第6話 ~勇者VS魔将軍(乱入アリ)~
今回は話は主に勇者と魔王軍の将軍が焦点です。
ここは幻想界【アルフィーニ】のとある王国【アモカ】。
その手前にある街道の先にまで今、魔王軍の一角の軍勢が来ていた。魔王軍の目的はそう、その先にあるアモカ王国の制圧&殲滅。
「最近めっきり勇者を見かけなくなったな」
「ええ。ですが勇者を見かけられない以上、今が世界を征服するチャンスです将軍!」
「分かってはいるんだがな……暇だ。」
歩みを進めている軍の丁度真ん中位にある馬車の中で魔王軍の将軍が一人【べリアル・クロウ】が暇を持て余していた。
約一月前までは大量に沸いた……というか召喚された勇者どもを発見次第駆逐していたのだがさすがにやりすぎたのか最近は全然見かけない。
一応こちらとしては魔王軍の将軍なので並みの冒険者や騎士などでは相手にならず、身体も訛りまくりなので、勇者を相手にしている時が唯一べリアルの暇を解消してくれる手段だったのだ。
魔王軍は知らない。勇者は勿論一緒に召喚された者達は次々と協会(桜井達)の手によって送還されて元の世界に帰った事を。
なのでこの世界にはもうそんなに勇者は残ってはいない。
「あ~~。勇者、出て来ないかな~~」
「べリアル将軍! そんなフラグを立てるような事を仰いますと────」
馬車内に備え付きのベットでゴロゴロするべリアルに部下が慌ててセリフを訂正する様に言うが、
ドォォ─────ン!!
時すでに遅く、軍の前線の方から爆発が起きた。
「そこまでだ、魔王軍!!」
街道を抜けた王国の手前にある大岩の上に立ち、大魔法を撃ってきたのは言うまでもない勇者だった。それに加えその周りには数人もの勇者の仲間達(7人)がいて、べリアル軍を待ち受けていた。
「ふふふ、やっぱり出て来たな勇者。今度は手応えのある奴だといいのだがな!」
と言ってべリアルはジャンプして馬車を突き破り、軍の先頭に降り立った。
「よく来たな勇者よ。我は魔王軍の将軍が一人【べリアル】! 勇者よ、貴様の名前は何と言う?」
「ふ、悪に名乗る名前など無い!」
「名乗れよ普通!?」
ガ……ガガガ─────キィン!
全く聞く耳を持たない勇者はいきなり最大付加・補助魔法【ウィックン】を自分に掛け、べリアルに切りかかった。思わずツッコんでしまったべリアルはワンテンポガードが遅かったがそこは流石の将軍クラス、何とか軽症で済み、勇者から少し距離を取った。
「く……何て空気の読めない奴なんだ」
ここは互いに前口上を言ってからバトルに入るのがセオリーなのだが、思いっきりそれを裏切られたべリアルは地味にダメージを受けorz……。
「っ! チャンス、今だ! 覇王奏霊界斬!!」
orz(四つん這いで項垂れている状態)になっているべリアルに空気の読めない真面目な勇者はここぞとばかりに大技を仕掛けた。
「っ!!?」
ヴアァ─────────ン!!
「「「「「「「「ぎゃあああああああああ!!!?」」」」」」」」
だがその攻撃もギリギリの所でべリアルに避けられる。その結果、べリアルの後方で待機していた魔族兵達に直撃し、その威力によってべリアル軍の3分の2は削られた。
「お、おまっ!? いきなり奥義(?)を最大パワーで斬りかかるか普通!?」
いきなりクライマックス(最終奥義?)を受けそうになったベリアル。これにはさすがに焦った。そしてついツッコまざるを得ない。
「魔王軍相手に遊ぶ余裕は無いからな。……死にたくなかったら引け!」
再び奥義の構えを取ってベリアルに退却を促した。
「ふっ……勇者よ。引くのは貴様の方だ」
しかしベリアルも将軍が一人。魔王直属の部下にして、そして後方に居る大勢の部下達の前でみっともない恰好は見せられない。
そう言ってベリアルも剣を抜く。
そして互いに剣を構え、同時に動き出し、両者が激突する──────
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・
「ごはっ!?」
吐血を吐いて倒れたのはベリアルの方。
片腕は斬り飛ばされ、全身のあちこちからも出血し、片目も潰されたベリアルは最後に勇者に袈裟斬りにされ、倒れた。まだ息はあるが今はもう戦える状態ではない。
「ぐ、ぐぐぐ………」
「その怪我ではもう動けないだろ。無茶するな」
「ふっ。……まさか貴様、これで勝ったとでも思ったか?」
勇者が震えながら立ち上がろうとしているベリアルに降参を促すが、ベリアルは逆に変な事を言う。形勢はどう見ても勇者の方が圧倒的に有利なのだが、何故かベリアルには余裕があった。
「どこをどう見ても俺の勝ちだろ?」
ベリアルが痩せ我慢してると思った勇者が一応剣を構えつつも自分が勝ったと言う。
しかし、
「これが一対一ならな。だがな………」
「……っ!?」
ベリアルが指を鳴らすと、いつの間にか勇者とベリアルの周りを囲っていた魔族兵達が一斉に武器を構えた。
「これは戦争だ。本当はこの俺が自ら貴様を倒したかったのだが、精々貴様の魔力や体力を削るのが精いっぱいらしい。そして─────」
GUOOOOOOOOOO!!×複数
「くっ………」
ベリアルが指を鳴らすと同時に大勢の魔族兵達が一斉に勇者に襲い掛かった。
普段の状態ならばこんなのなんて事ないのだが、魔力も体力もベリアル戦で相当消費してしまっている為、一気に形勢は逆転されてしまう。何とか残っている力を振り絞って窮地を脱しようとする。
その進行方向は後ろ、仲間の居る方向だ。遠目で見たら仲間達も魔族の襲撃に遭いつつも何とか凌いでいる。早く何とかしないと全滅の恐れがある!
「はああああああああああああああああああああ───────!!」
次々と襲い掛かって来る魔族兵達を斬り捨てつつ、仲間の元へ突き進む。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「な、何でこっちに来たの? 馬鹿なの!?」
「は、あははは………」
何とか仲間の元に辿り着いた勇者。その仲間達も魔族と戦い、負傷者を出しつつもまだ死者は出ていないが何時誰が死んでもおかしくない状態だ。辿り着いた勇者も満身創痍でもう立っていられない状態で倒れ込み、それを支えたのが同じ世界から召喚された幼馴染の女の子だ。(それ以外の6人は唯のクラスメイト)
実は勇者、一人だけ(魔法を使って)ここから脱出しようと思えば出来たのだが、ここまで一緒に戦ってきた仲間達や幼馴染(の女の子)を見捨てる事が出来ず、無茶をしてここまでやって来たのだ。その幼馴染の女の子は勇者に「逃げて!」と言ったのだが勇者はそれを受け入れず、ここに来たことにその子は今怒っているのだ。
そして勇者と幼馴染の娘、ここまで一緒に戦ってきた仲間達に止めを刺さんとばかりに魔族達がジリジリと近寄って来る。
「僕達、ここで死ぬのかな………」
「ああ、どう考えても打開策が思いつかない……」
「くそったれが!」
「「「…………っ!」」」
苦楽を共にした仲間にも絶望が侵食し、
「愛沙ごめんな……。お前との約束、守れそうにないや」
「正義それはしょうがないよ。この状況じゃね」
「そうだな、ははっ」
勇者(正義)と幼馴染(愛沙)も既に諦めた模様で笑い合う。
そして遂に魔族達の刃(弓)が正義達に迫る──────その時!
「物理召喚───【アイギス】!!」
キキキキキィィィン───────!!
「「「「「「「「「ギャッ!? ギャギャ????」」」」」」」」」×複数
「………は?」
「「「「「「「「え? 何コレ!?」」」」」」」」
勇者(正義)達に襲い掛かった魔族兵達に、襲われた当事者、そしてそれを遠くから見ていたベリアルも突然現れた謎の結界に目を点にする。
「ふ~。何とか間に合いましたね~」
「ああ、かなり都合の良すぎるタイミングでな」
声のする方に皆が目を向けると、そこには2人の男女が会話をしながらこちらに歩いて来る。声を聞くにこの結界を出したのは女の方だろう。うふふ言うとる。
「召喚対象者は……全員で8人か」
「あの方々を保護するには周りの者達(魔族達)に退いてもらう必要がありますね」
「じゃあ、さっさと雑魚には退いてもらえ」
「はい、お任せを♪」
戦場の中呑気に歩いてくる2人の正体は勿論、桜井とユフィだ。
「おい、貴様等何をやっている!? 新手諸共殺せ!」
「「「「「「「ウ、ウオオオオオオオオオ!!」」」」」」」
一瞬呆然となったベリアルだったが、気を取り直したのか桜井とユフィを敵と断定し、兵達に殺害を促して兵達の一部(十数人)が2人に迫って来る。
「邪魔だ」
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパン────────!
「なっ!?」
ベリアルが驚くのも無理はない。2人に襲い掛かった十数人の兵が一人残らず撃たれて即死したからだ。それも正確に額を撃ち抜かれてだ。いくら人間より頑丈な魔族とはいえ、頭を撃たれたら人間と大差なく死ぬ。というかこの世界に『銃』は存在しない為、ベリアルは「何なんだあの武器は!?」と二重の意味で驚き混乱する。
「我が意に従え風の精霊、其の安息と残酷の息吹を以って敵を射抜け───」
桜井がヘッドショットを決めている間にユフィは詠唱をし始め、
「神霊招来 【ロウ・シルフ】!!」
ベリアルが呆然としている間に詠唱を終えたユフィは風の精霊【ロウ・シルフ】を招来(召喚)した。
ちなみに【シルフ】を『召喚』ではなく『招来』という言い方をしているのは自分より身分の高い、高位な存在(神や精霊)を現世に『招く』ので『招来』という言い方をしている。
ついでに『物理召喚』の場合は、【アイギス(盾)】などの具現化(視可)出来る魔術召喚や、後は単純に物質を呼び出すための『召喚』だ。
そしてユフィはそんな『召喚』や『招来』、そして『送還』が使える【聖喚術師】なのだ。『聖』の字が付くので分かったと思うが、『悪魔』などは喚起が出来ない。
話が大分逸れたが、ユフィが【ロウ・シルフ】を招来し、シルフが具現化してその姿を現した。その姿はエルフっぽい感じ。
「おー! ユフィ、久しぶり~!」
「ええ、お久しぶりですシルフ。……早速で悪いのですがアレ等(勇者たちに群がる魔族達)を吹き飛ばしてもらえますか?」
「おっけ~、任せといて!」
軽い感じでおっけ~したシルフはユフィの2~3メートルほど前に出て風の術を行使した。
「いくよ~。 『ソニックインパクト(強め)』!!」
ドッ───────────
「「「「「「「「「ギャッ!?」」」」」」」」」×複数
シルフの術により一瞬、軽い衝撃波を感じた魔族兵達。そして次の瞬間───
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
「「「「「「「「「ギャアアアアア──────!!」」」」」」」」」×複数
一瞬の時間差をえて魔族兵達に強烈な突風が襲い掛かり、その場にいたほとんどの兵達が空の彼方まで飛ばされていった。
「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」
突然現れた2人が行った行為に正義達8人はおろか、ベリアルも言葉を失った。
「………飛ばし過ぎじゃないのか? アレ、絶対死ぬだろ?」
「え、えーっと……シルフ?」
「ボク、加減までは言われてないもーん」
「……まあ、済んだ事は仕方ない。それより召喚対象者達は無事か?」
桜井が呆れた表情で問い詰めるが当のシルフはぷいっとそっぽを向いた。まあ「吹き飛ばせ」としか言ってないから、終わった後で文句を言うのは筋違いか。
「今、アイギスを解いてみた所、どうやら全員無事ですね」
「いや、とても無事とは言えないが、生きているならOKだ」
そして桜井とユフィは正義達の元へ向かった。
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「どうやら間に合った様だが、全員身体の方は大丈夫か?」
「あ、ああ……みんな無事だ。助けてくれてありがとう」
「当然の事をしたまでの事。気にするな」
桜井が正義に安否を確認中、ユフィと愛沙は他のメンバーの回復に勤しむ。
「ああっ! あいつ! 敵の大将! せ、正義! みんな! あの野郎こそこそ逃げようとしてんぞ! あ痛たたっ………!」
「何だと?」
愛沙に回復術を受けていた仲間の一人がこそこそ逃げようとするベリアルを発見し、大声で叫ぶが、怪我の所為か痛みを感じながら叫んだ。
「魔王軍め……逃がすかぁ!」
「え? あ、ちょっと正義!?」
まだ回復を受けていないにも関わらず、ベリアルの元へ走り出す正義(勇者)。愛沙が制止しようとしたが、正義は聞こえてなかったのかそのまま走り去ってしまった。
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「ちっ………何なのだあの2人組はっ! 見た事もない術でエルフ(?)を召喚(?)したと思ったら、国攻めの為に連れてきた兵の殆どを吹き飛ばしやがった! い痛つつ……血が足りない……どこかで補給しないと─────」
ズリズリと足を引きずりながら退却するベリアル。アモカ制圧の為に連れてきた筈の戦力をたった2人、しかも秒殺(?)され、もう攻め入る戦力が無くなったベリアルは引くしかない。
ついでに関係ない話だが、ベリアルは吸血鬼の末裔でもある為、血液の補給は簡単にでき、斬り飛ばされた腕や潰された片目もしばらくすれば治る程度の怪我で済んでいる。
しかし、ベリアルのそんな考えはある人物によって遮られる。
「お前にそんな必要は無い!」
「っ!?」
背後から突然かかった声にビクッとなったベリアルは冷汗をかきまくる。
「お前を逃がす訳にはいかない……!」
「ちっ………くそがぁっ!」
バァン、バァン、バァン! キィン、キキィン!
逃げる為にバーニングショット(ファイヤーボールの上位版)を放ったベリアルだったがそれも剣で弾かれる。
「これで止めだ!!」
「くっそぉぉぉぉ!!」
そして正義がベリアルを捉え、止めの一撃を上段に構え─────
パァン! キィィィン!
「んなっ!?」
振り下ろす直前で剣が銃で撃たれて弾き飛ばされた。
「……やれやれ、勝手な事をするじゃないバカタレが」
「な、何で邪魔する!」
この場で銃を持っているのは桜井しかいない為、勿論正義の剣を弾き飛ばしたのも桜井だ。味方だと思っていた奴に邪魔された事で正義は動揺して声を荒げる。
「おい、そこのボロ雑巾になってる奴、逃げるなら今の内だぞ?」
「………は?」
まさかの仲間割れに呆然するベリアルは間抜けな声を出す。
「ここで死にたくないならさっさと逃げ帰れと言ってるんだ。じゃないとこいつが襲ってくるぞ?」
そう言って桜井は背後で憤ってる正義を親指で指す。
「な、何が何なのか分からんが、見逃すのなら喜んで退却する! お、追って来るなよ?」
「……くどい。いいからさっさと帰れ!」
パパパパン!!
「ぬ、ぬおおおおおおおお!?」
重傷だったのにも関わらず銃で狙われたベリアルは必至な表情で逃げて行った。その光景は実にカッコ悪かった(笑)。
「……くそっ! 後少しだったってのに!」
銃でベリアルを脅す桜井の後ろでは遂に体力が尽きたのか、座り込んで怒る正義。おそらく邪魔した桜井に対して怒っているのだと思うが、助けて貰った手前もある為、直接は言えなかった。
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あとがき地獄↓
リオ「あ、あれ? 今回ここで終わり?」
佐夜「らしいね。これ以上話しを延ばすとかなりの長文になるからってさ」
リオ「え? それでいいじゃん別に」
佐夜「あ~、後、作者の体調も最近すぐれないらしくてな。なので出来てる所まで載せたらしいよ?」
リオ「なにその言い訳的な理由………」
佐夜「まあ、仕方ないって。こういう事もあるさ! ……多分?」
リオ「多分て」
次回は今回の続きからになります。




