第2話 ~組織の活動内容と事件の真相~
一度に説明するため長くなってます。ご了承ください(_ _)
「待たせたな諸君!」
「おっせーよボケ! 何平然と風呂を堪能してやがったんだお前は!」
「うむ。理事が何やら大事な話があると聞いてな。これは長くなると思った我は鍛錬の際に出た汗臭さを払拭する為に軽くシャワーを浴びていたのだ」
「大事な話の前に風呂とか………」
「ま、まぁ、会長が話している間、ずっと臭うのも嫌ですし、仕方のない事だと割り切るしかありませんよ隊長」
「はぁ、もういいや。さっさと席に着いてくれR」
「うむ」
遅れて来た事に悪びれる事無く席に着くR。佐夜とリオ、義信とマロンは苦笑いするしかない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こほん。それじゃあRも来たことだし、報告する前に佐夜さんに我々の組織について説明するわね。でないと話に入って行かないしね」
「お、お手数おかけします?」
どうやらマロン、前回の話の続きをやってくれるようだ。
「えっとそれじゃあまずは私たちの組織についてね」
=世界管理協会────あらゆる世界を管理、監視する組織で、本拠地を新(らしく出来た)世界【イニシエ】に置き、巨大な学園みたいな施設がある。
そしてその協会の活動方針とは、
・未調査の世界の調査・観測
・佐夜などの『次元迷子』を保護
・ゼリア軍達などの他世界からの侵略者達の排除
・次元転移者・転生者への『無双』取り締まり
・異世界から召喚された者達の送還
・危険な宝具や秘法具、魔道具とか神器などの回収、破壊、封印。
・若手の育成や他の組織との連携・警戒
・(一部の強者)世界破壊者の調査・接触
「ざっとこんな感じかしらね?」
「説明の内容が多すぎる!」
いつの間にか持ち込まれていたホワイトボードに書かれていた内容の多さについツッコむ佐夜。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「次は『世界』そのものと『亜空間』についてね」
=(各)世界────色々なジャンルの世界が存在するが、特に多く存在するのが『物質界(人間界)』、『幻想界』の二つだ。
そして世界を構成する為に必要な物が
・神様(管理者)
・構成・維持・運営・機能システムコア
・スターライド(エネルギーコア)
・メモリーコア(歴史記憶媒体)
の4つで、どれか一つでも異常が出ると世界そのものに影響を及ぼす。
「どんな影響?」
佐夜が挙手して聞いて来た。
=システムコアの異常・故障────世界を外界からの侵入を防ぐ為のセキュリティにウイルスが入り込んだり、脆弱性が起きた場合、空間(次元)に穴が開いたり、生態系に異常が出たり、稀に異常気象をもたらしたりする。
=スターライド(エネルギーコア)の漏れ・枯渇────世界を動かす為のエネルギーコアに穴が開いて漏れたり、コア自体が枯渇した場合、その分のエネルギーを補おうとシステムコアを通じて世界に大地震などの災害をもたらし、それで発生するエネルギーを蓄える。枯渇の場合ならともかく、漏れの場合だと頻繁に地震が起きたりする。
=メモリーコアの故障────歴史を刻む為のコアだが、これが故障すると世間で似たような事件が頻繁に起きたり、最悪世界そのものが年単位でループしてしまう恐れがある。
=神様(管理者)────文字通り世界を管理する神様だが、上記3つが故障した場合それを修復する為の存在でもある。なので神様(管理者)が居なくなった世界で上記3つが故障した場合、誰も直せなくなる。
「ちなみに神(管理者)不在の状態でそれ以外の3つの内2つ以上異常が出ると、世界そのものがまともに動かなくなるから、そこん所よく覚えとけ。テストに出るぞ」
補足事項としてヴァンが付け加える。どこのテストだよ?
ちなみに佐夜の元いた世界の場合、神様不在の状態でシステムとメモリーが故障し、有り余ったエネルギーで発生したのが白の世界とあの化け物である。
=亜空間─────世界と世界の間にあるピンク色した空間。ぶっちゃけていうと酸素のある宇宙空間みたいなものだと考えればいい。
「ああ……あの空間ね」
朧げに覚えている記憶(元の世界よりミミズに叩き出されて亜空間内を回転しながら漂う自分の姿)を思い出す佐夜。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「次は佐夜さんの様な『次元迷子』と『次元転移』、あと『召喚』と『転生者』についてね」
=次元迷子────空間(次元)の歪み(穴)などに入り込んで世界の外に投げ出されてしまった者達の総称。佐夜の場合、ちょっと事情が違うらしいがそれもこれに入る。
=次元転移───次元の穴に落ちるのではなく、転移現象にて異世界や亜空間に転移してしまう事。いわゆる『神隠し』と呼ばれる現象だ。
=(勇者)召喚────文字通り、他世界から召喚されて異世界へ転送された者達。召喚された場合、召喚特典として異能が与えられ(例外在り)、大抵その中に『勇者』になる者が誕生する。
=転生者────死亡した後、前世の記憶を持ったまま別の世界で生まれ変わった者。
「ちなみに、さややもそうだけど次元の穴を通ったり、自宅の周辺に次元の穴が長時間発生してる場合、特殊な力に目覚めたりする人が多いよ」
「俺の場合は『錬成術』って訳か」
何故こんな力を手に入れたのだろうと思っていたがそんな経緯があったのかと手をグッパグッパする佐夜。
ちなみにマンガやアニメ、小説などで出て来る巫女やシスターが、霊力(神通力)や魔法が使える原因が育った環境の近くに神界や魔界などのに通じる穴が発生し、そこから発生する電磁波などの影響で魂が変異し、特殊な力が目覚めるという研究報告が出ている。
なのでそういう穴がポコポコポコポコ発生するとあら不思議、魔法とか異能力が存在しない筈の物質界で次々と能力者が誕生して異能バトルが開始されるわけだ。
「あー、確かにそういう異能系バトルマンガ見た事あるわぁー」
手を額に付けて仰いだ佐夜。確かにそういう世界は多々存在する。
「なのでそういった『次元の穴を塞ぐ』事も俺達の仕事に入るって訳」
「……現状としては穴が発生している箇所に対して、対処できる人が全然いない状態ではありますが」
「ダメじゃん!」
義信のドヤ顔に対し、現状として間に合ってない事を言う透にダメ出しした。
「それとは別に勇者召喚された場合、祝福と呼ばれるチート的な能力を貰う奴もいる。まぁ、魔王対策での召喚特典ってやつだ」
勇者召喚(もしくはそれに準ずる召喚)された場合、通常の人とは尋常ではない位の恩恵(特殊能力)を受ける事が多く、戦闘経験の無い奴でもたやすくモンスターを倒す事が出来る。
「けどさ、それっておかしくないか? 何で自分達の世界の事なのに異世界から人を呼ぶんだよ? それだけのチートがあれば魔王なんて余裕だろ?」
「あー確かにそうなんだけどな……」
佐夜の疑問にヴァンは頭を掻いて言葉を濁す。
「なぁに、簡単な話よ。要は自分達の手を汚したくないから異世界の人間に能力を授けて魔王に指し向けさせるのよ。元の世界に帰りたくば『魔王を殺せ』とな」
Rがヴァンの言いにくい事を言って更にこういった。
「そして魔王を討った後、その勇者は殺される運命が多い」
「はぁ? 何でさ、世界を救ったんだろ? 何故殺されるんだ?」
「それも単純な話よ。膨大な力を持った『魔王』を討ち倒せば、残るはもう一方の膨大な力を持った『勇者』。このまま野放しにすればその力で何するか分かったもんじゃないからな。何かをやらかす前に殺そうとするのは最早常識なのだろうな」
「そんな馬鹿な話があるのか………」
Rの衝撃発言にショックを隠せない佐夜。
実際、魔王を討った後の勇者に関して、情報がほとんどの世界で存在しないのだ。恐らく裏切られて殺されたか、逃げ延びてひっそりと暮らしているか、もしくは奇跡的に(ほとんどないが)元の世界に帰れたのかだ。
「あー後、魔王討伐の為に召喚したと最初言って、その後他国との(人対人との)戦争の道具に使われたりする例も存在する。これも自分達の手を汚したくないからだろうな。よくある事だ」
「何それ怖い!」
Rから言葉を引き継いだヴァンがさらっと怖い事を言って佐夜を怖がらせる。
「だからそうやって騙されて魔王討伐や戦争の道具と化している勇者を見つけ出し『送還術』を用いて元の世界に返すのも俺達の仕事になるのさ」
「……これも人手が足りず、発見した時既に手遅れになっている場合もありますが」
「もっとダメじゃん!」
後手に回っている事をダメ出しする佐夜。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「えっと次は………何だっけ?」
「特殊な道具についてじゃないかな?」
何処まで話したか分からなくなったマロンにリオが教える。
=宝具・秘法具・魔道具・神器などの特殊な道具────何時何処で作られたかは分かっていないが、特殊な力を帯びている道具。佐夜の右手首に着いている腕時計も『秘法具』になる。
「………え、説明これだけ?」
「はい、次~~」
佐夜の疑問をさらっと流すマロン。
誰が作ったのかも分からないのだから説明の不可能なのだ。ゆえにこれらの道具の内、危険な物だと判明した物に関しては破壊するか封印するしかないのだ。以上!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「最後に『世界破壊者』についてね」
=世界破壊者────異世界に召喚、もしくは佐夜の様に落ちて来た者が何らかの理由によってその世界、もしくは神に恨みを覚え、その恨みを以って力を付けていき、勇者よりも強くなり、神や世界を破壊するまでの力を持った者達。
※:もちろん例外も存在します。
「これになる奴は大抵、過去に召喚された者の中で『無能・弱虫』呼ばわりされた奴が多く存在するな」
「虐げられていたんじゃあ、そりゃ恨みも持つわな」
Rとヴァンがやれやれと言わんばかりに溜息を付く。
「ついでに言うと、この世界破壊者に対抗できるのは俺とマロン、後この場にいない『ゼクター』って奴だけだ。だから間違ってもそいつと遭遇した場合戦うなよ? 簡単に殺されるからな」
「…………(ぶるぶるぶる)」
ヴァンの言うセリフに震える義信を見て佐夜は「マジかー」と呟いた。
「あ、じゃあさっきマロンさんをグリグリしていたのって……」
「ああ、万が一亜空間を移動できる世界破壊者に遭遇したら超ヤバい事になっていたからな。対抗できるっていっても相手を無力化出来るとは限らないからな」
「う……ごめんなさい」
ヴァンがマロンを睨み、怯んだマロンは素直に謝った。神様なのに。
「ではここで佐夜さんに問題です。『世界破壊者がその世界の神を殺した場合』、どうなるでしょうか?」
「え? 殺したんだからその世界に神様は居なくなる……わけ………あ!」
透のいう問題に佐夜は口に出して気付く。
世界破壊者が神を殺したらその世界のシステム、エネルギー、メモリーコアを直せる者が居なくなり、その状態で世界に異常が起きたら───
「世界は修復できずに壊れる、まさに世界破壊者ってわけか」
「世界破壊者の目的が神ではなく『システムを壊す、または書き換える』だけなら大した問題はないのですが……」
「大半は神を殺す方に行くから結果的に破壊される世界の方が多いけどな」
「さらにダメじゃん!」
佐夜の今日何度目かの天丼。
「ちなみに余談だけど召喚や次元転移などで異世界に転移しなくても世界破壊者になってしまう人もごく稀にいるわ。一応その人は味方だけどね」
例外もいるとマロンは言った。一体どういう人なのだろうか?
※:世界破壊者≠悪人・闇落ち人
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「で、佐夜への説明は今の所ほぼ終わったがマロン、俺等に大事な話があるって言ったな?」
佐夜への組織説明が終わった後、ヴァンがマロンに向き合って先ほどの話を切り出す。
「ええ、実はここ最近起きた『次元震』と各世界で起きている異変について原因が判明したの。……全くの偶然だけどね」
「「「「「「偶然?」」」」」」
原因が判明したのが偶然の事だというマロンに皆、首を傾げる。
「デスクワークに飽いた私が息抜きの為に(調査済みの)とある物質界に入って遊ぼうとしたんだけど、その世界に入った瞬間に気付いたわ。調査済みの世界の筈なのにその世界に神はいなかったのよ」
その世界の神の気配が無かった為、管理室まで足を運んだマロンが見た物は───
無残な姿で死んでいた、その世界の神だった。
「おまけにシステム、スターライド、メモリーコアのその全てが滅茶苦茶にいじられてて直すのに相当な時間が掛かったわ」
その後、嫌な予感がしたマロンは別の調査済みの世界へと急いで赴いてその世界の神の所へと急行したが、時すでに遅かった。勿論その世界の3つの機能もいじられていた。
「そこで私は調査済みの全世界の神に対して外殻の強化をするように伝えたわ」
マロンはスマホから本部を通じて全世界に通信した後、調査済みと未調査を含む世界を20件ほど当たった結果、その半数10件の世界内で神が死に、機能も滅茶苦茶にされていた。後の半数はマロンの呼びかけに間に合ったのか自力で撃退に成功していた。
「そして私はその後の世界で神を襲っている少女を捕まえたわ。自害しようとしてたからとりあえず手足と縛って猿轡して、今はこのエルシオンの収容室に入れてるわ」
そういってタッチパネルを操作すると画面に縛られて唸っている少女の姿が。
「何か悪い事をしている気分になるのは気のせいか?」
「大丈夫だ。これをやったのはマロンで俺達は関係ない」
「そういう問題じゃないでしょ隊長!?」
マロンの行いに頬を引き攣らせる一同。
「少々手荒にしちゃったけどこの子の記憶を(勝手に)覗かせてもらったわ。で、ようやく事の経緯が判明したの」
「ああ、私たちの代表がこんな事を……」
「うわ、透が倒れた!?」
犯罪紛いな事をしてるマロンに眩暈を起こした透が倒れて義信が介抱する。
「……話を続けるわね。この子の記憶を覗かせてもらった結果、この子に神を襲わせた者は間違いなく世界破壊者よ。それも性質の悪いタイプのね」
「性質の悪いタイプってどんな奴なんだ?」
実際に遭遇した事が無い佐夜が訪ねる。
「神=即殺のタイプだろ? それも強烈で相当な恨みを持った奴」
「じゃあその子はそんな奴の部下って事なのかなー?」
ヴァンが腕を組んで佐夜の問いに答え、リオが口に人差し指を当てて首を捻る。
「それだけじゃないわ。『次元震』を起こしたのもその世界破壊者だって話よ」
「「「「「はぁ!?」」」」」
何時何処で何故起こるかも分からない『次元震』が一人の世界破壊者によって引き起こされていた事に佐夜を除く5人は驚愕した。
「マロンさん質問です!」
「はい、何かな佐夜君?」
再び分からない事で挙手した佐夜に、マロン先生は佐夜に君付けで聞く。
「『次元震』って何ですか?」
さっきから置いてきぼりの佐夜が先ほどから聞きたかった事を聞いた。
=次元震────亜空間内で稀に起こる振動。次元震が起きた場合、その震源地から周りの世界の外殻(壁)にヒビが入り、他世界から容易く侵入されてしまうのだ。
「先ほど言ってた各世界の機能であったシステムの異常で起こるのは『内側からの穴』。で、次元震が起きると、『外側から穴』が開くという訳だ」
「おまけに今回は震度がデカくて外殻に穴が開いた(被害にあった)世界が多数上がっていて俺達が協会のほとんどの奴が出張らう状態になったんだ」
ヴァンと義信が佐夜の左右後ろに立ち補足説明する。何か、見た目的に女を取り合う少女漫画的三角関係みたいな感じに見える。3人とも男だけど。
「ふむ。これでようやく事の真相が見えて来たわい」
「? ?? どういうことだってばよ?」
「だから危ないネタに走るな」
「あたっ!?」
Rが事件の真相に気付いた事でリオがどこかの渦巻き忍者の様に聞き、ヴァンからチョップを受ける。
「んん、Rさん。事件の真相が分かったとはどういうことですか?」
コントに走る2人を余所にRに問いただす透。
「なぁに、簡単な事よ」
要は今回の事件の『次元震』を起こしたのは世界破壊者だという事に加え、次元震によって各世界の外殻が脆くなって穴が開いた所から世界破壊者、もしくはその部下が入り込み、神のいる場所まで行き『神殺し』を行ったわけだ。
世界破壊者が世界、もしくは神を恨んでいるのは分かってはいたが、まさか『次元震』を起こせる世界破壊者が居た事に驚いたばかりか、その後の他の世界まで破壊を行っていたとは考えもしなかった。
まぁ、次元震によって各世界の開いた穴を塞ぐのに忙しかったから発見が遅れたわけではあるが、それも自分達のトップであるマロンが自ら事件の真相に(偶然)辿り着いた事に皆感嘆している。
「そういうわけなので、この『次元災害件』を『神殺し事件』に替え、二手に分かれて捜査&作業をお願いするわ」
トップであるマロンがホワイトボードに2組の班分けの名前を書いていった。
・神殺し&世界破壊者達の捜査────マロン、ヴァン、R、透
・幻想界【アルフィーニ】への支援────義信、リオ、佐夜(見習い)
「『支援』ってことは、その【アルフィーニ】っていう所に誰か既にいるって事か?」
「そうだよさやや。今、そこには3人で任務に当たってるんだけど手が足りてない……っていうか面倒な事になってるって聞いたよ?」
「面倒な事?」
「………(桜井)係長が言うには今、その幻想界【アルフィーニ】に『勇者召喚された者』達が百人以上いるらしいんだとよ」
「ゆ、勇者が百人!?」
「どんな状態だよ!?」
勇者が百人(以上)という状態を佐夜には想像できなかった。
「さ、私がいうのもなんだけど、時間が差し迫っているから早速分かれて行動するわよ!」
早速テーブルを叩いて立ち上がったマロンが皆を見渡して言った。
「じゃあ佐夜、リオと義信に従って行動してくれ」
「え? あ、ああ。うん。分かったヴァン」
【レニアナ】退界後、いきなり別の世界に行かされる事に驚きつつもそれに素直に従う佐夜。
「……という訳でまたよろしくなリオ」
「よろしくさやや!」
「うわっ! 抱き着くなってば!」
「えへへ~~」
自分と同じ人種(男の娘タイプ?)が仲間に増えた事に加え、また一緒に行動できる事に喜んだリオは満面の笑みで佐夜に抱き着く。
「はぁ~~。……義信もよろしくな!」
「お、おおお、おう。ま、まかせちょけ!(噛んだ)」
情けない事だが佐夜よりリオの方が強い為、引き剥がす事を諦めた佐夜はそのままの状態で義信に挨拶するが、見た目がかなりの美少女な佐夜に直接話しかけられた義信は緊張して思いっきり噛んだ。サムズアップしてる指が震えているのが緊張している事の表れだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「───ああ、分かった。義信達が到着次第、合流して任務にあたる。そちらの方もまた何か進展があればすぐに連絡をくれ」
≪了解。……それともう一度念を押しておくが、『佐夜』って奴が一緒にそちらに行くけど別に新入りという訳じゃないからこき使うなよ?≫
「……その言い方だと俺が新人いびりしてる様に聞こえないか?」
≪聞こえるも何もその通りだろ。お前の指示はいつも突然だからな。いきなり指示を出されて特攻し、怪我した奴がどんだけいると思ってるんだ?≫
「それは単に指示を受けた奴がどんくさかっただけだろう。俺に非は無い」
≪はぁ……。まぁいいさ。とにかく佐夜はゲスト扱いだから無理はさせるなよ≫
「分かってるから何度も言うな。じゃあ任務に戻るぞ」
≪おう≫
ヴァンとの通信を終えた桜井がスマホの通話アプリを切る。
「マスター。今のって『えるしおん』からの電話ですか?」
油揚げをはむはむしていた狐っ娘陽菜々が油揚げを咥えながら主人の元に駆け寄って来た。
「行儀が悪いぞ陽菜々」
「(はむはむ)」
行儀の悪い従者の首根っこを掴んで持ち上げる主人。完全に飼い主とペットだ。
「それで0、何かあったんですか?」
食事の片付けを終えたユフィが手を拭きつつ桜井の元に来る。エプロン姿が実に似合っていて何となく新妻っぽい。
「……こちらへ合流するはずだったヴァン達が来れなくなったらしい。それで、こちらに来るメンツが義信、リオ、そして保護対象者の『佐夜』って奴らしい」
「……何故保護対象者の方がこちらの任務に参加されているのですか?」
桜井の報告に首を傾げるユフィ。その疑問は当然の事。
「ヴァン達が来れなくなった原因……というよりは今回の『次元震』の犯人が『世界破壊者』らしくてな。それに対応できるヴァンと何故かエルシオンに居たマロン(+Rと透)が事に当たる訳だが、さすがにその場に保護した者を同行させる訳にはいかないとの事らしい」
『次元震』が人為的に起こせるものだと知った桜井は腕を組みつつ溜息を付いた。
「新しい仲間が増えるって事ですね、マスター!」
「……だから物を食べながら喋るな」
いまだ油揚げをモグモグしている陽菜々に呆れながらも(頭を)ナデナデする桜井はなんだかんだで優しい飼い主だった(笑)。
そして次回、桜井達と佐夜が邂逅します。




