プロローグ ~桃色髪の男と狐っ娘~
第二章のプロローグです。
────ここはヴァン達が先ほどいた世界とはまた別の幻想界【アルフィーニ】
────この世界では現在、魔王率いる魔族による侵攻を受け、人間側の住人達は窮地に追い込まれていた(と、いっても今はそこまで深刻な状況ではない)
────そんな世界に一人の少年が【物質界(現実世界)】より召喚され、王宮の間にて王様に魔王率いる魔族の討伐をお願いされていた。が、
「いやいやいや、俺には無理! つか絶対嫌だ100パー死ぬ!」
ごく当たり前の話だが、いきなり知らない世界に召喚され、さも当然の様に『魔王を倒して来い!』って言われても『OK!』って応えるのはバカしかいない。
帰宅後に家でゲームを開始した直後、『TV画面に吸い込まれ、気が付いたらこの世界に居た』というこれまたお馴染みの展開だが、高校に入学したての15歳(帰宅部)に戦争をしろというのはかなり無理がある。たとえ神の加護を受けていたとしてもだ。
「勇者様。どうしても……どうしてもこの世界をお救いになられませんか?」
ごねる少年のもとに王女(10才)がテコテコやってきて、上目遣いで訴えた。
「いや、だからね。戦った事の無い俺が行ったってさ────────」
「ダメ……なんですか?(涙目)」
「ごめん、無理」
「………(うるうる)」
「……だ、だからそんな目で見られても困るって」
「うるうるうるうるうる(涙目で懇願)」
「~~~~~~っゎかったよ。やりゃあいいんだろ!やってやるよ!」
「っ! 勇者様!(抱き)」
「はぁ………」
王女の必死のお願いで陥落した少年。この先どんな試練が待っているのやら?
「はっはっは。やっと決心がついたかね勇者殿よ。では早速────────」
「────茶番劇は終わったか?」
突如、王宮の間に響く謎の男の声。王様がビクッとなった。
「っ!? な、何だ? 一体誰だ!? どこにいる出て来い!」
流石、王直属の近衛騎士団。団長の反応と共に部下達も周りを警戒する。しかし周りの視界には誰もいない。上にもいない。すると警戒する近衛騎士団を余所に王宮の間の扉が開き、二人組の男女が現れた。
男(見た目は17歳くらいだが雰囲気がそれ以上)の方は何故か男なのにピンク髪で、モミアゲだけが異常に長いのが特徴だが白衣を着ている上に、童顔な故何気なく女の子にも見える。
一方、少女(13才くらい)のほうは頭に狐耳を生やしている。亜人の一種だ。その少女がみんなに指さして言う。
「何だかんだと言わr『ボカッ!』痛い!」
「ネタに走るな」
狐耳をした少女が何かを語りだしたが、途中で隣にいた男に拳骨されて頭を押さえて蹲った。たんこぶが目に見えるあたり、結構強めのやつが入ったらしい。痛そう。
「き、貴様等は一体何者だ!? その扉の前に居た兵はどうした?」
じりじりと腰の剣に手を添えて二人に近づく騎士団長と他2名。
「陽菜々、向こうにいる奴(勇者の事)の身柄を頼む」
「う~~~。は~い」
頭をさすりながら男の命令に従う狐の亜人【陽菜々】。そして騎士団長の質問を平然と無視する男の名前は【桜井】。無視する2人に騎士団長の額に青筋が入る。
陽菜々は蹲った状態からそのままぴょーんと一気に少年(勇者)のもとに跳ぶと、少年に抱き着いていた王女をペイっと引き剥がして少年の手を取った。
「ちょっとびっくりすると思うけど気にしないでね☆」
「え? ええ!?」
突如出てきた狐少女に混乱している少年。そして次の瞬間────────
シュン──────
と、狐少女と少年(勇者)は 一瞬にして消えてしまった。
突然消えてしまった勇者に一同は混乱する。その隙に狐少女と一緒にいた桜井はさっさとこの場を去ろうとしたが、王様から待ったがかかる。
「一体どういう事かな? 貴様、勇者をどこに連れて行ったというのだ?」
「………答える必要は無い」
王様から声を掛けられ、一度王様を一瞥してすぐに帰ろうとする桜井。その対応にさすがの王様の額にも青筋が入る。
「き、きさまあああぁぁ──────────!!(# ゜Д゜)」
さすがに王の言葉すら無視されたとあっては騎士団としては見過ごせない。じりじりと桜井に近寄っていた騎士団長は踏み込み、一瞬で間合いに入ると一閃───────
───────したが直前で桜井が一瞬で2mほど下がった為、その剣は空を切った。しかしそれだけではなかった。
ドサッ・・・・・ドサドサッ・・・・・・・・・・
騎士団長が空振りした状態でそのまま倒れたのだ。そして一瞬の間が空いて、騎士団長のすぐ後ろで待機していた騎士団の2名も剣に手を添えたまま倒れたのだ。
その理由は桜井が持っている麻酔銃(エアガンを改造して作ったサイレンサー付き)。騎士達は鎧を身に待っとっている為、桜井はその僅かな隙間から狙って撃ったのだ。
桜井に切りかかった騎士達が突然、王直属の騎士達が音も立てずに倒れた為、王宮の間に静寂が訪れる。
そして桜井は踵を返し、去ろうとするが、
「ま、待ってください!」
「………」
王女の静止でまた止められる桜井。心なしか少しイラついているようにも見える。
「か、返して。勇者様を、返してください!」
王女の必死の訴えに周りの人達が息を吹き返し「そうだそうだ!」とか色々言ってくる。遂には「この魔王の回しもんが!」とか言っている。
もう『こういう状況』に慣れたとはいえ、あまりの喧しさに桜井の顔に青筋が入る。無表情のままで。青筋入る人多いな。
ドンッ!
さすがに喧しすぎるので今度は本物の銃(空砲)を上に向けて皆を黙らせる。そして『何度かに渡って説明してきた事』を桜井は説明する。何故勇者を連れ去ったのかを。
まず、勇者(召喚された者)が確実に元の世界に帰れる保証がない事。
次にどんなに勇者が強くなっても単体では意味が無いってこと。敵に集中攻撃されたらイチコロである。
そして例え魔王を倒し、元の世界に戻れたとしても【物質界(現実世界)】ではその力を持て余す可能性。下手すると敵を倒す感触が忘れられずに他の人間に手を出してしまう危険性。異世界にいた記憶を消したとしても身体に染みついた経験は消えず、記憶と心と体の互換性で暴走する事もある。
そもそもこの少年(勇者)には少年の人生があり、勝手に異世界に連れてきていい訳がない。親族はまさに怒り心頭である。
それに『別の世界からの侵略』なら話は別だが、こちらの魔王はこの世界の生き物なので、この世界の住人達で何とかするべきだ。この世界に居る魔王の存在は昔から確認されているようなので、何の対策もしてこなかった自分らが悪い。それで滅びてしまう世界なら滅びてしまえ。というのが桜井の見解だ。危なくなったから誰かに助けて貰おうなんて甘ったれ過ぎるにも程があるのだ。
実は危惧している事が他にあるが、今は割愛して話を進める。
「それに貴様らを含む他の国々の連中はあの少年の他にも異世界から召喚しているな? それも何十人単位で」
「「「「「「「「ギクッ!?」」」」」」」」」
謁見の間に衝撃が走る。焦る一同見て「やっぱりか……」と桜井は溜息を付く。
「大方攻めて来るとか言っていた魔王軍に備えての召喚なのだろうが、実は他国との戦争の為に召喚したんじゃないのか?」
「「「「「「「「ギクギクッ!?」」」」」」」」」
「………」
もはや溜息を通り越して呆れるしかない。
「はぁ……ちなみにもうこの世界に『次元封鎖』を掛けてる故、もう異世界から召喚することは出来ないぞ」
周りから「そんな!?」という声が聞こえてくるが、そんな奴らに対し、
「だから戦争なら自分らで何とかしろ。」
そういって今度こそこの場を後にした。
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「あ、お帰りなさい。0(ゼロ)」
「マスターおかえりー!」
狐っ娘【桜井・陽菜々(さくらい・ひなな)】とおっとり系女子【ユフィ=トレック】が桜井を出迎える。ちなみに桜井のちゃんとした名前が【桜井・0(ゼロ)】だ。
「ああ、ただいま。さっきの奴(勇者もどき)はどうした? もう元の世界に送還したのか?」
「ええ。帰れると聞いて喜んで帰っていったわ」
「そうか。そいつは重畳」
「だよねー。いつもなら抵抗されてバトル突入になってたもんね~」
桜井と陽菜々がしみじみと頷く。
今月に入ってからというものの、次元転移の事件発生件数が9件(桜井達が担当した件のみ)と結構多く、今回みたいにすんなり元の世界に返ってくれる奴だけではないからだ。ある程度強くなってしまった(レベルが上がった)転移者を元の世界に返そうとすると大抵「俺はこの世界を救うんだ!」とか夢見がちな事を言われて抵抗される。
一部を除いて大した強さでない為全然問題はないんだが、いかんせん毎回毎回抵抗されると面倒くさい。そう考えたら今回は早めに対処出来た為、楽に仕事を終える事が出来たといえよう。
「ねぇマスター、マスター。ひなの今回の働きは油揚げ何枚分くらいですか? ひな、5枚は欲しいです!」
陽菜々が万歳しておねだりしてきた。元気っ娘陽菜々を見てユフィが「うふふ」と微笑む。まるで姉か母親な感じだ。
「阿呆。陽菜々は今回【短距離転移】しかやってないだろう。せいぜい3……いや2枚だな。」
「え~~!?何で1枚減ってるの!?」
「妙なネタに走るからだ。……というか一体何のネタだったんだ?」
ちなみに何のネタだったかは言及しない。
「さて、本来は次の世界に行く所だが、この世界にはまだまだ召喚された勇者(&その他)が数十人はいるからな。そいつらを見つけ次第。ガンガン(送還して)いくぞ」
「おー!!」
「あらあら」
食事&休憩が終わった後、桜井が面倒くさそうに言い、陽菜々が元気よく片手を上げて言う。ユフィはそんな二人を見て微笑んだ。
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リオ「始まったよ第二章!」
ヴァン「ああ、そうだな」
義信「まだプロローグだけどな」
R「フンッ、フンッ」←筋トレ中
佐夜「あ、あはは……」
リオ「……うわーん! みんなのテンションが低いよー!」
流石の番外ではオフなのか皆、リオのテンションについていけない。
透「……どうでもいいですが、静かにして欲しいですね」
次は場面が変わり、エルシオンでの佐夜への説明回になります。




