関所の大きな門がいきなり爆発(?)し、爆発(?)の原因となった謎の物体『アレ』がこちらへ爆走してくる。
ドドドドドドドドドドドドドドドド───────────
「は? はああああぁぁぁぁ!!? ナニアレ!?」
突然の事で一瞬呆然とした佐夜だったが大きな門を一瞬で粉砕した謎の物体を見るや絶叫した。
「超でっかいイノシシ……いや、サイ……なのかあれ?」
「サヤさん、呑気に落ち着いてる場合じゃないよう!?」
本来なら目撃した時点で逃げるべきなのだが、最初に驚いた衝撃で冷静(というか少し混乱気味)に謎の物体を見る佐夜に焦る陽菜々が佐夜の腕をポカポカする。この状況下じゃなきゃ和む光景だろう。
「で義信、結局あのバカでかいイノシシ(?)は何なんだ!?」
≪アレは【キングアルベ】というサイの一種で全長10~20メートルくらいある。アレは身体が金属に近い物で出来ていて、自分より『硬い物』にぶつかっていくのが好きな生だ。足も速くその速度でそのまま国に突っ込めば確実に滅茶苦茶にされて大惨事になる事から別名『国壊し』と言われている危険生物だ。ちなみにこの世界の生態系じゃない。恐らく召喚されてきたんだと思う≫
「そ、そうか……(相変わらず安定の説明キャラだな)」
謎の生物が近付いて来ているので短く説明してもらいたかった佐夜だったが、相変わらず長々と説明する義信に顔を引き攣らせながら電話を切る。
「サヤさん。ひな達も早く逃げなきゃ!」
すると流石にヤバいと感じた陽菜々も佐夜に「逃げよう!」と裾を引っ張る。
だが、
「でもさ、俺達がここを離れると後ろにあるこの国はどうなると思う?」
「え? えっと……」
佐夜は落ち着いて陽菜々に語り掛けた。
「義信も言っていたけどさ、アレは硬い物にぶつかるのが好きなんだと。って事は、おそらくそのまま北の門も壊し、街中も破壊し、建物も頑丈そうな王城も壊しかねないって訳だ。多分死傷者も大勢出る」
「サヤさん………?」
「桜井なら何とか出来そうなんだけど、あいつはユフィさんと一緒で今忙しそうだから頼れない。義信も『逃げろ』と言うくらいだから義信じゃ対応できないんじゃないか?」
「で、でも、あんなのひな達でも対処できないよ!?」
陽菜々の転移と佐夜の錬成術(火力不足)でどうにかなる相手ではないのは2人共分かっている。
「ああ、だからさ。例の弾丸、使おっか?」
「例のって……ええっ!?」
佐夜の一言に陽菜々は驚く。
陽菜々には毎回任務に就く事前にゼロから護身用の銃とゴム弾(痛いけど殺傷能力が無い弾)が与えられているのだが、それとは別に緊急事態に備えて2発の特殊弾が手渡されている。
一つは聖光系の【福音弾】。文字通り魔物や悪魔、モンスターなどに効く弾だ。
もう一つが闇系の【鎮魂弾】と呼ばれる魔装弾。こちらは硬い物質系や天使・神などの聖光系に効く弾だ。
そして当たり前の話だが、この2つの特殊弾、反動が物凄い上に使用者にも使用上の危険がある為、ホントの本当に緊急の時用にゼロは陽菜々にこの2つの弾を持たせているのだ。
「でもこの弾、2つとも威力が強力すぎて、ひなだけじゃ危ないから一人では使うなって────」
「じゃあ俺が後ろで支えればいいじゃん。あー後、一応後ろに壁も作っとくか。反動で後ろに吹き飛ばされないようにな」
そう言って佐夜は錬成術で簡単な壁を作り、そこに背中を付ける。
「ほら陽菜々。こっちに来な。後、例の弾も装填しないとな」
壁に背中を付けた佐夜が陽菜々を手招きして準備を整える。
その間にも例のキングアルベは刻一刻とこちらへ向かって来ている。接触するまでもう後1分も無いだろう。それを見た陽菜々も焦って佐夜のお腹に背中を着けて、愛用のマイ銃【メイスター】を取り出し、福音弾を装填する。
「みゅう……怖いよう~~(泣)」
「大丈夫。その弾を作った桜井を信用しろ。俺も付いてるからさ」
佐夜の腕の中でブルブル震える陽菜々の首に佐夜が腕を回してあやす。セリフを聞かなければいいお姉さんに見えるのだが、今はそれどころじゃあない。
ドドドドドドドドドドドドドドドド───────────
「さぁて、陽菜々。怖がってる時間はもう終わりにして敵を倒すぞ!」
「う、うん!」
陽菜々の首に回していた両手を、銃を握っている陽菜々の両手に重ね照準をキングアルベに合わせる。
ドドドドドドドドドドドドドドドド───────────
「BOOOOOOOOOOOOOOU!!」
そして雄叫びを上げながら突っ込んで来るキングアルべとの距離が後数十メートルにまで迫る。
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≪おい……。おいおいおいおいおい! 何やってんだあのバカタレは! 逃げろって言ってんのに!≫
「あちゃー。これじゃあリオ達の出番はなさそうだねぇ~~」
王城の屋上で義信と通話しているリオが佐夜と陽菜々がいる方を見て何故か笑顔でケラケラ笑う。
実はあのキングアルベ、リオ、もしくは義信でも余裕で倒す事は可能なのだ。義信が「逃げろ!」と言っていたのは単に佐夜達2人を巻き込む恐れがあったからだ。それを勘違いした佐夜は無理だと判断してしまい、今、陽菜々と2人で敵の目の前にいる。
≪……仕方ない。リオ、今からでも2人の元に行ってくれ。多分アレを使うだろうから反動で後方に吹っ飛ぶから回収頼むぜ≫
「はいはい。おっけ~~」
間延びした返事をしてリオは通話を切った。
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そしてキングアルベが後、数メートルに迫り、佐夜達にも緊張が走る。
「陽菜々。覚悟はいいか?」
「うん。ハラをググったよ!」
「うん。ちょっとおかしいけど良い返事だ!」
陽菜々のおかしな日本語に笑う佐夜。
そして─────
「いくぞ陽菜々、せーのっ!!」
「「─────福音!!」」
福音弾を撃った佐夜と陽菜々は視界がホワイトアウトしてそのまま意識を失った。
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あとがき地獄↓
アルベル「おい、そういや北の方で待機させていた魔物はどうした?」
部下「それが……少し目を話した隙に逃げられてそのまま王都へ向かって行ったそうです。その後、捜索しましたが行方知れずで……」
アルベル「……あー、多分もう見つからないだろうな」
部下「?? 何故です? せっかく他世界から召喚した大型の魔物なのに勿体ない」
アルベル「勿体ないのは確かだが、見つからないのはおそらく既にもう討伐されているんだろうよ。探すだけ無駄だ。撤収させろ」
部下「は、はぁ………」
アルベル(魔族の兵達を一瞬で吹っ飛ばす奴らが王城の近くにいるくらいだ。あの魔物一体だけならすぐに倒すだろうよ。チートすぎるぜ)
オチ無し。
次回も更新が遅れたらすみません(_ _)
では。




