第26話 ~世界管理協会の強者達(王城突入前)~
今回、ようやくR、義信、ヴァンが登場します。
「がーはっはっはっはぁ────!!」
王都セルニアの城下街の大通りで大暴れしている者がいた。
「足らん、足らんぞ! そんな重火器にばかり頼ってないで己の肉体で掛かって来んかぁ────!」
それはR・ハーマン。筋肉ムキムキの褐色スキンヘッドの男だ。
パンッパパンッ!
パパパパパパパパパパ───────
キュンキュキュキュキュキュン────────
「くそっ! 銃が全く通じねえ!」
「何なんだこの化け物は!?」
「うわぁ! こっち来た!?」
街に侵略に来たゼリア軍だったが、現在たった一人の男Rに侵攻を妨害されていた。
銃で撃たれても何故か弾が肉体を弾くだけでダメージが全く通らず、接近戦を行うとその圧倒的な筋肉の前に沈まさせられるのだ。
「だったら、ミサイルなら、どうだ!」
プシュ───ン!
と、軍兵の一人が街中にも関わらずミサイルランチャーを放つ。しかし、
「むぅん!」
当たる直前でRは少し横にずれ、ミサイルを鷲掴みにするとそのロケットの勢いを殺さずに半回転してミサイルをそのまま相手に返した。
ドカーン!
「「「ぎゃあーー!!」」」
そのまま返されるとは思わなかった軍兵達はミサイルで吹っ飛ぶ。
「1発で駄目なら10発でどうだ!」
と、ふっ飛ばされた軍兵の後方に居た別の兵達が一斉に発射する。その数はおよそ10発。いくらなんでも撃ち過ぎではないだろうか?
「『気合防御』!!」
流石にこれは返せないので防御態勢に入るR。するとそこに、
ピシュンピシュピシュン────────
ドドドドドドドドドド───ン!!
どこからか飛んで来た銃弾にて10発全てのミサイルは撃ち抜かれ、その場で爆発を起こし、その途中でダウンしていた軍兵達ごと全てふっ飛ばした。
「マイガッ!?」
「一体どこから10発のミサイルを撃ち抜いたんだ!?」
「くそがっ! 一体何が起きてるというんだ!」
ミサイル10発全て破壊された事で混乱するゼリア軍兵。
「ふっ、余計な事を(笑)」
一方、爆風にて微小のダメージを負ったRが笑みを浮かべながら上空を見上げる。
そこには透明の跳弾ガラスが宙を浮いている。それも1つや2つじゃない。Rが目視出来るだけでもゆうに10は超えている。透明で出来たガラスなので良く目を凝らさないとその確認が出来ず、おまけにこれは自由自在に宙を舞う為、捕らえる事は出来ない。
ちなみにこのミサイルを跳弾ガラス越しに撃ち抜いたのが義信だ。その義信は現在、街の中……ではなく王都の外から超長距離射撃で跳弾ガラスを駆使して街に侵攻しているゼリア軍達を無力化している。なので街中で狙撃手を探しても無駄なのだ。
「こうなったら全軍で一斉に攻撃だ!」
「(この場に居る)全軍かかれー!!」
ウォオオオオオオオ!!
普通の重火器も通用しない(?)相手にいよ決した軍兵達が一斉にRへ襲い掛かる。いくら強くても単体で出来る事は限られているからだ。現にRへ襲い掛かった軍兵の数は何と100人以上。傍から見ればアホの極みである。
そしてRは100人以上のゼリア軍兵に揉みくちゃになった。
しかし、
「ニヤリ」
これこそRが望んでいた展開なのだ。ゼリア軍兵達は離れた所から重火器で撃つか、接近戦で来たとしても精々3~5人しか来なかった為、ちまちま少しずつしか倒せなかったのだ。それが一斉にこちらに攻めて来たのならむしろ好都合。
「D───」
覆いかぶさって来たゼリア軍兵を構う事無くRは両手の拳を合わせる。
「L───」
そして次に拳のまま両手を広げ、
「H(ハリケ───ン)!!!」
腰と両足を捻り、力を溜め、勢いを付けて回転する。
ゴオオオオオオオオオオ───────
「「「「「「「「「「うわあああああああああ!!?」」」」」」」」」」
Rを中心とした巨大な竜巻が発生してその場に居たゼリア軍を全員上空に舞い上げ、少し角度を変えてそいつ等を街の外へ放り出した。
「これで歩兵共は粗方片付いた。後は─────」
Rは遠くに見える戦車やヘリ、バイクなどで街を破壊するゼリア軍を見つめ、
「あのガラクタに乗ってる連中をまとめて排除する」
そういってRは敵陣へ突っ込んで行った。
ちなみに王都に駐在する騎士や戦う事の出来る冒険者達も違う場所にて戦ってはいるのだが、どう考えてもRや義信の方が相手を倒す数が多い。事実この後、王都の3分の2はこの二人だけで鎮圧した。残りは王城の中に居る奴等のみである。
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シュン─────────
「わっ───ととと」
「ここは……王城前か?」
リオとアルケシスの一同+エミリアが転移した先は王城前の大広場。佐夜が発芽させて成長させた桜の木がある今や有名に成りつつあるスポットだ。
しかし、
「ああ!? 桜が!?」
「折れてるじゃないか!」
「うわぁ……酷い有様………」
「あんなに綺麗だったのに酷過ぎますわ!」
マーロ、エイル、そしてアイスナーとサラが桜を見て絶叫を上げる。
「うをっ! ってかお前等も着いて来てたのか!?」
「いつの間に……」
タックとマナが仰け反る。タックはともかくマナのそういう反応は稀かもしれない。
実はリオ達が転移する直前にアイスナーと【ナターレ】【ケラール】【ビース】の面々が転移範囲まで近づいていて、リオ達が転移するのと同時に一緒に着いて来てしまったのだ。
「……………」
「「「「「「サヤ(さん)……」」」」」」
それよりも佐夜の精神状態が心配だ。佐夜自身そんなに思い入れがある樹ではないが、佐夜が自分で錬成し、その後ここに植えられてこの世界のみんなに見守られてきたこの樹が無残に真ん中からへし折れている光景はこの樹の生みの親である佐夜にとって良くない光景だろう。
「っ!?」
すると突然、サラが地面に手を付いて転移した全員を土壁で覆った。その直後、
ダラララララララララr────────
「「「「うわあああああ!?」」」」
「「「「きゃあああああ!?」」」」
一同に襲い掛かる大量の銃弾に悲鳴を上げる。
「……どうやら敵は街の3方向から来てるみたいだね」
小さくてクネクネ曲がるレンズを覗き込んで言うリオ。何かそれどっかで見た事のあるような……。
王城の真正面の商店街、右手の住宅街、そして左手のギルドの方から軍兵達が銃を乱射しながら近付いてくる。
「くそっ! これじゃあ出るに出られない!」
「しかも段々近付いて来てる!」
「袋のネズミ……」
「アルケシスについて来なければ良かった!」
「お前等が勝手に着いて来たんだろうが!」
顔を出せば即座に撃たれるという状況にアルケシス以外のメンツが愚痴り、タックがキレる。
「あ、ヤバ! みんな伏せて!」
レンズを覗いていたリオが突如、簡易シールド(衝撃吸収版)を謎のバックから引っ張り出しサラの作った簡易防護壁を包む。
すると、
ヒュ───……ドカーン!
「「「「うわあああああ!?」」」」
「「「「きゃあああああ!?」」」」
擬音から察したと思うがミサイルが飛来。リオの簡易シールド(衝撃吸収版)が無ければ確実にこんな防護壁ごと吹っ飛ばされていただろう。
ダラララララララララララ───────
リオ達が無事なのを見て、再び弾幕の雨を降らすゼリア軍。そろそろ何とかしないとかなりヤバイ事になりそうだ。
「くぅ~。このままじゃジリ貧……リオ一人なら脱出可能だけど………」
リオが周りにいる人達(リオを除く計24人)を見て、
「この人数じゃあ、さすがに無理かな~~」
と、リオがエルシオンに居る透に再転送をお願いしようかとスマホを取り出した。
その瞬間、
カッ───────
空が一瞬光り、そして、
ピシャ─────────ン
「「「「「「「「アベバババくぁwせdrftgyふじこlp!!?」」」」」」」」
突然の雷がゼリア軍達を襲い、全員感電麻痺を引き起こし身動きが取れなくなっていた。
「そ~?」
「…と?」
「だ、大丈夫なのか?」
「みたい、だな」
「一体これ、どうなってるの?」
こちらも何が起きたのか分かってない一同。
「っ! っ! あ、隊長!」
しかし、リオだけ誰がゼリア軍を倒したのかを知っている。簡易シールドをしまって顔を出して左右を見る。そして正面の王城の門にその相手が居た。そう、ヴァンだ。
「隊長~~」
まだ動けるゼリア軍がいるかもしれないというのにも関わらず、ヴァンの元へ走っていく。まるで(もなにも)愛しき人の元へ向かう恋人の様に。
「た──い──ちょ──う─ハブォ!?」
そしてヴァンに抱き着かんとする直前で、ヴァンの片手で止められる。厳密に言えばアイアンクローで顔を鷲掴みにされている。シュールな光景だ。
「はぁ、リオ遅いぞ」
「ふぉ、ふぉめんなふぁ~い(ご、ごめんなさ~い)」
「全く……全然来ないかと思ったら何故か関係ない奴まで連れて来てるし、そしたら案の定敵に襲われて身動き取れなくなるわ」
溜息を付きながらリオを放すヴァン。
「えへへ、隊長ごめん」
「……まぁいい。今更怒った所で時間の無駄だ。それよりさっさと(城の)中に入れ。人質の王族を奪還して敵を殲滅する」
「は~い。……おっとと、じゃあみんな。着いてくる人はリオに着いて来て!」
そう言いながらリオは手を振ってヴァンと共に城の中に入っていく。ちなみに門の所にもゼリア軍は居たが、とっくの前にヴァンが倒している為、今は安全。
「俺達は城に入るけどお前達はどうする?」
イングが勝手に着いて来た者達に聞く。
「勝手に着いて来て言うのもなんだけど、あんまり中に入っても役に立ちそうに無いから俺達(ナターレ&ケラール&ビース)は外で侵略してる奴等を倒してくよ」
「ええ、派手に暴れて見せますわ」
「ああ、地下のドラゴン共だけでは物足りなかったからな。対銃戦ってのをやってみたかった所だ」
マーロの言葉にナターレ、ケラール、ビースの面々はそれぞれ頷く。
「じゃあ、私はあんた達と一緒に城に行くよ」
アイスナーはイング達に着いてくる様だ。
「ではついでに私はあの折れてしまった桜の樹を出来るだけ修復しておきますわ」
「え? そんな事出来るの?」
今まで放心状態だった佐夜がサラの声に反応する。
「出来るだけですけどね。完全に元通りになるかどうかはやってみなければ分かりませんけど」
「サラ……」
「う……そんな眼差しで見つめないでくださいまし」
「ありがとうサラ。じゃあここはお願い」
「ええ。サヤさん達はあの侵略者共をぶっ飛ばしておやりなさい」
「うん。こっちはまかせて!」
桜の樹の修復をサラに任せ、佐夜はイング達と共にリオとヴァンを追って城の中に入って行った。
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「さ、てと、そろそろこの世界での作業も終わる頃ですねー!」
エルシオンのブリッジで独り言を言いながら伸びをする透。モニターを切り替えると収容所に転送されているゼリア軍が大勢いる。それを無言でパネルを操作し、そのゼリア軍達をまとめて元の世界へ送り返す。
いくら侵略に来た者達とはいえ、別に殺す必要は無いのだ。
まあ、その中にも戦いの最中にうっかり殺してしまったり、やむをえず殺す必要がある場合はともかく生きている者達は出来るだけ元の世界に返す。これが『世界管理協会』の方針だ。
それに侵略に来たその者達も元の世界には家族がいるはずだし、帰れるのなら帰りたいはずだ。
「これでこの世界だけで転送6回目……一体この世界にどれだけのゼリア軍が入り込んでるのよ……」
居なくなったばかりの収容所にまた大量に転送されてきたゼリア軍を見てゲンナリする透。
「はぁ……愚痴っても仕方ないけど、こういうの何とかならないのかしら………」
「そうね。こういう事を踏まえた上でオペレーターをもう一人追加した方が良いわね」
「そうですね。隊長達が全員出張らうと誰も居なくなりますから孤独感が半端ない────って、え?」
ヴァン達は全員レニアナにいる為、エルシオンには透しかいない(収容所のゼリア軍は別扱い)のに突然後ろから聞こえた声に振り向く。
「ハロー」
「ええ!? 何故貴女がここに!?」
「えへ。仕事を抜け出してきちゃった☆」
突然やって来た女性に透が珍しく大声を出した。
最後に出て来た女性がこの物語の超重要人物です。




